ふと見上げた星空
また キミを探してた
大好きな雨なのに
なぜか今日は冷たくて…


Janne Da Arc 「月光花」より


「す、凄い…」

エリア5でジンオウガと対峙した女性は、怯える様子もなく、次々と攻撃を繰り出していく。

ジンオウガの連続攻撃もひらりとかわし、少し斬りつけては距離を取る。

「教官に教えてもらった立ち回りと違う?」

いまだ実戦経験のない雪光に、教官の教える理論上の攻撃方法と、女性が繰り出している実戦攻撃の違いがわかるハズもない。

それでも…

ほとんどジンオウガの攻撃を喰らうこともなく、女性が落とし穴を仕掛けてジンオウガを捕獲した時、雪光は興奮のあまり飛び出してしまった。

「凄いですねっ! どうしたら、そんな風に攻撃できるようになるんですかっ!?」

突然、自分に声をかけてきた雪光を見て、女性の瞳が極限まで見開いた。

「しろっ…!?」

何か言いかけたが、興奮している雪光を見た女性はフッと苦笑すると、雪光に声をかけてきた。

「キミは、私が見えるのね?」

「………? はい、見えますよ?」

「そう… そういえば、攻撃の仕方を聞いてきたけど、キミはハンターなの?」

女性の言葉に、雪光は決まり悪げに頭を掻いた。

「突然、すみませんでした。 実は俺、まだハンター候補生なんです。」

「ああ、これから成人の儀を受けるのね?」

「はい!」

嬉しそうに答えたものの、雪光の表情が急に曇った。

「どうしたの?」

「実は…」

雪光は話そうかどうしようか迷っている風だったが…

何度か顔を上げては下を向いてしまう。

そんな雪光を見て、女性はクスッと笑った。

「ウルクススで5分切れる自信がないの?」

「え…!? 何でわかったんですか…!?」

驚いて顔を上げた雪光に、女性はフワリ、と微笑んだ。

「キミ、優しそうだもの。 どう攻撃しようか迷っているうちに、5分経ってしまうんでしょう?」

女性の言葉に、雪光は真っ赤になった。

「頭ではわかってるんです。 でも、どうしても身体が動かなくて…」

下を向いてしまった雪光に、女性は厳しい言葉をかけた。

「迷って身体が動かないのなら、ハンターになるのはやめなさい。 キミには向いていないわ。」

「なっ…!?」

硬直した雪光に、女性は厳しい眼差しを向けた。