現在、Amazonの月額定額制(ひと月1000円くらい)の書籍朗読サービスのオーディブルというサービスを契約してるのですが、コレ凄く良いのでお勧めです。先日、又吉直樹さんの『火花』と『劇場』の朗読音声を聴いたのですが、現在ダン・ブラウン氏の著作の朗読音声を聴いていて、『ダ・ヴィンチ・コード』の上中下巻の分を聴き終わって、現在続編の『インフェルノ』の音声を中巻まで聴いています。

 

 意外と、本を読むのって時間も労力もかかるし、若い人でなければ目にも負担がかかるので、結構朗読サビースやYouTubeにアップロードされている朗読音声を聴くのはオススメですね。このオーディブルも月額1000円程度で、月に1冊分も聴けば元が取れるサービスなのでお勧めです!!

 

 と、まあ妙にステマっぽいことを書いてから本題に入るのですが、今回は『インフェルノ』のレビューです。この『インフェルノ』は上巻の展開が結構ハチャメチャでついていけない感があって(主人公のロバート・ラングドンがいきなり殺し屋に銃で撃たれて病院に運ばれて記憶喪失になり、さらに居場所をその殺し屋に突き止められて病院から逃走するシーンから始まります)、「なんじゃこりゃ?」的な感じになるのですが、中巻からだんだん面白くなってきます。

 

 本当は、先に『ダ・ヴィンチ・コード』の方のレビューを書こうと思ったのですが、結構面白いのと、先日書いたニーチェの『ツァラトゥストラ』のレビュー記事でも触れた超人思想に直接的に関係のある内容だったので先にこっちの解説を書こうと思いました。

 

 この『インフェルノ』も登場人物は沢山いるのですが一応、最もメインとなる主要人物は主人公のロバート・ラングドンを含めた4人です。

 

 主人公はハーバード大学の宗教象徴学という作品上に登場する学問の教授です。『ダ・ヴィンチ・コード』では宗教象徴学者となっていましたが、本作では美術史と象徴学の専門ということになっています。まあ、ヨーロッパの芸術作品は基本的にキリスト教などの宗教に関連する作品がほとんどですから、欧米において美術史と宗教学は切っても切れない関係にあります。で、このロバート・ラングドンシリーズでは、基本的に、この美術史と象徴学を専門とするロバート・ラングドン教授が美術作品の中に隠されている象徴や暗号を読み解いて事件を解決していきます。

 

 この『インフェルノ』のヒロインは、かつてIQ208を誇る天才児だった32歳の女性医師であるシエナ・ブルックス。殺し屋に銃で撃たれて殺されかけたラングドン教授が駆け込んで助けを求め来た病院で働く医師だったのですが、事件に巻き込まれていき、ラングドン教授と共に謎を解いていきます。

 

 そして、この作品中最も強烈な個性を持ったキャラクターが生化学者、遺伝子工学の天才であり様々な特許の発明により巨万の富を築き上げたマッド・サイエンティストのベルトラン・ゾブリスト。このゾブリストが独自の優勢思想の元に作り上げた生化学兵器の拡散を阻止するのがこの物語の最も重要なメインストーリーとなっています。

 

 最後の4人目が世界保健機関(WHO)事務局長で61歳の銀髪の女性であるエリザベス・シンスキー。ゾブリストは、このWHOの事務局長エリザベス・シンスキーを、人類の存続にとって最大の脅威である人口増加の問題から目を逸らしているとして批判し、「銀髪の悪魔」と呼んで嫌悪し敵対視しています。

 

 他にも、様々な登場人物が存在するのですが、一応中巻を読んだまででは、この4人が最も物語の主要な人物になっています。

 

 で、まあこの天才科学者のゾブリストが持っている独自の人口論が、この物語の悲劇のきっかけなのですが、ゾブリストは世界人口の増加こそが現在の人類と世界にとっての最も重要かつ深刻な問題であり、この人口問題に関して大胆かつ積極的な手段を講じなければ人類は100年以内に滅亡すると予言します。

 

 ちなみに、「世界人口 推移」で検索すると、こんなグラフが出てきます。

 

 

 で、この天才科学者のゾブリストは、秘密の研究所で世界人口を適正規模に戻すための生化学兵器の開発を開発を行うのですが、それをバラまく前にWHOに居場所を突き止められて追い詰められて自殺。しかし、WHOがゾブリストを追い詰めた時点ですでに生化学兵器は完成しており、それの拡散をどうにかして止めるためにラングドンらが謎を解きながら事件を解決しようとするという内容になっています。

 

 作中でゾブリストは、「このままでは人類の存続は不可能」であるとして、大量破壊兵器の生物生化学兵器を生み出すのですが、面白いのがその目的が「人類の繁栄と幸福のため」というより、あくまで自身のトランスヒューマニズム思想に基づくユートピアを実現させるためだというところですwこの辺が通俗的な人道主義者とは違う天才の天才たるゆえんだと思うのですが、今現在の人類の平和な生活を存続させることが目的なのではなく、自身の遺伝子操作技術によって誕生する超人類(ポストヒューマン)の支配する理想郷を地上で実現させるためには人口増加で100年以内に人類が滅亡してしまったら困るという極めて自己中心的な動機なんですね(笑)

 

 おそらく、ゾブリストには、遺伝子操作によって知能レベルを高めてポストヒューマンは必ず「人口問題や、環境問題に対して自分と同じ結論を下すだろう」という確信があったのでしょう。ちなみに、この本を読むと日本の少子化に関して、「おお!!日本はある意味で人類の歴史進化の最先端にいるではないか?!」と思いますよwもちろん、私は経済成長不要論に与するワケではないのですが、人口増加や少子化問題の解決に無理にこだわるよりも、むしろ、国民一人一人の福祉や生活水準の向上こそを目的とすべきであって、おそらく無理に結婚や子作りを推奨するよりも、国民一人一人の福祉や生活水準の向上を目指し、安心して人生設計を行えるような制度作りを行う方がむしろ自然なカタチで少子化問題を改善できるように思います。

 

 かつて、民主党が政権を取った時に、鳩山由紀夫元首相が「コンクリートから人へ」というスローガンを掲げた際に、三橋貴明さんや藤井聡さんは「人のためのコンクリート」と反論したのですが、私としては、もう少し折衷案的というか、「日本にそもそも財政問題はない」という最もラディカルな財政論を採用するのであれば、やはり「コンクリートにも人にも」という具合に、必要な部分には財政問題とは関係なく予算を分配していくという姿勢が求められるのではないかと思っています。

 

 このような考えを述べると、財政制約の問題と共に出てくるのが、モラルハザードの問題(国家の福祉に依存すると人間は努力しなくなる)、つまり道義的な問題なのですが、コチラの問題に関してもそのうち1記事くらい使って論じたいと思います。

 

 

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