就職や転職活動において、常に求人広告を出している企業は「介護職の離職率が高く、労働環境が悪いのではないか」と警戒されがちです。しかし、求人の頻度だけを根拠に企業の内部事情や離職率を断定するのは危険といえます。

 なぜなら、年中募集を行っている背景には、ネガティブな理由だけでなく企業の成長に伴うポジティブな動機が隠されているケースが多々あるからです。たとえば、業績が右肩上がりで事業拡大を続けている企業や新規拠点を次々と立ち上げている企業では、組織の拡大スピードに採用が追いつかず、常に新たな人材を補充し続ける必要があります。

 また、近年は欠員の穴埋めではなく、優秀な人材と出会ったタイミングで随時採用する「通年採用」を戦略的に導入する企業も増えています。このような場合、実際の離職率は極めて低くても求人票は常に出され続けることになります。

 一方で、表向きは求人が出ていない企業であっても、単に採用予算が尽きていたり知名度が低く応募が集まらないために募集を断念しているだけで、内部では深刻な人手不足や早期離職が常態化しているという最悪のケースも存在します。

 つまり、求人広告の露出量と実際の離職率や職場の居心地の良さは、必ずしも一致しないのが実態です。企業の本当の姿を見極めるためには、求人の有無という表面的な情報だけに振り回されず、企業の成長性や業界での立ち位置、口コミなどを交えて多角的に判断することが不可欠です。

 介護職が自分に合った職場選びに失敗しないためにも、求人の裏にある背景を深く読み解くように心掛けるとよいでしょう。

 介護職の主な仕事内容は、高齢者や障害者の食事や排泄やお風呂の介助を行うことですが、実際には施設を利用する人のプランを作成したり、資料を作ったりと事務的な作業もあります。そのため、毎日多くの仕事に追われ、定時に終わることなく残業になってしまう人が多いのではないでしょうか。

 残業に対し手当てがちゃんと付くなら前向きに努力することもできますが、手当てが付かない施設も中にはあるのが実情です。介護職の給料は他の職種と比較しても低い方です。その上サービス残業となると、生活が苦しくなりかねません。

 そのような状況になってしまわないためにも、転職する際には手当てをきちんと付けてもらえるかどうかを確認しておくことがポイントです。どうしてもそういった条件の施設が見つからない場合には、残業を頼まれてもきっぱりと断るなど、定時できちんと仕事を終わらせるという意識を持つことが大切です。

 しかし、介護職は人を相手にする仕事であるために、毎回定時に仕事を終わらせるかというと、なかなか難しいのが現実です。そんな時には、上司に相談して正社員からパートに変わるなどして、少しでも負担を減らすようにしましょう。

どちらにしても無理して働くというのは肉体的にも精神的にもよくありません。自分が納得できる働き方をすることが一番理想的です。時には勇気を出して断ることが必要になる時もありますが、自分の体のためにも、積極的に伝えるようにしましょう。

 介護職はこのように残業が発生しがちなことも、人材不足の背景にあると考えられています。対人の仕事のため少しの残業が発生したとしても、残業が常態化していては健全に仕事をしていくのが難しくなります。

 この問題を解消するための一つの対策として、ICT化を推進している施設が増えています。これまでにすべて介護職の手で行っていた作業を介護ロボットが代わりに行うのです。

 体力的負担が避けられなかった移乗の際にも、介護ロボットの利用で介護職の体力を温存できるようになります。手書きだった介護記録もタブレット端末で一括管理すれば事務作業が簡略化でき、残業時間の削減も狙えるようになるでしょう。

 介護業界はスタッフが定着しにくいという話を一度や二度は耳にしたことがあるでしょう。介護職員が離職している率は16.6パーセントです。訪問介護員の常勤が17.6パーセント、非常勤が12.6パーセントです。因みに、施設介護職員の常勤は16.7パーセント、非常勤は21.3パーセントとなっており、非常勤の施設介護職員の数値は比較的高めです。

 但し、産業系の離職率は15.6パーセントになっているため、介護職員が特段に離職する傾向が強いとは言い切れません。しかし、訪問介護員と施設介護職員の人手不足に悩んでいる事業所は、年々増加傾向にあり、6割以上の事業所が慢性的な人手不足の問題を抱えている状況が厚生労働省の調査によって判明しています。これは、高齢化社会が進んでいることが大きな原因になっていると思われます。

 人手不足によって職員1名当たりの仕事の負担が増大している事業所は少なくありません。介護職員のストレスに繋がる因子の第2位に「膨大過ぎる仕事量」がランクインしていおり、業務のハードさが覗えます。また、最も大きなストレスの要因は「低賃金」となっており、仕事への遣り甲斐を感じつつも日々の頑張りが給料へ反映されない悔しさが離職へと繋がっていることが浮き彫りになっています。

 しかし、仕事量や賃金は職場によってや資格の有無によってもバラつきがありますので、介護職を離職した人の多くがそれを理由にしているとは言い切れません。そのため、離職理由で着目するべき点は、人間関係の不和かもしれません。職員同士の連携が必要不可欠な介護の現場において、他職員の協力を得られないことは大きな精神的苦痛へと至りやすくなります。また、介護業界は女性社会のため、噂話が尽きず、身に覚えのない情報が出回ることも多々あります。仕事のストレスを悪口で発散する職員も少なからず存在しています。

 介護職の離職率と併せて、仕事がきつく、低賃金というマイナスイメージばかりが優先していますが、実は人間関係こそが一番身近な問題として気をつけなければならないのかもしれません。転職する際は、離職率と併せて職場の雰囲気や人間関係にも注目してみましょう。⇒【併せて読んでほしいHP:http://rishokuritu-check.com