「今後、ルナちゃんが想いを伝えてきても、キッパリとお断りなさいませ。」

ユイナの言葉に、青龍は複雑な顔をした。

「しかし、それでは…」

「ルナちゃんを傷つけるかもしれない、と思って中途半端に優しくする方が、かえって傷つけることになります。」

「そんなものなのでしょうか?」

「そうですよ。」

そこまで言うと、ユイナはフッと優しく微笑んだ。

「大丈夫です。 冷たくしろと言っているのではありません。 ただ、ルナちゃんが“青龍さま、大好きです♪”と言ってきたら“ありがとう。 けど、ルナちゃんの気持ちには応えられないよ”と言うだけです。」

「しかし…」

「ルナちゃんの青龍さまを思う気持ちは、思春期にはありがちな“恋に恋する”気持ち、もしくは“かっこいい同性に憧れる”気持ちのどちらかの可能性が高いです。 オマケに、彼女はいずれサナちゃんの片腕になる可能性があるなら尚更、今は恋よりも修行の方が大事でしょう?」

「そう、ですね。」

ユイナの言葉を聞いた青龍は、顔を引き締めた。



「「ありがとうございました!」」

修練場に、少女2人の元気な声が響く。

「お疲れさま。」

「はぁ~! 疲れた~(´д`;)」

「大丈夫? ルナちゃん?」

「ていうかさ、ユイナさま、何であんなに強いワケ? ワタシ、太刀だよ? ユイナさま双剣で、ワタシの方がリーチが長くて有利なハズなのに、何で1本も取れないの?(`ε´)」

「そりゃあ、ユイナさまは“タンジアの白騎士”だもの…(^_^;) それに、四神の皆さまの剣のお師匠さまでもあるんでしょう? 私たちが1本取れないのも、無理はないと思うけど?」

「だよねぇ…(´・ω・`)」

少女たちがひと休みしていると、ユイナが冷たいお水を持ってきてくれた。

「はい、どうぞ。」

「「ありがとうございます!」」

「そういえばルナちゃん、ちょっと聞いてもいいかしら?」

ユイナの言葉に、ルナは首を傾げた。

「何でしょうか?」

「ルナちゃん、青龍さまのことが好きなのよね?」

「好きですよ?」

「それって…」

どう続けるべきか迷っているユイナの顔を見て、ルナはカラカラと笑いだした。

「あ、もしかしてワタシが青龍さまに“好きです♪”って言ってるの、恋愛感情だと思ってます?」

「違うの?」

「違いますよ~ヾ( ̄∀ ̄)」

あっけらかんとルナは笑った。