世界の終わりと受験勉強と | Creative my Life

世界の終わりと受験勉強と

旧来の小学生の受験システムには、昔から、それこそ私自身が小学生だった時からすら、一言も二言も申し上げたいことはあるのですが。

でも、最近一つの納得感を得ました。

それは、村上春樹さんの『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を読み始めた長男(小6)が、

「お、おかっ、お母さん!!これチョー面白いよっっ!」

と、目をキラキラさせながら感想を話してくれること。

小4の始めには、割算の筆算さえろくにできなかった子が、そして漢字すらろくに書けなかった子が、たった2年足らずでここまで知性を高めてくるとは予想外のことで、正直驚きと嬉しさを隠しえません。

村上春樹について語り合っている時、彼の中に「子どもなのに、子どもではない状態」を見るようです。まるで子どもという条件から解き放たれた自由な魂の輝きそのもののような。

私はそんな時の君を、とても眩しくて綺麗だなと思う。

受験を通じて、これまで君の中にそんな素敵な瞬間を何度もみてきたから、私にとって君の受験はすでに大成功と言っても過言ではない。

受験のシステムはどうしても外側の価値観に合わせることが大きいけれど、同時に内側の感覚もちゃんと育っていることがお母さんとしては何より嬉しい。

相変わらず受験のシステムに物申したい気持ちは変わらないし、別に受験を通さなくたってこの物語は味わうことができるし、自分を深掘りしていく機会はこの先いくらでもあるかもしれない。

でも、12歳の君と、こうして村上春樹について語り合えることはきっと弟たちがいて常にうるさい我が家では受験勉強がなかったら難しかったんじゃないかなと思う。

君の年齢で、手塚治虫の作品はほぼ読破し、私が世界最高だと思っている冨樫義博さんの「レベルE」も読みこなし、「おーい、龍馬」も「風の谷のナウシカ」も「宇宙兄弟」も軽やかに越えてゆき、ついに「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」まで行き着くなんて。

この先もまだ、君と語り合いたい物語は山ほどある。私の趣味全開で申し訳ないけれど、どうかこれからもついてきてほしい。