○●○●○●○●○●2012.10.6.





応援団 NO.181   私の本棚~その3


  「本当の学力をつける本」   陰山英男・著










私が生まれた頃に、

前回紹介しました岸本裕史氏が、

東京大学の五十嵐顕氏の言葉を受け

「学力」について提唱され

実践を積み上げられていきました。


その岸本氏の当時の活動

「学力の基礎をきたえ落ちこぼれをなくす研究会」

(現・学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会)に所属していたのが、

この本の著者の隂山英男氏でした。


はずかしながら、

私はこのお二人が

同じ兵庫県で同じ研究会に所属し、

同じ目的で活動をしていたことに

今回の「読み直し」まで気づきませんでした。

また、その隂山氏の実践を

脳科学の視点から検証したのが、

「脳をきたえる大人のDSトレーニング」で有名な

川島隆太氏であることも。


(五十嵐)→岸本→隂山→川島というラインでもって、

「読み・書き・計算」の大切さが

長い期間をかけて訴えられてきたというわけです。


私の持っている本の中で、

やっとそれぞれの実践が結びついたというわけです。(遅!)



隂山氏は、私よりたった3歳年上で、

1989年、30歳に赴任した

山口小学校での数年間にわたる実践をもとに

この本を出版し、

一気にベストセラーとなり、

「隂山メソッド」という言葉が

全国をかけめぐることになります。


この単行本が出版されたのは、2002年3月。

原稿は、すでに1996に隂山氏の手元にあったそうです。

出版するまでに6年。

その時の苦労が文庫本の「まえがき」に

詳しく書かれていました。



思い出せば、

隂山氏とほとんど同じ時代を

教師として過ごしてきた私でしたが、

その頃は、「ゆとり教育」「生活科」「総合学習」など

教育政策が大きく変わってきた時代でした。

「文庫版まえがき」を読んで、

その頃の苦労や悩みが

私たちの県の教育にも

同じようにあったことを思い出しました。

「あの頃、隂山氏はすでに、

 ひとつ先の教育をみつめていたのか」

と改めて驚かされました。


自分の実践にそこまで自信を持てることのプロ意識、教育信念が

当時の私にはまだまだ足りなかったと

思い知らされました。
 


2002年。

新学習指導要領の実施にともない、

学校週休二日制・

学習内容の削減・

「総合的な学習の時間」の新設などによって

隂山氏の訴える「読み・書き・計算」は、

新しい「新学力観」という

「子どもの個性を尊重する教育」によって

批判されるという流れになっていきます。

今でこそ、その「新学力観」は見直され、

「読み・書き・計算」の大切さが認められ

、再び授業時間も増やされるという政策になってきていますが。

教育界が大きく揺れ動いた時期でした。


ちょうどその年、2002年は、

私が新しい学校へ赴任して2年目、40歳。

多くの仕事をまかされ、6年生の担任。

あまりのあるひき算を

6年生の子たちとがんばり始めた年でした。


新学習指導要領実施にともない、

教科書がずいぶん変わったのを覚えています。

それぞれの学習内容が、

上の学年へ送るものや下の学年から送られてくるものなど

系統性の変化が大きく、

今までの経験だけでは不十分、

新しいことへのその授業の準備に

ずいぶん時間をとられた覚えがあります。

さらに、校内の体制も大きく変わり、

事務書類の変更・増加にくわえ、

会議・会議の連続でした。

教室で子どもたちと授業をしている時が一番落ち着ける、

そんな思いを6年生の子どもたちに打ち明けたことを思い出します。

そんなときに、

そんなときだったからかもしれませんが、

私の心は夏休みに疲れ果ててしまい、

休職することになります。

新しい時代の波についていけなかったのでしょう。

「こうでなければいけない」と

新しいことに真正面からぶつかって、

もれなく受け止めてしまったのかもしれません。

融通がきかない性格は困ったものです。
 
 

本の紹介に戻ります。

この本では、岸本氏と同様、

「読み・書き・計算」の具体的な取り組み方が書かれています。

「学校でできること」

「家庭でできること」

「新学習指導要領でできること」

「社会でできること」の4章に分けて、

それぞれの役割と

子どもたちへの指導のしかたや

家庭での取り組みについてなどが、

とてもわかりやすく書かれています。

ここでは特に「家庭でできること」について

目次から抜き書きしておってみたいと思います。


 ●まず朝食をきちんととる
 
 ●「はやくしなさい」と言わない
 
 ●夕方7時の食卓に父親を取り戻す

   …家族の睡眠時間とそれぞれの時間を確保するために
 
 ●テレビは1日2時間以上見る子に高学力の子はいない
 
 ●正しい姿勢をたもつ
 
 ●子どもに語りかける

   …大人との会話から子どもは学ぶ。リビングや食卓で宿題をしてもよい。
 
 ●小学校の高学年で決めた進路は実現することが多い
 
 ●できることから始める

   …まずは、「早寝・早起き・朝ごはん」と「朝の排便」が元気のもと!

 ●深夜の勉強をするくらいなら、眠ったほうがいい
 
 ●「読み書き計算」家庭でできること、のところでは、

  「まず、音読です。」とあります。

  「音読が脳に良い」ことは、川島氏が証明しています。

 そして、

 ●読書の習慣をつけさせる、ことです。

 ●漢字プリントを家庭でやらせる、のところでは、

 「学校の進度にかかわらず、

  どんどん進めていけばいいのです。

  よく、子どもがその漢字習っていないと言いますが、

  だから今覚えなさいというように、

  漢字は必要に応じてそのとき覚えるものだ

  というようにしておくべきでしょう。」

 とまで言い切ります。

 ●計算力を伸ばすための問題集、では、

  百マス計算の習得を前提にして、

 「計算の手順というものにきちんと習熟する必要があります。

  この計算手順を、きちんと習熟するためには、

  まったく同じ問題を何度かくりかえし、

  その基礎的な手順を完全に覚えてしまうことが早道です。」

 「高度な内容のものを無理やり覚え込ますのではなく、

  絶対に忘れてはならない基礎的な内容を

  完全に習得しておくことは、

  揺るぎない応用力の土台となるものです」

 「そうして基礎を固めたら、

  多様な問題をやっていくことが必要です。」

 「そのときお勧めなのは、

  『徹底反復 計算プリント』(小学館)です。」

 「計算力は、基礎的な計算手順を

  いろいろなケースに当てはめ、

  いかなる場合でもよどみなく計算できることが、

  中学以後の学習を楽なものにしてくれるのです。

  くもん出版から同様の問題集が出ていますが、

  こちらでもいいと思います。

  そして、もしつまずいているページがあれば、

  そこをコピーして何度も繰り返し、

  問題と計算手順と答えを

  丸暗記してしまうのが向上の早道です。」

 「つまずいている問題を丸暗記してしまうという方法は、

  文章題でも有効です。」

 


学校と家庭と社会で、

子どもたちの未来を

より明るいものにしてあげたい!


そんな想いを、

より現実的に教えてくれる一冊です。


ご家庭に一冊、手元に置いておいて

「できるところ」から取り組んでみることをおすすめします♪ 


我が家ならではの取り組みなど、

よい話題がありましたら教えてください。



  この本は、おすすめです!












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(o^-')b






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