『アムリタ(下〉』『アムリタ』(上) の続き。オカルトな弟のためにサイパンに旅立った主人公。

そのサイパンでの後編~新しい人物たちとの出会い。

長編ですが、こうやってどんどん新しい登場人物たちが現れて飽きさせません。


 誰もが「ここにいる」「ここにこうして生きている」と自己表現をしています。それは活動しているときだけではなく、眠っているときも、死んで魂になってしまってもです。

 「生」は永遠ではありません。だから楽しい。

 誰も自分のことをわかってはくれません。だから「友」を作る。

 矛盾やパラドックスだらけですが、ここには「幸福」や「生」の不思議やいたたまれなさがすごくあふれています。

 この小説は普通ではない人たちの悲しさややるせなさ、思いが詰め込まれています。


 主人公の朔美ちゃんはこういった「非常人」や「超人」を「常人」に中和してくれているような気がしました。

こういう能力は誰にでも生まれ持ったものではないような気がします。

 「生」を割り切り、「魂」を割り切り、「自分」を割り切り、「幸福」を割り切る。このを割り切るとは、クールになるとか、冷静になるとか、冷めるとかではなく、存在していること、ここにあることを認めることかもしれません。言葉で言うと簡単なような感じがしますが、できないことでしょう。


 この本のタイトル『アムリタ』。

これの言葉の意味は「生きていることはごくごくと水を飲むということ」という意味です。

 この言葉。すごくこの本の内容を表しているように感じました。

水は吸収されます。生きるには必要不可欠です。しかし、存在を忘れてしまいがちです。このあまり重要に感じないことをきちんと重要に感じよう、という主題。すばらしいことだなと思いました。


長編で、内容もオカルト的でとっつきづらいような感じがするかもしれません。

だからこそ伝えたい思い、感じて欲しい心、忘れてしまった何かを思い出させてくれます。

吉本ばななさんだからこそ実現した不思議で暖かい、素晴らしい物語です。


・読んだ日:'99/07/15~07/16。


『アムリタ(下〉』 『アムリタ(下〉』 - 吉本 ばなな(よしもと ばなな)
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出版日 : '02/09(書籍は'94/01/12出版)
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