『雪と珊瑚と』 | 本がともだち

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本とのつきあいについての徒然
時々ロードバイクのことも。

雪と珊瑚と/角川書店(角川グループパブリッシング)

¥1,575Amazon.co.jp



図書館の本は返却期限が決まっている&予約して借りられるのを首を長くして待っていたものなので、すぐに読んでしまうのですが、友達から
「これ、おもしろいよ!」
と言われて借りた本はついつい後回しになりがち(^^;;

この本もそんな一冊なのですが、引っ越しが決まったのでその前に読んで返さなくては! と慌てて着手しました(笑)




内容 「BOOK」データベースより

珊瑚、21歳。生まれたばかりの子ども。
明日生きていくのに必要なお金。
追い詰められた状況で、一人の女性と出逢い、滋味ある言葉、温かいスープに、生きる力が息を吹きかえしてゆく―。
シングルマザー、背水の陣のビルドゥング・ストーリー。




梨木さんは『りかさん』しか読んでいませんでしたが、女性同士の、しかも年代の違う人たちの友情というか人情というか……うーむ、なんとも表現しがたいのですが、そういったことを描くことに長けているような気がします。



親である自覚の薄い親に育てられ、高校生の時からほぼ自分の力で生きてきた珊瑚。
同い年の定職も持たない男と若くして結婚して、雪を生みますが、まもなくして離婚。
頼る者もなく、蓄えも底を尽きかけ、働かなければならないけれどまだ赤ちゃんの雪の面倒もみなければならない。
そんなある日偶然見つけた
「赤ちゃん、お預かりします」
のチラシ。

チラシの主くららとの出会いから、身体に優しい食べ物を提供したいと思うようになっていった珊瑚がカフェを開く、という物語です。



何となくちょっと甘いかなぁ と思ってしまうような物語なのですが、キャラクターが1人1人個性的で、特に珊瑚がアルバイトをしていたパン屋の同僚が強烈で、一差しの苦みを加えています。
この苦みは結局中和されることなく終わってしまうのですが、世の中にはこういう人もいるよね、と改めて感じさせられました。


淡々と進む、でもとてもリーダビリティのある物語で、薦められた理由がわかります。
読んでよかったお話でした。