本日は7月20日土曜日。曇り。気温27℃。

今日の旭川は昼から晴れて32℃、明日の夜からしばらく雨の予報だ。 


旭川滞在20日目。残り後10日間。8月は札幌に滞在予定だ。「札幌大通ビアガーデン」が昨日7/19(金)から始まったが8/14(水)迄なので札幌滞在時に行ける。


また旭川には来週火曜日から金曜迄広島時代の知人達が3泊4日で旭川に来る。これからスケジュールを組んだり夕食の店の予約や車の整備など準備もあるので明日から忙しい。なので今日も近隣を散策する事に。


今日のテーマは“旭川の日本酒の蔵元巡り”。

旭川の3大蔵元と言えば男山酒造、国士無双の高砂酒造、大雪乃蔵の合同酒精だ。


道内には小生が生まれた頃の1958年には56あった蔵元が現在では12に減ったが何故かその内3つが人口33万人の旭川に残れた。何故か?


この疑問を調べて見たいのでまずは蔵元巡りをしようと思ったのだ。


先ずは「男山酒造」へ

<男山酒造資料館>


五稜郭陥落で戊辰戦争が終結したのが1869年、155年しか経っていないがこの男山酒造は1661年兵庫県で木綿屋の看板で山本さんが酒作りをはじめた。1733年には将軍吉宗の御膳酒の指定を受けた。ただ1800年代になり衰退。男山と言う酒は分散したが新潟出身の山本さんが1887年札幌で開業。第七師団創設の1899年に旭川に移転した歴史ある蔵元である。ここでも旭川の歴史は第七師団以降だった。

釧路のような江戸時代からの歴史にはたどり着けなかったが蔵元が3つも残っている理由探索には関係が無い。残っている理由探索を進める。


<延命長寿の水>   水汲み場を一般に解放している


 日本酒作りで重要なのはやはり水だ!

 その良質な水が旭川にはあったのだ。


大雪山連峰の雪解け水が長い年月をかけて伏流水となったもので仕込み水としても使用している。

資料館に入ってみる事に。


<酒米(さかまい)>  水以外にもやはり”米“が重要


日本酒1L作るのに水は14倍の14L必要との事だ。

北海道産酒米(さかまい)の収穫量は10年で700トン増だ。

 ①吟風(ぎんぷう)2000年誕生 

  濃厚で芳醇(ほうじゅん)な味わい

 ②彗星     2007年誕生

  淡麗辛口すっきりとした味わい

 ③きたしずく  2014年誕生

  雑味が少なく柔らかすっきりとした味わい

本州の酒米の王様“山田錦”は男山大吟醸で使用しているが年々北海道産の米比率は上がっている。

※食べるお米の北海道産(豆知識)

 ゆめぴかり ななつぼし ふっくりんこ

※酒米と食べるお米の違い

 粒が大きい、デンプン質が多い、吸収性が高い

 心白(しんぱく)の比率が高い

 心白とは米の中央にある白く濁った部分


<1795年歌麿44才の絵の中に“男山”が!>木綿屋乃男山


<調合タンク>


<米国にも進出>


昔出張でボストン、シカゴ、アトランタ、オーランド、ロス、サンフランシスコ、シアトル、サンノゼ、ハワイに行って2、3カ所で日本酒を飲んだが男山だったのかもしれない。今となっては当時飲んだ銘柄は調べようがない。


資料館で情報収集後お土産の日本酒を購買。

旭川のスーパーでは購入できない、いろんな酒類の日本酒を飲み比べできるように300ml小瓶を7本購入。帰り秋田にいる息子夫婦と飲もうと思う。


<江戸幕府の御免酒> 徳川の家紋の三つ葉葵が!

次に「合同酒精」に行って見る事に。旭川の家から近い場所だ。

何処が正門かわからないので敷地の外道を時計回りに歩いて見る事に。近くに前回ブログした十勝ばんえい競馬の場外馬券場があった。レラ スポット北影都(きたさいと)

歩く事10分。大きな敷地だ。

<合同酒精正門>


<敷地内の様子> 蔵元と言うより工場の敷地?


ここでは資料館や販売店のようなものが無く情報は得られなかった。


次は国士無双が有名な「高砂酒造」へ。

ここも前回ブログした旭川の家から近い場所だ。

<高砂酒造> 前回ブログに掲載済み 旭川の家から近い


<仕込み水> ここでも大雪山系の伏流水を使用


大雪山の伏流水。水道水は軟水だがここの伏流水はミネラルを含んだ中軟水との事。

大雪山系から上川盆地に位置する旭川は昨日ブログした牛朱別川、忠別川、石狩川と美瑛川の4本の川が流れ込む水資源が豊富な町なのだ。


<高砂酒造 道内各地のお酒> こんなに沢山!


龍乃泉(当麻町) 雪なごり(沼田町) 北吹雪(遠別町)

法螺吹(ほらふき 中富良野町) 大法螺(新篠津町)


<きたしずく28%の国士無双>


<彗星35%の国士無双>


国士無双は1975年発売の男性的かつ爽やかな辛口だ。

<大雪と雪中> 大雪は2002年ロサンゼルスと同時発売

  雪中は雪中貯蔵酒


ここでもお土産に購入

<国士無双>1,760円

 純米生貯蔵酒、純米吟醸酒、本釀生貯蔵の3本セット


<道産米酒>1,980円

 法螺吹(ゆきひかり) 、風のささやき(吟風)、

 大雪(道産米45%)の3本セット


今回の蔵元巡りで旭川に蔵元が3つも生き残れた理由を考えて見た。当然各社の企業努力があった事は大前提だがそれ以外の理由を考えた。

一つ目は“上質な水”。大雪山山系からの雪解け水。昨日の川巡りのブログにも書いたが旭川は沢山の川が流れており大雪山山系からの綺麗な水が得られる貴重な場所である事。

二つ目は“道産の米” 。価格を抑える為にはやはり日本酒向けの良質な米が地元から取れる事だ。本州の山田錦のみ使っていたら差別化もできないし価格も高くなってしまう。

 ※上質な道産米

  初雫(はつしずく)、吟風、彗星、きたしずく

三つ目は日本酒作りに適した“寒冷な気候”だ。


また旭川の酒作りは明治24年(1891年)旭川が開村し400戸の屯田兵が来た時に始まったそうだ。

井上靖が生まれた明治40年旭川の人口は3万人だったのでそれより少ない人口の時にだ。札幌迄の鉄道もなく現国道12号もぬかる道で冬には通れない時もあり陸の孤島になっても生活できるよう米や日本酒も自給自足が求められたからだ。


なんとなく旭川に蔵元が多い理由がわかった気がした。

16:00気温は32℃。予報通りだ。暑い。そろそろ帰ろう