今週木曜日、自民党の有志議員が集う「法曹養成と法曹人口を考える国会議員の会」総会を開催しました。高村正彦・初代議連会長(現・議連最高顧問)のあと、いまは鳩山邦夫・元法務大臣が議連会長です。私が幹事長を、橋本岳・厚生労働大臣政務官が事務局長を務めています。この議連は、法科大学院を中心とする法曹養成制度と年間三千人を目標とする法曹人口増大に対し、一貫して警鐘を鳴らしつづけてきました。このところ党の文部科学関係議員と法務関係議員の非公開幹部会で、これまで誰でも受けることができた司法試験予備試験の受験資格に制限をかけるべきだとの議論が進んでいるとの情報を聞きつけ、今回の総会ではその動きへの対応を話し合いました。議連の考えは全会一致で採択された下記の決議の通りです。

 今後は、政府と党にこの決議を携えて議連としての要請行動を実施します。現場感覚から遊離し、既得権益にしがみつき、法曹を目指す有為の青年たちの期待にまったく応えようとしないすべての勢力に対するたたかいはこれからもつづきます。   






予備試験受験資格制限に強く反対する決議


 本議連が平成二十五年六月五日付で取りまとめた『法曹養成制度と法曹人口増加の抜本的改革に向けて』(別添)で提言した通り、司法試験予備試験の拡充は、法曹養成を巡る数多くの問題解決に必要不可欠な取り組みである。

 しかるに、一部の法科大学院関係者らから司法試験予備試験の受験資格を制限するべきだとの見当違いの意見が出されていることは問題の本質的な解決から目を背け、社会と「法曹の卵たち」の信認を失った法科大学院制度を無理矢理存続させることを狙った「無駄な抵抗」と断じざるを得ない。

司法試験予備試験の受験資格を制限する企ては、法曹の多様性を失わせることをもたらす。そうまでするならば、司法試験の受験資格をなくすと共に、法科大学院制度を廃止し、制度の維持のために投じている巨額の国費(国民の税金が原資)と人材を活用して司法試験合格者に二年間の実践的法曹教育を行い、最終的に二回試験を行うことにより、法曹の質と量を確保すべきである。

専門職大学院という教育機関は、必ずしも資格試験に連動させる必要はない。むしろ、連動させることにより人材の多様化、自由で有機的な教育を阻害することが、法科大学院の現状によって実証された。

また、現行の法科大学院制度を前提にするのであれば、司法試験予備試験合格者の司法試験合格率が法科大学院修了者のそれと等しくなるまで、司法試験予備試験合格者を増大させつづけるべきである。その際、司法試験予備試験は、科目を短答式のみとするなど徹底的に簡素化しなくてはならない。合格率均衡が確保されない場合には、基本的権利である平等性が著しく阻害されたものと判断される。従って、その補償的措置が必要であり、司法試験の結果を踏まえて、合格率が均衡したと思われる人員まで前年予備試験受験者に追加合格させ、翌年以降、司法試験受験資格を与えることを定める法改正をすべきである。

ここに本議連は、司法試験予備試験の受験資格制限に強く反対するとともに、司法試験予備試験の拡充を重ねて強く求めるものである。


平成27年3月12日


法曹養成と法曹人口を考える国会議員の会