自宅に戻り、さっそく教わったようにやってみる。


カレースプーンにちょこっと、と言われ容易に思ったのだが、想像していたようには全くできなかった。

スプーンの角度を保ちながら、反対側の手で母乳を搾る動作はどうしてもできなかった。

母乳はスプーンで受けるほどの量もなく、おっぱいを絞りながらゆすって、やっとポタリと落ちるかこそぎとるしかなかった。また、利き手と反対に持ったスプーンはすごく不安定で、どうにか絞れても搾り切る前にひっくり返してしまうのではと、悲しくなった。


今一滴が貴重な母乳をスプーンで受けて、それを保存するために搾乳パックに入れ替え、その後また病院でシリンジに移し替えられる。無駄にする量も多い。赤ちゃんの胃に入る量をとるのに、どれほど試行錯誤しなければならないのだろうと、途方に暮れる思いだった。