F1観戦日記と画像Fぁん -2ページ目

バルセロナテスト2日目、F.マッサが再びトップ 小林可夢偉がF1初テスト

スペイン・バルセロナのサーキット・ド・カタロニア(1周4.627km)で行なわれているF1合同テストは、現地時間(以下、現地時間)29日、テスト2日目を迎えた。この日はトヨタが合流し、年内のテスト期間をニューマシンの開発に充てるスパイカーMF1チームを除く10チーム、計18台のマシンが走行。今季はF3ユーロシリーズに参戦し、先のマカオGPではポールポジションも獲得した小林可夢偉がトヨタで初のF1テストに臨んでいる。

 朝方まで降った雨がサーキットを一部濡らす中で迎えたテスト2日目。日中は一部曇が残るものの、午後には晴れ間も広がったバルセロナは、気温15.5℃、路面温度20.2℃のドライコンディション。2007シーズンのタイヤ1社供給に向けて、全車がブリヂストンタイヤを装着してのテスト2日目も、18台が走行する例年に比べ大規模なテストとなった。

 非公式ながらトップタイムを記録したのは、前日に引き続きフェラーリのフェリペ・マッサ。テストドライバーのルカ・バドエルとの2台体制で参加のフェラーリは、この日も『248 F1』でのマシンセットアップ、新しいコンポーネントの評価、そしてロングランプログラムに取り組んだ。F.マッサはトータル84周を消化し、唯一の1分16秒台となるベストタイム1'16.406を記録。一方のL.バドエルはトータル71周を消化し、F.マッサからは約1秒差となる3番手のベストタイムを記録した。

 このフェラーリ勢に割って入る2番手はBMWザウバーのニック・ハイドフェルド。ロバート・クビサとの2台体制で参加のBMWザウバーは、両ドライバーがブリヂストンタイヤの評価を目的としたロングおよびショートラン、新しいパーツを評価に取り組んだ。N.ハイドフェルドは新しいギアボックスのテストも行ない、トータル72周を消化。トップのF.マッサからは約0.7秒差の2番手タイムを記録。R.クビサはトータル47周を消化し、14番手のタイムを記録した。

 日本勢では前日のHonda、SUPER AGURI F1チームに加え、トヨタが合流。トヨタはテストドライバーのオリビエ・パニス、トヨタのTDP(トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム)のドライバーである小林可夢偉がF1マシンのテスト機会を得て初参加。小林はF1マシンの様々なシステムを習熟、O.パニスとともにマシンの異なる重量配分とソフトウェアの評価を中心にトータル81周を消化。ベストタイムはトップのF.マッサから約4.325秒差の18番手タイムだった。

 小林はテスト後、チームのプレスリリースを通じ、「僕はパナソニック・トヨタ・レーシングがトヨタ・ヤング・ドライバー・プログラムでの僕の役割の一環として、F1マシンのテスト機会を与えてくれたことをとても嬉しく思っている。今日は僕にとっての最初のF1テストとなったけど、とても楽しい経験だった。今シーズン、僕がドライブしてきたF3マシンとは、何もかもが違ったよ。特にエンジンのパワーとブレーキングが全く異なっている。だから今まで以上に集中しなくてはならない。お昼前にはミスをしてしまい、コースオフをしたけどダメージはなくて、その他はトラブルに見舞われることもなく、多くの周回をこなすことができた。Gフォースはこれまでのマシンよりもとても強いけど、首の状態は今までのところそれほど悪くない。もちろん、まだ1日しか経験してないけど、僕はGフォースに対応できるように長期間に渡って一生懸命トレーニングをしなければならないだろう。向上するまでの道のりは遠いけど、いい1日だった。次のテストは次週のへレスになる予定だけど、F1での経験をさらに得ることを楽しみにしている」と語った。

 同じく日本勢のHondaは、前日のジェームス・ロシターに代わり、テストドライバーのクリスチャン・クリエンが参加。ルーベンス・バリチェッロとともに『RA106』をドライブし、ブリヂストンのタイヤ評価およびマシンセットアップを行なった。また、前日はHondaの『RA106』でのテストが注目を集めたSUPER AGURI F1チームは、この日もアンソニー・デビッドソンの1台体制で参加している。

 明日30日は2度のワールドチャンピオンに輝き、2001シーズンを最後にF1を引退したミカ・ハッキネンが古巣マクラーレン・メルセデスのテストに参加。バルセロナテストは12月1日(金)まで同地で行なわれ、最終日の1日はフェラーリとトヨタの2チームのみがテストを継続する予定となっている。

スペイン・バルセロナ 11月29日(水)

1.F.マッサ フェラーリ 1'16.406
2.N.ハイドフェルド BMWザウバー 1'17.159
3.L.バドエル フェラーリ 1'17.447
4.P.デ・ラ・ロサ マクラーレン・メルセデス 1'17.584
5.O.パニス トヨタ 1'17.643
6.L.ハミルトン マクラーレン・メルセデス 1'17.748
7.R.バリチェッロ Honda 1'17.922
8.M.ウェーバー RBRフェラーリ(レッドブル) 1'18.249
9.N.ピケJr. ルノー 1'18.312
10.A.デビッドソン SUPER AGURI Honda 1'18.374
11.C.クリエン Honda 1'18.383
12.D.クルサード RBRフェラーリ 1'18.526
13.H.コバライネン ルノー 1'18.757
14.R.クビサ BMWザウバー 1'18.778
15.A.ブルツ ウィリアムズ・トヨタ 1'18.876
16.S.スピード STRコスワース(スクーデリア・トーロ・ロッソ) 1'19.114
17.V.リウッツィ STRコスワース 1'19.277
18.小林可夢偉 トヨタ 1'20.731

タイムは非公式
タイヤは全車がブリヂストンタイヤを装着
上記リザルトはサーキット・ド・カタロニアのプレスリリースより

K.ライッコネン「どんなプレッシャーも感じないと思う」

来季フェラーリに移籍するキミ・ライッコネンは、スイスの『20Minuten』誌とのインタビューに応じ、ミハエル・シューマッハのシートを受け継いで真紅のマシンをドライブする心境について、「たとえフェラーリで伝説のシューマッハの代わりを務めるにしても、どんなプレッシャーも感じないと思う」と語った。イギリスのモータースポーツ専門誌『Autosport』(電子版)は、現地時間(以下、現地時間)27日、このK.ライッコネンのコメントを紹介した。

 K.ライッコネンは、マクラーレン・メルセデスのスポンサーを務めるタグ・ホイヤー社がスイス・チューリッヒで開催したイベントに参加。このイベント期間中にスイスの『20Minuten』誌とのインタビューに応じると、「マクラーレン・メルセデス時代は失望もしたけど、全体的にはいい思い出もあるし、それらを失いたくなかった。でもここ数年に渡ってフェラーリがとても強かったのは確かだよ。全てのドライバーが、いつかはこのようなトップチームにたどり着くことを夢見ている。でもフェラーリとサインできなかったとしても、僕には他の可能性もあった」と語った。

 フェラーリのドライバーとなる来季に向けては、「たとえフェラーリで伝説のシューマッハの代わりを務めるにしても、どんなプレッシャーも感じないと思う。チームのことを知っているのは確かだけど、どうなるのかは分からないよ。僕はまだフェラーリで何も示していない。年内にはフェラーリとのテストができればと思っている。しかし、今のところは自分の体調を整えているだけだね」と語った。K.ライッコネンはマクラーレン・メルセデスとの契約が年内いっぱいあるため、フェラーリへの合流は早くても年明けとなる予定。

 また、来季の目標については、「僕たちがタイトルの有力候補になるかどうかは分からない。はっきりしているのはフェラーリがここ数年とても強かったということだよ。まあ、ニューマシンがどうなるかだね。思いどおりにできて、競争力の高いパッケージであることを願っているよ」と述べるに留まった。

シーズン2006

長く激しいシーズンが終わった。
今年は例年になく話題が豊富なシーズンだった。
激しいチャンピオン争いに、ミハエル・シューマッハーの引退。
それにホンダとバトンの初優勝等々。
では、シーズンを振り返って見よう。


▽厳しくフェアなチャンピオン争い

今年のチャンピオン争いは厳しい戦いだった。
アロンソとミハエル・シューマッハーが争った今年のチャンピオン争いは歴史
に残る名勝負と言っていいだろう。
マシンの差はほとんどなく、タイヤの性能もシーズンを通して見れば拮抗して
いた。
新しい時代のチャンピオン アロンソとF1界に長年君臨してきた皇帝ミハエル・
シューマッハーの争いは激しかったがフェアな争いだった。

最終的に、ミハエルはタイトルを失ったが、皇帝らしい戦いを最後まで繰り広
げF1の世界を去った。
見事な走りだった。

ほとんど性能に差がないマシンとタイヤだったが、アロンソとミハエルを分け
た差はなんだったのか?
ミハエルは最後の二戦のトラブルにより、チャンピオンを失ったよう見えるが
それは事の本質を見誤ることになる。

確かにミハエル・シューマッハーの後半戦の走りは素晴らしかった。
特にシーズン中盤に引退を決心してからのミハエル・シューマッハーは、ブリ
ヂストンタイヤの競争力向上にも後押しされ、一時期25ポイントあった差を、
16戦の中国GPで追いついてしまった。
これには正直、驚いた。

アロンソのミスのない走りと、ルノーの信頼性を考えると25ポイント差は安全
圏と考えていたのだが、その前提が崩れるトラブルがルノーに発生した。
最初は、トップを快走中に起こったハンガリーGPでの右リアのホイールナット
の脱落。
これでアロンソは10ポイント失った。
そして、記憶にも新しいイタリアGPでのエンジンブロー。
ここでも6ポイント失った。
だが、アロンソ自身はほとんどミスのない走りを披露。
細かなミスは少しあったが、ポイントを失うようなことはなかった。

一方のミハエル・シューマッハーは最後の2戦で15ポイントを失った。
さらにマレーシアGPを予選前のエンジン交換で、数ポイント失っている。

つまり、マシントラブルで失った得点は二人とも大差はない。
ではどこで、二人の差がうまれたのだろうか。
それは、ミハエル・シューマッハーのミスが大きく影響した。

オーストラリアGPでは珍しい単独クラッシュで、4ポイントをなくした。
そしてハンガリーGPでは、ドライタイヤへの交換時期を逸し、接触してリタイ
ヤした。
最終的にクビサのリタイヤで1ポイント拾ったが、ここで5ポイントほど失って
いる。

そして、重要なのがルノーの開幕ダッシュだ。
アロンソは第九戦のカナダGPまでに6勝を挙げ、しかも残りの三戦も全て2位と
いう抜群の速さと安定感を誇った。
特に開幕三戦で築いた17ポイント差は最後まで、大きかった。

最終的な二人のポイント差は13ポイント差。
ルノーとアロンソは昨年同様、実力でチャンピオンを勝ち取ったと言っていいだ
ろう。


開幕戦で今シーズンを占ったが、懺悔の気持ちも込めて振り返ってみよう。

・ルノー
ルノーは事前の予想通り、ダブルチャンピオンに輝いた。
マシンの信頼性は抜群で、そこにアロンその才能が加わり安定感の高いシーズン
だった。
昨年同様、レギュレーションの変化にあわせたマシンを開幕にきっちり仕上げて
くる力はNo.1。
開幕三戦でのリードを最後まで守りきることに成功した。
途中でマス・ダンパーの禁止などもあったが、その影響を最小限度にとどめるこ
とに成功した技術陣は高く評価される。
ただ、ルノーは確かに速かったのだがアロンソの存在が多きかったのは明らか。
彼が抜ける来シーズンは頭が痛い。
来シーズン、フィジケラとコバライネンのペアで臨むがコバライネンの才能がチ
ームの浮沈を左右しそうだ。


・マクラーレン
もう少しできると思っただが、ニューウェイ離脱の影響は大きかったのかシーズ
ンが進むにつれ戦闘力がなくなった。
マクラーレンは普通、シーズン後半に向けて調子を上げてくるのが常なのだが、
全く逆の展開は意外だった。
ロン・デニスが残りの株をベンツに譲り渡すという話しが信憑性をおびてきてお
り、チームの変革期なのかもしれない。
チャンピオンのアロンソが移籍してくるという良い話題もあるが、来年以降のマ
クレーレンは不透明な部分が残る。


・フェラーリ
シーズン序盤は安定せず、ルノーの独走を許したが中盤以降巻き返しチャンピオ
ン争いを盛り上げた。
ミハエル・シューマッハーの引退表明などもあり、チームは盛り上がったが、あ
と一歩でタイトルを逃した。
結果的にこの序盤のハンディを跳ね返すことはできなかった。
後半はブリヂストンタイヤとのマッチングも抜群。
だがこのアドバンテージは来年はなくなる。
ライコネンの移籍は良いニュースだが、ロス・ブラウンの離脱などの不安要素も
多いフェラーリ。


・ホンダ
シーズン前のテストでの好調が嘘のように、失速。
ハンガリーGPで第三期の初優勝を果たすも、思うような成績が残せなかった。
ホンダの弱点は、タイヤの温度上昇が遅いこと。
これによりスタート直後やセーフティーカーがアウトした後で、遅れることが多
くチャンスを失った。
バトンは健闘したが、バリチェロは予想通り振るわず。
バリチェロはレースを通じてコンスタントなタイムが出せない。
だから予選が良くても、決勝では伸び悩むことが多かった。
なぜ琢磨の代わりにバリチェロだったのか、今でもよくわからない。
ジェフ・ウィリスのシーズン途中で離脱が、来シーズンのマシン設計の真っ最中
だっただけに、来シーズンへの影響が心配される。


・トヨタ
昨年の好調が嘘のように低迷した。
ブリヂストンタイヤの好調にも助けられ、予選では良いのだが決勝ではずるずる
後退する場面が多かった。
シーズン途中でガスコインを解雇するも、成績向上せず。
このままでは、来シーズンも期待するのは難しい。


・ウィリアムズ
シーズン序盤は調子が良く、台風の目になりそうな予感のあったウィリアムズだ
が、信頼性の欠如から結果が残せなかった。
シーズンが進むにつれ精彩を欠くようになり、1980年以来最悪のシーズンを過ご
した。
ただ、来シーズンへ向けてトヨタエンジンを獲得するなど、明るい話題も多い。
今ではメーカー資本の入っていない唯一のトップチームだけにがんばって欲しい。


・スーパーアグリ
何も言うことはありません。
全戦出場しただけで、奇跡的です。
しかも、途中で大幅にバージョンアップしたSA06を投入。
ブラジルGPではホンダと遜色のないタイムを出すまでに成長しました。
ただ、来年に向けてはホンダのシャシーを使うことが難しいようなので、彼らの
苦しいシーズンはもう一年続きそう。


・タイヤ
シーズンを通してみれば二つのメーカーはほぼ互角の競争力を披露した。
今年のタイヤは最適動作温度のレンジが狭く、気温や天候によって明暗が分かれ
た。
シーズン中盤以降はブリヂストンがタイヤの構造を変更し、やわらかいゴムを使
用できるようになると、予選ではミシュランを圧倒し始める。
だがミシュランも負けてはいない。
路面にラバーがのってくる予選第三ピリオドや決勝ではブリヂストンと遜色のな
いタイムを出してきた。
やはりミシュランの技術力は恐るべしだ。