地域に根差した環境福祉・教育研究会しずおか
 設立趣意書2010.5.1版



1 現状認識と課題
 我が国を取り巻く現状は、地球温暖化に象徴される環境の変動・悪化に対する課題、少子高齢化に代表される福祉(医療・保健)に対する課題、地域社会、学校、家庭における教育力の低下に関する課題が地域の基盤を脅かしています。
 地域住民は、これらの課題については、国家(政府)や地方自治体が解決すべきものと考えがちですが、国や自治体による施策制度設計の変更に至る道のりは遠く、様々な利害調整に手間取り、いっこうに進まないのが現状です。
これらの課題の先送りにより、最も被害を受けるのは地域社会であることは言うまでもなく、地域住民が主導し、現実の課題を一つ一つ解決する市民活動が必要とされています。

2 目的
 本来、地域社会には人々が生活する上で必要とされる、健康の保持、環境の保全、暮らしやすさの確保、次世代育成等の機能が備わっており、中でも環境と福祉、教育は互いに深く関係していました。
しかし、現在では、社会の仕組みが専門分化し、環境と福祉、教育の分野の担い手は個別に活動している場合が多く、法制度や政策なども別々に策定、構築されています。加えて制度が複雑で、一般市民にとって必要なサービスをどのように利用できるのか判然としない実情があります。
総務省の発表によれば、我が国はすでに、本格的な人口減少社会に突入していますが、全ての都道府県で高齢者人口は増加し続けています。加えて大都市圏への人口流入は進み、地方都市は少子化・高齢化の影響を一層強く受けているのが現状です。
少子化・高齢化社会の諸課題に対応するには、地域で暮らす生活者の視点から、地域社会を再構築し、人が豊かに生活できる魅力ある地域づくりが必要です。
 暮らしやすい地域をつくるには、自然環境、食をめぐる環境、住環境、医療、教育、福祉、文化、交通、情報アクセス、安全、雇用等の社会環境が、総合的に整備されることが必要なことは論を待ちませんが、個別の地域に根差した議論に欠け、国、地方自治体の施策展開と地域ニーズの間にギャップが生じていることも課題となっています。  
 こうした現状認識から、これまで別々の文脈で語られてきた『環境』と『福祉』、『教育』の諸課題を、地域で暮らす生活者の視点に立ち、多様な市民の参画によって、統合的に研究することで、自ら意見を述べる意思又は機会のない方々が抱える問題を取り上げ、見過ごされやすい社会的課題の解決に貢献するものとします。
 
3 活動内容の例示
 ① 『環境』、『福祉』、『教育』をキーワードにした地域デザイン、街づくりの研究、実践
 ② 環境福祉・教育ビジネスの起業化と障害者雇用についての研究、実践
 ③ 園芸福祉療法や自然環境を利用した療法、活動の研究、実践
 ④ 福祉ニーズのある地域住民への相談支援の在り方、『ふれあいの居場所』の研究、実践
 ⑤ ストレスとの共生に関する研究、実践
 ⑥ 静岡市が主催する人材養成塾の受講者、修了者の交流の促進、活動支援
 ⑦ 関係機関団体との交流連携