米沢の名君上杉鷹山こと上杉治憲と同じような状況で藩主になった細川重賢公の藩政改革の時代小説です。
童門 冬二さんはこういった時代小説を書かせるとさすが上手いですね。
破綻寸前の財政、まかり通る古い慣習、覇気のなくなった領民・・・同じような状況なのですが、藩主としての方向性や視点が全く違っているのが面白いです。
リーダーとして引っ張っていくタイプではなく、人材を発掘し、任せ、影の力になるタイプです。多種多彩な人材をまとめて意見を取り上げています。こういった部分での人心把握術は目をみはるものがありました。
殖産興業、農業振興、人材育成などなど、やらなければならないことは当然のようにたくさんあります。
ここで、その中でも人材育成を第一に考えていることに注目したいです。
慌てずにゆっくりと。しかし決定したら迅速に。その手綱さばきも見事です。
山形と福岡という土地柄の違いや人柄の違いが大きいかもしれませんが、ここが“重農主義”の上杉鷹山とは大きく違った点です。
その人材が多彩!
“ガネマサどん”として親しまれた堀平左衛門、他人には厳しく当たることしかできない松野平蔵、型破りの学者陣秋山玉山・片岡朱陵。一歩間違えると単なる異風者になってしまうような男たちが“再建”の名の下に集まります。
そこには“愛国心”があったのかもしれません。しかし最も大きかったのは“忠孝心”だったような気がします。“個”よりも“集”を重んじる。現代人、特に押し付けのアメリカ風民主主義では培うことの出来ないその心。日本人本来の気持ち。この心を見直すのことが、もしかしたら日本という国をもう一度立て直すことかもしれません。そんなことを考えた一冊でした。
かのケネディ大統領が尊敬する日本人と挙げた上杉鷹山よりは確かにマイナーです。
こういった日本人に光が当たってくれるといいなぁ!!
・読んだ日:'99/10/13~10/15。
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『名君肥後の銀台 細川重賢』
- 童門 冬二 |