Jersey Boy 閉幕 | 戸井勝海オフィシャルブログ「TOY通信」Powered by Ameba

Jersey Boy 閉幕

ミュージカル 『ジャージー・ボーイズ』 日本版初演。



6/29にプレビューを迎え、

7/1に初日。

そして先日、7/31に無事、千穐楽の幕を下ろすことができました。



稽古場でやっているときと、実際の劇場でやっているときと、

あそこまで感覚が違う作品は初めてだった。


明かりも入らず、

ただ盆が回って、


演技エリアにいながらも、

自分が今お客様から見えているのかいないのか、

それすらもわからずにやり続けた稽古。


演出家・藤田俊太郎氏の空気が好きで、

彼の言葉が好きで、


僕の中では、

彼が大丈夫といえば絶対に大丈夫なんだろう!

というものすごい信頼感があった。


プレビュー初日。

稽古不足でドキドキしながら舞台に立っていたけど、


あんなにも舞台と客席がキラキラして見えたことはない。


そのキラキラは日を追うごとに増していった。

きっとそれは、お客様とキャストのエネルギーが融合して生み出されたキラキラだったのだろう。

そんな夢のような空間に41回、いさせていただいたことは、

幸せ以外の何物でもなかった。




ツイッターでも呟いたけど、

終わったばかりという気がしない。

もうずいぶん前のことのような気もしている。



歌稽古に2日遅れて参加した時、

膨大な譜面を目の当たりにして、

そして歌唱指導・音楽監督補の福井小百合氏の要求の高さに、

たった2日間の数時間の稽古の差を

最後まで追いつけないんじゃないかと焦った。


53歳にして初めて、

上のレの音を間違って憶えていたことを知らされた!

つまり、上のレを出そうとすると必ず違う音が出るのだ。

そんな指摘、初めてだった。

稽古場での稽古が終わっても、それは直せなかった。


なにせ、何が正しいのか、もはや自分にはわからなくなっていたのだ。


本番に入ってからも毎日、楽屋で 『いま、あめがーっ』を連呼した。

しまいにはスタッフさんをはじめ、僕以外の全員が正確に歌えるようになっていた。

同部屋だった阿部さんとモックンは本当に迷惑だったことだろう。


この場をお借りして、

ごめんなさい!!



赤と白と、まったく性格が違うボーイズたち。

当然人間関係も変わってくるし、

そうなるとその周りの我々シングルキャストとの関係性も変わってくる。

しかもそれぞれのチームが日替わりで違う芝居をしてくるとなれば、

今が赤なのか白なのかを考えるよりも、

ただただその場の空気の中で、

ただ自然に呼吸しているよりほかなかった。


段取り的なことを考えれば、

たまには「オイオイ!」という日もあったが、


それでもその空間にいることがたまらなく楽しかった。



日本版『ジャージー・ボーイズ』初演に参加できた喜び、幸せ。

藤田俊太郎氏、福井小百合氏をはじめ、

支ええてくださった素晴らしい方々との出会いに

心から感謝しています。

毎日客席からこの作品作りに参加してくださったお客様にも!



さらに成長した姿で皆さんと再会できるよう、

今日からまた精進してまいります。





今回ほど、いいことも悪いことも、

沢山起こったことはありません。


でも何が起きても、

いつもみんなで力を合わせて、心をひとつにして

乗り越えてきた。

『ジャージー・ボーイズ』の関係者は

共演者というよりも、

戦友・同志でした。

みなさんがいてくれたから、

僕はあの舞台に立ち続けることができました。


本当に本当にありがとうございました。

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最後に、クリストファー・ミエリさん。

あなたが奏でるやわらかい音のとおり、

あなたの笑顔はとても優しかった。

前楽の終演後、楽屋の廊下で

「おつかれさまでした!また明日!」

と言いながらハイタッチした時のあなたの笑顔と手の感触。

絶対に忘れません。

一緒のステージに立てたこと、誇りに思います。

ありがとうございました!