僕の好きな人が、よく眠れますように (角川文庫)/中村 航
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なぜだかよくわからないけれど「好き」と思う作家、中村航。
それでも『100回泣くこと』は読む気になれないのです……。
わざわざつらそうな話を読むことないよね~と思ってしまうので。
この本はタイトルがいいなぁと思っていました。
装丁もステキ。
単行本を買おうか悩んでいたのですが、そうこうしているうちに文庫になり、装丁も同じなので速攻で購入しました(*´ヮ`*)
内容 「BOOK」データベースより
「こんなに人を好きになったのは生まれて初めて」。
東京の理系大学で研究を続ける大学院生の僕の前に、運命の人が現れた。
春、北海道からゲスト研究員でやって来た斉藤恵―めぐ。
だが直後の懇親会で、彼女はある事情から誰ともつきあえないことを知る。
やがて日夜研究を続けて一緒に過ごすうちに、僕はめぐへの思いを募らせ、遂に許されない関係に踏み出してしまった。
お互いに幸福と不安を噛みしめる2人の恋の行方は。
読み始めてすぐに「ええっ、そんな話!?」と一瞬引いたのですが。
……なんでしょう、「ぼく」と「めぐ」以外の人間があまり描かれないせいか、ほんわかかわいい童話のように読めてしまうのです。
人を好きになる幸福をお互いに身体いっぱいに心いっぱいに感じている2人の様子に、なんだかほのぼの。
言うなればバカップルがいちゃいちゃしている話なのですが、そこにフッと陰が差し込んだり、わけもなく寂しさを感じたり。
そういった表現が、中村航は非常に巧いです。
「ぼく」がバイト先で知り合った謎の人物・木戸さんは『絶対、最強の恋のうた』にも登場するキャラなのですが、男の人ってこういう謎キャラ好きよね……なんて笑ってしまいました。
なんてことのない話だし、人を選ぶ作品だとは思いますがわたしは好きです。