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紀尾井ホールの演奏会に行ってきました。

今回は明治になってから作曲された曲の中から4番ピックアップ。
『新曲浦島』『松の翁』『綱館』『虎狩』
演奏は人間国宝がずらりと並ぶそうそうたるメンバー。

途中、トークも入ります。
解説の稀音家義丸さんは立教時代長唄研究会で一時お世話になった先生。
あれから20年近く経っているんだわーっと思いながら拝見していましたが
義丸さんはちっともお変わり無く、相変わらず江戸前の口調でお話されていました


トークでは、江戸から明治になって長唄が変化してきたか、という点がメインでした。
簡潔にまとめるとだいたいこんな感じ。
1,テーマとして遊里、吉原系のものがなくなった。
2,男女の色模様を描いた歌詞の廃絶
3,楽器の改良
4,楽譜の登場
面白かったのは三味線の皮は江戸時代は今のようにピンピンには張ってなくて
ボコボコで1年経っても皮が避けなかったらしいというあたり。
棹も胴も細く、もっと華奢な楽器だったみたいです。
ということは、今聞いている明るくカラッとした音っていうのは明治以降の音だったんだなー
江戸の三味線ていうのはもっと洗練されていない、民族楽器だったんだなーっと。
『はなれごぜおりん』とかが弾いてるみたいな音。
それはそれで哀愁があっていいかも。

さて演奏のほうは、4番それぞれに流派の特色がよく出ているなあと思いました。
他派の演奏を聴く機会は少ないので勉強になります。

杵勝は家元、うちの師匠をはじめとするメンツで『虎狩』
以前紹介した杵勝三伝のうちの1曲。
この曲は近松の国姓爺を題材とした曲で
全曲を通して鳴り物が入り
聞いていてとても楽しくなる曲です。
舞台が中国なので木琴やチャッパなんかも入ります。
お話は日本に生まれた後の鄭成功の和藤内が
明に渡って虎退治をし虎狩をしていた中国人を家来にするっという内容。
義丸さんの解説によると、歌詞が過激で国際問題に発展するので
放送は絶対できない作品だということ。
確かに、家来にした中国人の頭を月代を剃れっと言ってみたり
名前を日本流にしろっという侮辱したと言われかねない歌詞。
現代では大問題ですが、もっと大らかに曲を楽しみたいものですよねー。

この企画はこの後大正、昭和の長唄を取り上げるみたいです。
長唄って江戸時代の遺物と思われがちですが
時代とともに発展して今も作曲されてる音楽なんですよぉ