金曜の夜。



夜のビジネス街には、会社帰りのサラリーマンが溢れていた。


チィもつい半月前まで、彼等と同じカテゴリーに入っていたことを思い出していた。







「あのテーブルのお客様が、ちょっと焼酎多めにいれて欲しいと言ってたので、よろしくお願いできます?」


チィはキッチン内にいるドリンカー(飲み物を作る人)に伝えた。


「え!?じゃあ、追加で一本多くハンディで打って」


ドリンカーの女性は忙しそうに返事をした。


「いや、ちょっと増やすだけで、喜ぶとおもいますよ。これもうちょい足してもらえますか?」



チィは通常通り注がれたグラスをドリンカーの元へ返した。


「じゃあ氷で増やしとく」



〈おいおい。ちょっと増やすだけじゃねーかあせる目先だけの原価とか変に知識が付いてるのかなんだかしんないけどさ。。。


ここで、お客様の心つかんでまた来店してもらった方がよっぽどいいじゃねえか星爆弾むかっ


お客様の期待を超えないといくら立地がよくてもいつかダメになるぞ。。〉



結局何度かのやりとりの後、若干お酒を多めにいれたグラスをテーブルに持っていった。


「なんとか頑張って半分よりかなり多めにいれましたよ」


チィは「一生懸命がんばりました」というような顔をつくりつつお客様に言った。


一瞬の間。







「うわあ、ありがとう!やさしいね君。名前なんて言うんですか?今度またあなたに頼みますよ」


グループの中の幹事がチィに握手を求めた。



「あはは。今回だけですよ!?絶対また来てくださいねアップアップ



「また使うよ。ありがとう!」




「また」がいつになるかはわからない。


だけど、こうやって地道に顧客を増やしていかないと、いくら仕事が出来ても、その仕事自体がなくなる。



チィはこれからの店の未来を案じていた。


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