一体、どれほどの時間、そうしていたのだろう…


冷たくなってしまった白輝の体に寄りかかり、ユイナは茫然としていた。


声は枯れ、それでも涙はとめどなく溢れ…


その時、微かに何かが割れる音を、ユイナは聞いたと思った。


力なく首を巡らせると…


雪だるまにされて身動きが取れなくなっていたイビルジョーが、モソモソと動き出した。


やはり、雪だるまにしたくらいでは、イビルジョーを倒すことはできなかったのだ。


やがて体中の雪がはがれると、イビルジョーの体が怒りの為に赤く染まった。


あの状態になったイビルジョーに攻撃されたら、今の自分はひとたまりもないだろう。


最も残酷な方法で白輝を死なせてしまった自分には、生き延びる資格なんてない…


覚悟を決めて、ユイナは静かに目を閉じた。


「願わくば… ひと思いに殺してくれますように…」


襲いかかってくるであろうイビルジョーの攻撃を受け止める為に、ユイナは胸の前で手を組んだ。


が、いつまで経ってもイビルジョーが来る気配がない。


ユイナが恐る恐る目を開けると…


あたり一面が金色の光に照らされていた。


良く見ると、いつの間にかイビルジョーの体が倒れているではないか。


そして、倒れたイビルジョーの近くには、より強い金色の光を纏ったひとりの女性が立っていた。


「………?」


事態が飲み込めずにいるユイナに気付いたのか、女性がつかつかと近寄ってきた。



バシッ…!



女性は何も言わず、いきなりユイナの頬を叩いた。


「なっ…!?」


「この愚か者っ…! 白輝が助けた命、なぜ無駄に捨てるような真似をするっ…!」


美しい眉をつり上げ、女性はユイナを怒鳴りつけた。


「だって! 私は白輝にそんなことをさせる為に助けたんじゃないっ!」


ユイナの言葉を聞いた女性は、ふと表情を和らげた。


「そら…」


女性が指を指すと、白輝の体が淡い光に包まれた。


「世の理に反するゆえ、死んでしまったものを生き返らすことはできぬが…」


女性の言葉が終わるか終わらないかのうちに…


白輝の体はすうっ、と消え…


かわりに一体の白銀の鎧が現れた。







多分、次で完結できる…


といいなぁ…(爆)