四神のひとりである朱雀こと、鳳樹(ほうじゅ)が自室でくつろいでいると…
コンコン。
ドアをノックするものがいた。
「どうぞ~。」
鳳樹が返事をすると、入ってきたのは女官長だった。
「朱雀さま。 お手紙が届いております。」
「どこから?」
「………。」
鳳樹の問い掛けに、女官長は困ったように微笑んだ。
それだけで鳳樹は差出人が誰かを悟る。
「あんのクソジジィ!」
「朱雀さまっ…!」
思わず毒づいた朱雀の言葉を聞き咎めた女官長が、慌ててたしなめる。
「朱雀さま、お父君になんてことを… まがりなりにも鳳凰一族の長であらせられますでしょうに…」
女官長の言葉を聞いた鳳樹の目が不機嫌に細められた。
「長だろうが何だろうが、クソジジィはクソジジィなのよっ! 全く、執念深いったらありゃしない!」
「ご縁談のことでございますか?」
「そ。 凰我(おうが)がまだまだ結婚する素振りを見せないからとか何とか理由つけちゃあ、アタシを結婚させようとすんのよね。」
「ですが… 世の父親というものは、皆、娘御には幸せな結婚をして欲しい、と願うものなのでは?」
女官長の言葉に、鳳樹はヒラヒラと手を振った。
「あんのクソジジィに限って、そんな殊勝な気持ちはこれっぽっちも無いわね。」
「朱雀さま…」
「先に生まれた、っていう理由だけでアタシを次の長になんて、冗談じゃないっ!」
そう、鳳樹と凰我は双子の姉弟なのだ。
本来は、鳳の字は雄を、凰の字は雌を指すのだが、たまたま鳳樹が先に生まれてしまった為、名前は反対につけられていた。
「そりゃあね、先に生まれたせいなのか、アタシの方が性格は激しくて、凰我はちょっとおとなしいわよ? けどね、もう、力だけで一族を支配できる時代じゃないのよ。 それに、凰我はおとなしいだけで、決して力が弱いワケじゃない。 それはあのクソジジィもわかってるハズなのに…」
「それなら、一度里帰りされてはいかがですか?」
突然割り込んだ別の声に、鳳樹と女官長は驚いてドアの方に振り向いた。
そこには、青龍を後ろに従えたサナが立っていた。
「陛下っ…!?」
鳳樹と女官長は慌てて立ち上がり、軽く会釈をする。
「ああ、そのままでいいですよ。」
サナは「失礼します」と言って部屋に入ってくると、鳳樹の前で立ち止まり、にっこりと微笑んだ。
コンコン。
ドアをノックするものがいた。
「どうぞ~。」
鳳樹が返事をすると、入ってきたのは女官長だった。
「朱雀さま。 お手紙が届いております。」
「どこから?」
「………。」
鳳樹の問い掛けに、女官長は困ったように微笑んだ。
それだけで鳳樹は差出人が誰かを悟る。
「あんのクソジジィ!」
「朱雀さまっ…!」
思わず毒づいた朱雀の言葉を聞き咎めた女官長が、慌ててたしなめる。
「朱雀さま、お父君になんてことを… まがりなりにも鳳凰一族の長であらせられますでしょうに…」
女官長の言葉を聞いた鳳樹の目が不機嫌に細められた。
「長だろうが何だろうが、クソジジィはクソジジィなのよっ! 全く、執念深いったらありゃしない!」
「ご縁談のことでございますか?」
「そ。 凰我(おうが)がまだまだ結婚する素振りを見せないからとか何とか理由つけちゃあ、アタシを結婚させようとすんのよね。」
「ですが… 世の父親というものは、皆、娘御には幸せな結婚をして欲しい、と願うものなのでは?」
女官長の言葉に、鳳樹はヒラヒラと手を振った。
「あんのクソジジィに限って、そんな殊勝な気持ちはこれっぽっちも無いわね。」
「朱雀さま…」
「先に生まれた、っていう理由だけでアタシを次の長になんて、冗談じゃないっ!」
そう、鳳樹と凰我は双子の姉弟なのだ。
本来は、鳳の字は雄を、凰の字は雌を指すのだが、たまたま鳳樹が先に生まれてしまった為、名前は反対につけられていた。
「そりゃあね、先に生まれたせいなのか、アタシの方が性格は激しくて、凰我はちょっとおとなしいわよ? けどね、もう、力だけで一族を支配できる時代じゃないのよ。 それに、凰我はおとなしいだけで、決して力が弱いワケじゃない。 それはあのクソジジィもわかってるハズなのに…」
「それなら、一度里帰りされてはいかがですか?」
突然割り込んだ別の声に、鳳樹と女官長は驚いてドアの方に振り向いた。
そこには、青龍を後ろに従えたサナが立っていた。
「陛下っ…!?」
鳳樹と女官長は慌てて立ち上がり、軽く会釈をする。
「ああ、そのままでいいですよ。」
サナは「失礼します」と言って部屋に入ってくると、鳳樹の前で立ち止まり、にっこりと微笑んだ。