今回の記事は、菅直人元首相の「ヒトラー発言」に関する問題なので、先日書いた記事の続きみたいな感じです。

「萱野稔人さんのヒトラー発言に関する見解が一から十まで間違っている件」

で、なんかこの記事を書いた後に、ひろゆきがこの論争に参加してたらしいので、少しこのことについて書いておきます。

ひろゆき, Hiroyuki Nishimura@hirox246
同じ事を書きますが「ヒトラーを想起させるのが法に触れるのか？」がおいらのtweetです。おいらが書いてない事を持ち出して同じ事を繰り返してるのは、しゃしゃり出た割に成果が得られない事に我慢ならないからですか？自分の感情を抑… https://t.co/qZDBR2t8bH
2022年02月07日 05:46

ひろゆき, Hiroyuki Nishimura@hirox246
米山さんがご自身の勘違いを理解して頂けたようで何よりです。おいらの最初のtweetは外国の出来事を日本人同志で話し合って結論が出ると考える頭の悪さを揶揄するのが目的でした。ニュースを読んだだけで外国の裁判結果を断言出来る人… https://t.co/1qNX7g3UFG
2022年02月07日 06:04

ひろゆき, Hiroyuki Nishimura@hirox246
「欧州で罪になる」であれば判例ひとつで事足ります。「欧州で罪にならない」を証明するには、27カ国の法律を読んで、罪にならない事を確認する必要があります。推測だけで証拠もなく日本人同志で語る事に意味がないというのは、米山さんに… https://t.co/QCWPRx9ghk
2022年02月08日 03:23

あまりにもバカバカしい詭弁なのですが、一応、ひろゆきの言っていることの何がおかしいのかまとめて書いておきます。

一番わかりやすく、ひろゆきの主張のバカらしさを説明できるのが３つ目のツイートです。

特定の事象に関して、「欧州で罪にならない」を証明するには、27カ国の法律を読んで、罪にならない事を確認する必要はありません。たとえば、Twitterで特定の人物を「バカ」と書いた場合に、場合によっては名誉棄損などで罪になる場合はあります。ですが、Twitterで特定の人物を「バカ」と書くことそれ自体は罪になりません。

Twitterで特定の人物を「バカ」と書くことが罪にならないことは、Twitterで特定の人物を「バカ」と書いても、問題にならないケース。もしくは、Twitterで特定の人物を「バカ」と書いたために訴訟を起こされたけど、起訴されなかったケースなどを、十分な数示せれば、推論としてTwitterで特定の人物を「バカ」と書くことは罪にならないことがおおよそ証明できます。

ただ、この場合、例えば、法律で「特定の人物に馬鹿と書くことは犯罪」という（もしくはそれに類する内容）が書かれている場合は別です。交通違反みたいなもので、赤信号で停止しなくても捕まらない場合はあるけど、信号無視は、道路交通法に違反します。みたいな。

ですが、この二つのケースは、曖昧さという点で、区分が可能で、しっかりとルールが定められている道路交通法と、ある程度、曖昧な慣習や社会規範によって判断される名誉棄損との違いとして理解すればいいと思います。

で、話をヒトラー発言に戻すと、「ヒトラーを想起させるのが法に触れるのか？」という問題に関して、「欧州で罪にならない」を証明するには、27カ国の法律を読んで、罪にならない事を確認する必要はない、ということになります。

今回の論争と関連して、すでに、Twitterで、欧州で、特定の政治家や政党をナチスやヒトラーに例えて批判する事例はいくらでも例示されているので、この点に関して、ひろゆきは完全に論破されています。

もともと、ひろゆきは、萱野氏の議論について、「賛成も反対もしてませんよー」というポジション、要は、Aの立場にも、Bの立場にも張っていないポジションを取って、「萱野氏の主張は間違っている」というポジション（仮に、この主張をAとします）の人物を揶揄して茶々を入れようとしたのでしょうが、図らずも、論争の中で、AでもBでもない「この件について日本人は、成否の判定ができない」というCのポジションを取ってしまい、論破されたワケなんですね。

要は、米山氏は、「この件について日本人であっても、ある程度合理的な推論が可能」というCに対立するDのポジションを取って論破したわけです。

３つ目の主張に関しては、「悪魔の証明」のつもりで書いたのでしょうが、そもそも名誉棄損罪や、侮辱罪、ヘイトスピーチといった問題については、先に説明したように、道路交通法のような厳密な論理ではないので、当てはめること自体が妥当ではありません。この辺も、馬鹿な論破厨を騙すのに都合が良いと思って持ち出したのでしょう。

この例のバカバカしさを証明するには、相手に「は」といったら名誉棄損になるか？という問題について考えればいいでしょう。たとえば、ある政治家Aに対して、「政治家Aは不倫をしている」と報じた出版社Bがあったとします。

もし仮に、「政治家Aが不倫をしていなかった」場合、Bは名誉棄損で訴えられて有罪となる可能性がありますが、この時に、相手に対して「は」と言ったら有罪ですということにはならないでしょう。

ですが、先のひろゆき氏の「欧州で罪になる」であれば判例ひとつで事足ります。「欧州で罪にならない」を証明するには、27カ国の法律を読んで、罪にならない事を確認する必要があります。という主張をそのままストレートに解釈するなら、相手に対して「は」と言ったら罪になるというあり得ない結論が導かれることになります。

論破王ひろゆきさんが、ヒトラー発言論争で、論破された上に、相手を誹謗中傷しちゃってる件