「公庫一本で頼り過ぎてたよ。公庫に融資申請する同じタイミングで、区の制度融資も申し込んでおくんだった。」
チィは、電話で一番の親友とも言える、マサに言った。
〈まあ、制度融資は下りるまで、時間がかかるし、その時は公庫だけで精一杯だったけど〉
「マジかよ!?公庫厳しいな。そんな何千万も借りるわけでもないのに。ダイナマイト持って突っ込んだ方がいいんじゃない!?」
「あはは。だけど、いろいろ勉強したわあ。あと、二年延期する。次は、個人じゃなくて会社組織でやる。まあ、もともと個人でやっても、法人成りしようとしてたからさ。」
「そっかあ。まあ、よかったと思うよ。来月からは?」
「飲食系の企業で働くよ。俺みたいな経歴は珍しいらしく、ほとんどその場で内定もらえたわ。事業計画書も書いてたくらいだから、そりゃスラスラ答えられるわな。」
チィは、開業を延期することに決めた次の週からは、既に転職活動を始めていた。
狙うは、独立支援があり、店舗数、売上が伸びていて、多くても100店舗以内。
三社にネットや電話にてコンタクトをとり、二社より内定をもらった時点で、来月からの入社に関する、条件交渉に入っていた。
飲食業界の人材は飲食業界の中で回る。
面接担当者は口々に言った。
そしてそういう観点から、自分の経歴は珍しいと言われた。
ときには、それが圧迫にも捉えられるような口調で質問されることもあったが、そういう時は、淡々と動じず、対処した。
一年間開業準備をしていく上で、自信がついたのかもしれない。
それほど、チィにとっては、あっさり終わった転職活動であった。
面接の時も、面と向かって経営者になりたい、独立したいと担当者に言った。
〈次はへまはしない。低投資でテストするつもりだったけど、今度はある程度金を掛けてトライする。店長経験を積んで、仲間を作り、融資がおりやすい物件で再トライだ〉
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