ボクの活字中毒遍歴の始まりともなった、かなり中毒性の高い本です・・・・


初めて読んだのは小学校4年生の時。いつも自然の中で遊んでばかりいるボクは、ファーブル昆虫記やシートン動物記などの本には興味がありましたが、小説と呼べる本はまだ未知の世界でした。 


道徳の授業で担任だった里中先生がボク達生徒のために朗読してくれたのです。

関西弁のイントネーションや、女性登場人物の声色などを駆使して読み聞かせてくれた内容はボクの中でジワジワと麻薬のように浸透していったのです。


●兎の眼●

赴任したての教師「小谷先生」と一風変わった少年「鉄三」、彼らをとりまく個性豊かな人々。

一所懸命心を開き鉄三と接しようとする小谷先生。小谷先生に一切心を開こうとしない鉄三。

鉄三や子供達と必死の思いで接していく小谷先生は、徐々に本当の心のふれあいを見つけていく・・・

すべての人々がまるで自分の口から言葉を発するかのように文章が目に飛び込んできます。

大人と子供のかかわり方。イジメの現場。人の心の温かさ。

すべての子供を持つ親、教育現場に立つ教師の皆さん、そして感受性豊かな子供達。すべての人に読んでもらいたい本です。

灰谷文学代表作

                                   書評:活字中毒者


灰谷 健次郎
兎の眼