第3回 「親ごころ 」
梵天丸(のちの伊達政宗)は、時宗丸と虎哉和尚の教えを受けている。
和尚が一輪の花を二人に見せる。
「この花は、何か?」
「桔梗にございます」
「この花は、何色か?」
「紫にございます」
「その通り!では、目を閉じられよ」
そして、和尚は、花をちぎってふところへかくす。
「この花の色は、何色か?」
と尋ねる。
目を閉じたままの二人は答える。
「紫にございます」
「なぜじゃ?」
「桔梗は紫にございます」
「ばかもの!自分の目で確かめもせず、なぜ紫などと申した!」
「このたわけもの!」
と一喝する。
その声に驚いて、目を開ける二人・・・。
しかし、
梵天丸は、そこでもう一度目を閉じて、
「見えまする。心の眼で見れば、花は見えまする!」
さすがの和尚も、この答えには感心・・・。
「若の心には花が見えておるというのか・・・」
「心の眼を大事になされい・・・」
武芸では時宗丸に勝てなかった梵天丸も
学問では、時宗丸に勝っていたという・・・。
心の眼・・・
幼少の頃から、政宗に備わっていたもののひとつであろう・・・。
その「心の眼」は、
「先見の明」を持つ
のちの伊達政宗には欠かすことのできない才能であり、
一国の城主に必要不可欠な心持ちであったのだろう・・・。
隻眼ならではの発言と思うと奥が深い・・・。
そんな「眼」を持つことができたなら・・・。
そんな「心の眼」を育てていきたいものである・・・。
(o^-')b