そこは、大海原に広がる戦場だった。
あちらこちらから聞こえる剣戟の音、船を破壊する大砲の音…
衝撃を受けるたび、船が左右に大きく揺れる。
だが、その中でただひとり、微動だにしない人物がいた。
深紅の海賊服に大柄な体を包み、左右に揺れる船にいても全く意に介さない…
銀色に光る髪を頬のあたりで切り揃え、ビスチェからは豊かな谷間が覗いている。
そう、屈強な男でも静止しているのは難しい船の上で、ただひとり微動だにしないのは…
眼光鋭い女性だった。
と、突然女性が飛び退いた。
今まで自分がいた場所を睨みつける。
すると、いつの間に現れたのか、金色のオーラを纏った女性が立っていた。
海賊服を着た女性に、剣の切っ先を向けて…
ここは普通の人間ではたどり着けない、遥かに高い空に存在する天晶宮…
女仙が住む宮で、世界を統べる女王、黄龍が治めている。
黄龍の下には「四神」と呼ばれる配下がおり、黄龍の命令で世界各地の異変を解決している。
そして…
その黄龍に「次代の黄龍」と定められたひとりの女性が、黄龍から帝王学を学んでいた。
肩にかかる淡い金髪、優しそうな水色の瞳…
数奇な運命で、ベリオロスというモンスターから人間として生まれ変わった白輝こと、雪光の孫、サナである。
そして、別の部屋ではサナの親友、ルナが青龍からこの世を構成する全ての事柄を教わっている…
ハズだった。
「ヤバ~い…! また青龍さまに怒られちゃうよっ」
長く続く回廊を全力疾走しているのは…
サナの親友、ルナだった。
本来ならばすでに講義が始まっている時間なのだが、寝坊したルナは朱雀に頼み込んで、サナの後に迎えに来てもらったのだ。
もちろん、こんなことを快く引き受けてくれるのは朱雀しかいない。
まぁ、その朱雀も、実は親切からしてくれているのではなく、普段は冷静沈着な青龍がルナに振りまわされて困惑するさまを見たいから協力してくれているのだ。
息切らしながら回廊を曲がったその時…
ドシン!
「きゃっ!?」
「おっ!?」
勢いよく曲がったルナは、前方に誰かいるか確認する間もなく、何かにぶつかってしまった。
ぶつかった衝撃で弾き飛ばされ、床に叩きつけられることを覚悟して、ルナは固く目を閉じた。
あちらこちらから聞こえる剣戟の音、船を破壊する大砲の音…
衝撃を受けるたび、船が左右に大きく揺れる。
だが、その中でただひとり、微動だにしない人物がいた。
深紅の海賊服に大柄な体を包み、左右に揺れる船にいても全く意に介さない…
銀色に光る髪を頬のあたりで切り揃え、ビスチェからは豊かな谷間が覗いている。
そう、屈強な男でも静止しているのは難しい船の上で、ただひとり微動だにしないのは…
眼光鋭い女性だった。
と、突然女性が飛び退いた。
今まで自分がいた場所を睨みつける。
すると、いつの間に現れたのか、金色のオーラを纏った女性が立っていた。
海賊服を着た女性に、剣の切っ先を向けて…
ここは普通の人間ではたどり着けない、遥かに高い空に存在する天晶宮…
女仙が住む宮で、世界を統べる女王、黄龍が治めている。
黄龍の下には「四神」と呼ばれる配下がおり、黄龍の命令で世界各地の異変を解決している。
そして…
その黄龍に「次代の黄龍」と定められたひとりの女性が、黄龍から帝王学を学んでいた。
肩にかかる淡い金髪、優しそうな水色の瞳…
数奇な運命で、ベリオロスというモンスターから人間として生まれ変わった白輝こと、雪光の孫、サナである。
そして、別の部屋ではサナの親友、ルナが青龍からこの世を構成する全ての事柄を教わっている…
ハズだった。
「ヤバ~い…! また青龍さまに怒られちゃうよっ」
長く続く回廊を全力疾走しているのは…
サナの親友、ルナだった。
本来ならばすでに講義が始まっている時間なのだが、寝坊したルナは朱雀に頼み込んで、サナの後に迎えに来てもらったのだ。
もちろん、こんなことを快く引き受けてくれるのは朱雀しかいない。
まぁ、その朱雀も、実は親切からしてくれているのではなく、普段は冷静沈着な青龍がルナに振りまわされて困惑するさまを見たいから協力してくれているのだ。
息切らしながら回廊を曲がったその時…
ドシン!
「きゃっ!?」
「おっ!?」
勢いよく曲がったルナは、前方に誰かいるか確認する間もなく、何かにぶつかってしまった。
ぶつかった衝撃で弾き飛ばされ、床に叩きつけられることを覚悟して、ルナは固く目を閉じた。