近年おもしろい物・事・人を探している俺は、


そんなこんなで先週の木曜も面白い出来事に遭遇しに、そして「ふろの日」で入浴無料券もらいに、近所の風呂屋に行った。


肩の力を抜いて書くので、肩の力を抜いてご覧ください。


服を脱いで浴室に入った。

この日、26日は「ふろの日」だけあって人の混み具合がいつもの倍近い。そのほとんどがサウナ愛好家で、かくゆう俺もその一人だ。

ここのサウナにはロウリュという、スタッフが焼け石にアロマ水をかけて熱波を送るというイベントが日に十回弱ある。

この日の目玉は、そんなロウリュの特別バージョン、ビヒタロウリュだ。一体何語なんだ。


ビヒタは、氷水をはった桶に浸した木の枝のようなもので、スタッフが全裸男性たちの背中をシバくイベントだ。その間、もちろんロウリュも行われている。


そんなビヒタロウリュはこの日の18時。この日一回しかないし、毎日やってるわけでもない。

男たちは平静を装いつつも、18時が近づくにつれサウナ室に目をやる頻度が増えてくる。サウナ室は、広いが、これだけ混み合っているとやがて満室となり、入れないからだ。


俺は全裸で瞬時に作戦を立てた。17時54分になったらサウナ室に入り、待機。背中シバきを待とう、と。


17時35分、40分、45分。人が出たり入ったりを繰り返すサウナ室の中の人数を俺は休憩用のベンチに座ってチェックした。その時!


うあー


とサウナ室とは逆側から男の声がした。声の方を見ると後年のブルースリーを彷彿とさせる長さの黒髪と無精髭の男が。


あーうあー


と発生しながら露天風呂の方から入室、通路を移動している。その男を俺は知っていた。

中学校のとき同級生だった男で、結構馴れ馴れしく、歩いたり動作をする時には


うあー


人に話しかける時には


あー加藤くんはーさーあー


といった感じで、手より口が先に出るタイプの男。俺は当時無口なほうで真逆のタイプだったので、あまり仲良くはならなかった。

中学生の同級生のそいつは、立派なおじさんの顔になっていた。


うー


という事は俺も当然だが立派におじさんだ、とか考えていると、そいつは


うわー

と言いながらサウナ室の中に入っていった。


時刻は17時47分くらい。甘いな、それではビヒタロウリュの時間まで持たないぞ、そう俺は思った。


うあー


17時47分30秒くらいにそいつは出てきた。何がしたいんだ、奴は。俺は54分になったらサウナ室に入り待機するんだ。俺はそいつを目で追うのは止め、時刻に集中した。そして、54分となり、俺はサウナ室に入室、3段になっている座るスペースの真ん中の段のやや右に座った。


うー


左を向くと、最前の段の中央に奴は座っていた。


すごいなあ


と、混雑しているサウナ室の現状を見た心の声が完全に外に漏れていた。

18時となり、サウナ室内に赤いTシャツを着た男性スタッフたちが入室してきて、ロウリュとビヒタロウリュの説明をしだした。


うあー

とさっきまで言いつづけていた、奴は意外にもスタッフの説明時には一言も発しなかった。

俺は、黙れるのかよ!と完全に心の中で突っ込んだ。


説明は終わり、ロウリュが行われ始めた。つまり焼け石にアロマ水がかけられ、スタッフがタオルであおぐ事により熱波が行き渡っていった。


あうー!


奴が声を発し始めた。まあ無理もない、サウナ室内の温度は上昇しているのを俺も肌で感じている。熱波の拡散がひと段落して、スタッフが再び説明を始めた。要約すると、3段ある座るスペースの、前の段の方から背中をシバいていきますから、前の段の方は後ろを向いてひざまづき、座っていたスペースに手を置いてください、と言った。ちょうどちゃぶ台で勉強をするような格好になる。


うーあーうー


最前列の男たち、10人ほどがその姿勢で横並びになった。


あうー!


両端の者から、二人のスタッフに一人5回ずつぐらい、背中を冷やした枝でシバかれてはサウナ外へ退場していく。左右の男から一人、また一人と居なくなる。


うー!


残り5人になった。5人の真ん中にいるのは同級生の奴だ。


バシ!あうー


両端の二人が居なくなる。

そして3人のうち、奴を残して左右の二人がシバかれ始めた。俺はそれを全裸で二段目のやや右側から見ている!


バシ!


あうー!


バシ!


おー!


バシ!(水が奴に跳ねる!)


つめ、おあー!


バシ!…


左右の二人がついに居なくなった。最前列には、あろうことか奴一人だ!さあシバかれる、どんな声を聞かせてくれるんだー!俺は奴に夢中になっていた。


バシ!


…おっ


クローバー次回LIVEクローバー

2024.10.17@The Voodoo Lounge