衆議院議員 加藤公一の議事録(仮)

衆議院議員 加藤公一の国会での議事録です。


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【61-1】平成20年02月26日

169-衆-法務委員会-2号 平成20年02月26日



○加藤(公)委員


 民主党の加藤公一でございます。
 午後一の再開のタイミングというのはなかなか委員がそろいにくいのかわかりませんが、幾ら忙しくても与党の理事の先生ぐらいはおそろいいただきたいなと思いますので、御無礼ながら、一言苦言を申し上げてからスタートさせていただきたいと思います。
 今国会においては法務委員会最初の質疑の時間でありますので、大臣の所信に対してと、もう一つは、法務省、検察庁絡みで幾つか不始末が発生をしているようでありますので、そんなことも含めてきょうは質問させていただきたいと思います。
 質問については既にきちんとお知らせをしてあるんですが、その前に一個だけ、簡単なことなので大臣に伺いたいことがあるんです。
 徳島刑務所の松岡医務課長の件がかねてより問題になっておりますが、これに関連して、カルテを資料として提出してくださいということをお願いしていたんですね。出していただきました。出していただいて、大変な量がありますから全部を私は拝見しているわけではありませんが、一部、素人ながら見せていただきましたら、素人から見ても、あれ、これはどういうことなんだろう、こんなのでいいのかなと思う部分が散見されます。
 大臣、これは中身をごらんになったことはありますでしょうか。



○鳩山国務大臣


 見ておりません。
 ただ、私が報告を受けておりますのは、今法務省で懸命に調査している中で、肝炎の方が相当多いという報告を受けました。カルテ自体は見ておりません。



○加藤(公)委員


 この件をきょう深く私がやることはしませんので、もうそれで結構なんですけれども、素人から見ても、あれ、こんなやりとりが本当に適切なのかなと思うような部分もあるものですから、大臣もお忙しいとは思いますが一度ぜひ中身をごらんいただいて、ちょっとおかしいぞと思えばさらに調査の方に力を入れていただくように、冒頭お願いしておきたいと思います。ちょっと疑問の残るところが、私から見てもございますので。
 それでは、大臣の所信に関連をして質問させていただきたいと思います。
 まず、所信表明の中で、アルカイダ関係者が日本に不法入国を繰り返していた、あるいはアルカイダを初めとするイスラム過激派が我が国を再三テロの標的として名指ししていた、こういう御発言がありました。そして、さらにそれを受けてテロに関する調査の充実強化を進める、こういう御意思が表明されたところであります。
 まとめて伺いますけれども、アルカイダ関係者が不法入国を繰り返していたというのは事実かどうか、事実だとすれば、それは一体だれのことを指しているのか。そしてまた、再三にわたって日本をテロの標的として名指ししていたアルカイダを初めとするイスラム過激派というのは一体どんな組織のことなのか、そして、いつ、どこを標的としていたのか、これをまとめて伺います。
 そして、一番大事なのは、政府としてそれぞれの機会にどういう対応をしてこられたのか。ここまであわせて御回答をお願いします。



○鳩山国務大臣


 私の仕事の第一は、治安のいい国、安全な国をつくるということで、これは私だけじゃなくて政府の最大の課題でもあろうかと思っております。
 午前中にもお答えいたしましたけれども、私自身、強い危機意識を持っておるものでありますから、表現上問題になるようなことも言ってしまったことがありますが、ただ、日本も決してテロリストから安全な国ではないんだ、みんなでもっと頑張らなくちゃいかぬということを言いたかったということでございます。
 今、加藤先生御指摘の不法入国を繰り返していたアルカイダ関係者というのは、フランス国籍だそうですが、リオネル・デュモンという人でございます。結局、後からわかったわけで、だから怖いのです。つまり、今回、個人識別情報を始めますと、日本は厳しくなったから行きにくいということで未然防止にも役に立つと思うのです。
 彼は、一九九九年九月以降、六回出入国を繰り返していたことが判明したわけです。これは、ヨーロッパで捕まって、彼が持っている偽変造旅券、多分二つだと思うのですが、それを見て、ああ、これなら日本に六回も入っておった、通算では一年四カ月ぐらい日本に滞在しておったということが後から明らかになるということでございまして、非常に怖いわけでございます。
 それから、前に私がアルカイダ発言をしたときに、アルカイダという確証があるかという御質問をいただいたこともありまして、これは非常に難しい。では、例えばジェマー・イスラミアみたいなのが、アルカイダとほとんど同一歩調をとっておったこともあれば、別れたときもあったり、何がアルカイダなのかというのも非常に難しいのです。
 アルカイダは、もちろん再三にわたり日本をテロの標的として宣言してきているところでございますが、アルカイダのほかに、アブハフス・アルマスリ旅団、もう一つ、一神教聖戦団、ハレド・ビン・アル・ワリード旅団という少数組織が声明において我が国を名指ししているのです。これらの声明は二〇〇三年から二〇〇四年にかけて発出されて、攻撃対象として米国その他幾つかの国に日本を加えておるわけでございます。
 アブハフス・アルマスリ旅団は、二〇〇五年七月の英国同時多発爆弾テロに際して犯行声明を出した団体でございますが、その実態はつかめておりません。一神教聖戦団はアブムサブ・アル・ザルカウィが設立したイラクのテロ組織ですが、それと一緒になっておりますハレド・ビン・アル・ワリード旅団というのは実態がつかめておりません。
 結局、外国機関との連携を緊密にするなど、国際テロ組織の動向把握にはこれからますます頑張っていかなければならないわけですが、特に国際的な協力が重要だと思うのは、先生御承知のように、個人識別情報の場合、一回目はわからない、つまり、退去強制を命じたような人間がまた入ってこようとすればすぐわかるわけです。正当な旅券であれば、一回目はわからなくて、結局デュモンのように六回入国を繰り返されてしまって、後からわかる。今度は、二回目からはわかると思うのですが。一回目は非常に判別しにくいから、外国からの情報がどんどん寄せられておれば一回目で反応ができるんですが、そこが悩みの種だと思います。



○加藤(公)委員


 たくさんまとめて伺いましたから整理して聞きますけれども、最終的に、日本がテロの標的として名指しされたタイミングで我が国政府はどういう対処をしたんですかというところをもう一回お聞かせください。



○鳩山国務大臣


 それは国を挙げて取り組むべき課題でありまして、インテリジェンスにかかわるのでそうべらべらしゃべれないんでしょうけれども、当然公安調査庁にももっともっと厳しくやるようにということでありますし、もちろん警察との連携もありますし、外国への働きかけ、外国でそういうテロリストのリストのようなものがあればできるだけこれを把握するというようなことで、テロの未然防止というのはそう簡単な問題ではない、非常に難しいとは言いませんが、決して簡単な問題ではない。
 それから、前に公安調査庁長官が委員会で御答弁申し上げたと思いますけれども、日本の国内にそういうイスラム過激派の巣というのか、そういうことになり得るような、疑い過ぎてはいけないんでしょうけれども、場所がありますから、そういうところを監視するなど、やっておると思います。



○加藤(公)委員


 きょうの本題じゃないのでそこは余り深くは突っ込みませんけれども、大臣の所信の中で、国際テロに関する調査の充実強化をより一層図り、テロの未然防止に努めます、こういう御発言がありました。
 極めて重要なテーマだと思うので、であればこそ、これから先、どんな調査、何に対する調査をどういう方法で充実強化されるのか、ここが私は一番聞きたいわけですね。その前段階として、今までも既にテロの標的として名指しをされてきたからそのときどう対処してきたのか、だから今後こういう調査の充実強化を図りますというのが本来の筋だと思ったので今伺ったんですけれども、そこは多少大目に見て、後段の本質のところをお聞かせいただきたいと思います。
 もう一回聞きます。
 具体的に、テロに関する調査の充実強化というのは何に対する調査をどんな方法、どんな手段で強化されるおつもりなのか、そこを教えていただきたいと思います。



○鳩山国務大臣


 先ほど申し上げたことに尽きるわけですが、とりわけ国際テロ組織と申しましても、先ほど申し上げたように、犯行声明を出したりあるいは予告を、標的だと言っていながら、実態としてなかなかつかみにくい、そういう団体もあるわけですが、国際テロ組織とのかかわりが疑われる人物とか、さっき申し上げたような組織と言っていいかどうかわかりませんが、その辺の有無を調べて、それらの動向に関する調査を厳しくやっていこうということで、テロの未然防止に全力を傾注してまいります。
 しかしながら、インテリジェンスにかかわることでございますので、かえって業務遂行、安全を守るためにマイナスになってはいけないというので、これぐらいで差し控えさせていただきたいと思います。



○加藤(公)委員


 もうちょっと伺いたい部分ではあるんですが、時間との絡みもありますのできょうはこれぐらいにしますけれども、最後に一個だけ。
 大臣が御発言になっていらっしゃったお友達のお友達であるところのアルカイダとおぼしき方というのも当然調査対象になられるわけですね。そこだけ確認をさせてください。



○鳩山国務大臣


 私は、友達の友達と言ったのか、友人の友人と言ったかわかりませんが、加藤公一先生には前にもお話ししましたね。著名なチョウの標本商がいて、それがいわゆるイスラム過激派に走っていくプロセスのこともお話をしたと思うわけですね。私はもちろん直接の面識はないのですが、その男と取引をした人たち、日本人は相当数に上るわけですね。だから、私が友人の友人と言ったときに、その友人というのは自分ではないかと思った人が十人や二十人いたらしいんですね。それは理論的にはそうですから、その有名な標本商と取引しておった人間、そしてこういうチョウの趣味や研究の世界、私、大体みんな学会等で会っていますから。そういうようなことでございます。
 問題は、彼が間違いなく日本に入国をしておった、少なくとも単数ではない。そのことを私は随分当時防衛庁に言ったりいろいろなところに言ったんですが、だれも相手にしてくれなかった悔しさというのを今でも忘れないので、だから非常に危険でございまして、そのことは正直言って、当時私がここで名前を出したアントンという男も当然調査対象なんですが、その後の入国の経緯はないようでございますし、所在もつかめておりません。私は、自分が発言したりした関係があったから公安調査庁にいろいろ言うんですが、申しわけありませんがいまだわかりませんという答えです。



○加藤(公)委員


 その方だけのことを言っているわけではもちろんありませんけれども、その方も含めて、ことしサミットもあることでありますので、大臣、御発言のとおり、テロの未然防止に向けての調査というのは徹底的にやっていただきたい。引き続き、また次の機会に議論させていただきたいと思います。
 先ほど来、鹿児島県志布志の事件の件、既に議論にもなっておりますが、私からも改めて伺いたいと思います。
 この発言は、先ほど既に大臣から御答弁があったとおり、検察長官会同という会議の場で訓示としてなされたということでありますので間違いはないと思いますが、これは法務大臣としての公式の御発言ということでよろしゅうございますね。



○鳩山国務大臣


 年に一遍の検事長、検事正の集まりで、もちろん検事総長も役所の幹部も出席いたしておりますが、そういう正式の会同における正式の訓示でございます。



○加藤(公)委員


 では、法務省として、イコール法務大臣としてだと私は理解をしますけれども、法務省としての冤罪という言葉の定義をお聞かせいただきたいと思います。



○鳩山国務大臣


 冤罪という言葉はさまざまに使われておりまして、社会生活上、さまざまに使われることがございます。したがって、一般に言う法律の条文に出てくる用語ではないわけでございまして、定義が甚だ不明確というか、定義のない言葉、それを私が軽々に使ってしまって志布志の皆様方に心の苦痛を与えてしまったことについておわびを申し上げているわけでございます。
 それは、繰り返しになりますけれども、私の頭の中の若干の整理があったわけです。要するに、神崎先生が午前中にお触れになったいわゆる有斐閣の法律用語辞典、つまり条文に出てくる言葉じゃないけれども、法律の世界で使われる用語の辞典で、私もこれは見たことがあるわけです。冤罪は、無実の者が罪に問われること、これを救済する方法として、刑事訴訟法は再審制度というものを規定している。
 結局、私は、これそのものではありませんけれども、何となくそういう整理を自分でしてしまって、無実の人が有罪になっちゃって別に犯人が笑っているというか、要するに、再審請求がされて再審が開始されて、それで無罪になっていくようなケースを何となく冤罪というふうに頭の中でとらえていたわけです。
 そこで、例えば氷見事件の場合はとんでもない人違いだったので、あれも再審をやって無罪にしたんだと思うんですね。だから、再審無罪というか有罪確定、そこまで狭くはないだろうと私は実は思っておりました。例えば、裁判中であっても完全に別の犯人が出てきた場合とか、そういうようなことを考えて使ってしまったわけですけれども、しかし、いろいろと御批判をいただいて、一晩考えて結論を出したのが先ほど申し上げたような私の考え方なのでございます。



○加藤(公)委員


 大臣の最初の御発言の段階の頭の整理というのは、恐らく刑事訴訟の手続の段階で、どこまで行ったらそこから先を冤罪と呼ぶという区切りをつけていらっしゃったんじゃないかと思うんですよ。
 つまり、一たん有罪判決を受けた後真犯人があらわれたらそれが冤罪だ、こういうふうな御認識だったんじゃないかと思うんですが、世間一般で冤罪といったら、一つには、別に真犯人がいるにもかかわらず罪を問われる、あるいは逮捕される、捜査を受けるというパターンと、もう一つは、そもそも犯罪も何もないのに、それがでっち上げられて犯人扱いされる。これは、刑事訴訟の手続でどこまで進んでいるかじゃなくて、広く一般、今申し上げたようなパターンというのは世の中では冤罪というふうに認識をされていると思うんですね。
 だから、大臣がおっしゃったことが、おいおい、ちょっとそれは違うんじゃないかという批判が沸き起こったというふうに私は理解をしておりますが、その発言をしたときではなくて、今現在は、大臣の認識は今私が申し上げたとおりでよろしいんですか。



○鳩山国務大臣


 私は、軽々に冤罪という言葉を使ったみずからを恥じておるわけで、反省しているわけでございます。
 要するに、志布志で苦しまれた方々が、我々は冤罪だった、冤罪を晴らした、冤罪が晴れたというふうにおっしゃられれば、それはもう私はそのとおりと素直に受け入れなければならない。だから、前日の自分の言葉遣いは間違いであり、心からおわび申し上げますと申し上げたわけです。私は、定義のない言葉をこれ以上、これは冤罪、これは冤罪でないというふうに分けた物言いはすべきでないと思いますけれども、今加藤先生がおっしゃられたようなお話を私は念頭に置いて、考えを改めておわびしたというふうに受け取っていただいて結構です。



○加藤(公)委員


 有罪が確定していなくて裁判で無罪判決が出たケースというのは、多分それ全部が冤罪じゃないんだというのが一番最初の発言のときには頭の中におありになったんだと思いますけれども、無罪判決が出たときには、一つは、確かに疑いは残る、その被疑者に疑いは残っているけれども証拠が十分でないから有罪にはできないという意味での無罪と、今回の志布志の事件のように、とんでもない捜査があって、事件そのものがないのに捏造されて、でっち上げられて罪に問われようとしていたというパターンと、これは両方含まれるわけですね。これを冤罪と呼ばないと言ったことによって、大臣がそうおっしゃったことによってどんな現象が起きるかというと、いや、もしかしたら、この志布志の事件の方々も、まだ疑いは残っているんだけれども、証拠が十分じゃなかったからたまたま無罪になっただけなんじゃないかという疑念を世間の皆さんに持たれることが一番私は心配なんですよ。それは、被害に遭われた方に、また二重、三重の苦しみを与えることになるからなんですね。私は、だからこそ大臣の御発言をここで取り上げさせていただいているんです。
 実際、十人以上の方が、不法な取り調べを受けて、大変な長期の勾留をされて、筆舌に尽くしがたい御苦労をされてきているのは事実でありますから、これは明らかに冤罪だということを認められて謝罪をされるべきだと思いますが、いかがお考えになりますか。



○鳩山国務大臣


 私の反省している事柄と今の先生のお話は非常に似ているというか、よく先生の言葉は私の心に入ってまいります。
 つまり、私が頭の中でどういう整理をしていたかというのは、先ほど申し上げたように、有斐閣の辞典のこともあるし、有罪確定されて後から犯人があらわれるというようなケースを念頭に置いておったわけですが、無罪というのは、確かに先生がおっしゃるように、無罪に種類があるとは言いませんけれども、やはり志布志の事件はめちゃくちゃな取り調べ、それはもう最高検を初めとして我々みんなが反省しなくちゃいけない、踏み字とか何だとかということがあれば、何もないところに、火のないところに煙が立ってしまうというような形に限りなく近いものができ上がるとすれば、それは再審、それは有罪でないから再審ということにはならないわけですけれども、全く誤認逮捕というのか何というか、そういうものができ上がってしまうものですから、やはり残念ながらそういう事件があったということで、私は素直に謝ろう、やはり志布志事件のありようというものに着目して素直に謝ろうと思ったという意味では、その道筋は先生が御指摘されていることと大差ないと思います。




○加藤(公)委員


 そういう御理解であれば恐らく次以降の話は御理解いただけると思うんですが、今回の発言は、検察長官会同における公式な発言、大臣の訓示として発せられたということは冒頭確認をさせていただきました。
 ということは、その正式な会議の場で大臣の公式の発言、訓示として発せられたことでありますから、その発言を撤回し、その内容を改めるというためにはそれなりの正式な手続が必要だと思うんですけれども、発言をされて以降、お考えを変えられて以降、これまでに何かその手続はとってこられましたでしょうか。



○鳩山国務大臣


 私は、あの会同の席で氷見、志布志両事件の捜査、取り調べ、あるいは公判も含めてだと思いますが、重大な反省をしなければならない、あってはならない結果を生み出しているわけでありますから、今後、適正な検察権の行使というんでしょうか、そういうものについて述べたわけであります。
 ですが、追加してみずから発言した中において、先ほど申し上げたような、つい不愉快な思いをさせてしまった、その真剣な反省の上に立っておわびを申し上げてきたわけでございまして、検察へ出向いてそういう説明をしたりということはいたしておりませんが、国会の場でさまざまなやりとりがあり、きょうのこういうやりとりもあり、検察の人たちは、私のその後の発言を聞いて正しく理解をしてくれていると思っています。




○加藤(公)委員


 ちょっと私、そこは納得いかなくて、今回の大臣の御発言によって、発言した場面というのは検察の幹部の方がいらっしゃるところで、その方々に向かって大臣の考え方を伝えるという意味で発言をされたわけですね。その発言が、さっきの答弁にもあったとおり、マスコミフルオープンだからそれが報道されて、志布志事件の被害者の方々の心を傷つけましたと。
 つまり、検察の幹部の方々に対するメッセージという意味と、冤罪被害者の方々を傷つけたという問題と二つあるわけです。大臣は、その後、国会の答弁では確かに、考え方を変えました、撤回をしますということはおっしゃっているとしても、では、正式にその検察幹部の方々に対して、あの訓示は誤りであったから、これこれこういう考え方で今後仕事をするようにという明確な意思表示がなされているかといえば、それは私はされていないと思います。
 国会で発言したことを全国の検察の幹部がすべて逐一チェックをしていて、ああ、大臣、言うことを変えたから我々も行動を変えようなどということにはならないはずでありまして、本来なら、いま一度検察長官会同を開いて、その場で先般の発言は誤っていたからこれこれこういうふうに訂正をする、こういう意思が真意なのでこれに従ってやってもらいたいということを言うべきだと思いますが、いかがお考えになりますか。



○鳩山国務大臣


 しつこいようですが、あの会議で、私は氷見、志布志両事件についての真剣な反省をしなければいけないということを申し上げたわけでございまして、その折に、私が冤罪という言葉を自分の頭の中で整理したもの、先ほど神崎先生からお話があった有斐閣の用語辞典を見たことももちろん過去にありますけれども、そういう自分の頭の整理。
 しかし、冤罪というのは公式の用語では使ってはならないというふうに今は思っておるわけで、使ったことに間違いがあるわけで、私は、検察の幹部はその後の私の発言等ですべてを理解してくれていると思います。そしてまた、彼らの事件に対する態度というのは、十分に反省してやってくれという部分を重く見て活動をしてくれていると思います。



○加藤(公)委員


 そんな希望的な観測でいいかどうかというのをちょっと別の観点から伺います。
 大臣はその御発言の後に、十六日の日だったと思いますが、自由民主党福岡県連大会の場でこう発言をしていらっしゃいます。天に向かって恥じることはない、今回の冤罪の問題は、法務省や検察が常日ごろ言っていることをそのまま言った、こういうふうに報道されておりますけれども、これは事実でいらっしゃいますか。



○鳩山国務大臣


 事実でございます。



○加藤(公)委員


 発言をしたことが事実だというのに加えて、ではもう一つ。
 その内容、つまり、法務省や検察においては常日ごろ大臣が最初におっしゃったようなことを言っていらっしゃるわけですか。もう一度確認をさせていただきます。



○鳩山国務大臣


 ちょっと細かいことですが、私も地元に毎週帰っておりますが、天に向かって恥じることはないというのは、今までの、例えば死刑は粛々と執行し、法務大臣がかわることによって執行しなくなったりするのはおかしいとか、あるいはアルカイダというのは意外と身近にいるから本当に気をつけなくちゃいけないんだとかということは暴言のようにしばしば問われるけれども、それは、表現下手であっても、私は自分の信念を言っているしうそは言っていないんだ、だから恥じることはない、しかし、今回のことについては、自分は恥じ入るものがあって真剣に反省をしている、大体そういう脈絡で地元ではずっと話をしてきているわけです。ですから、天に恥じるものはないというのは、冤罪発言のことを言っているのではありません。
 福岡県での自民党の県連大会だったわけですけれども、冤罪という言葉は基本的に答弁その他でも一切使うべきでないというふうにアドバイスを受けたこともあります。ただ、役所の中では、さまざまに朝から晩までいろいろな打ち合わせをしていく中で、私なりの頭の整理が、彼らとの日々のやりとりの中で、彼らがこうですよと言ったという言い方はできないかもしれませんけれども、私の頭の中に形成をされていったのは事実だと思います。



○加藤(公)委員


 では、少し聞き方を変えて同じことを確認いたしますけれども、法務省や検察庁においては、鹿児島県志布志の事件について、これはいわゆる広く世間で言うところの冤罪ではないと。つまり、何の罪もない人を罪に問おうとした事件ではないというふうに法務省・検察の中で常日ごろ認識をされているということなんですか。そこを確認させてください。



○鳩山国務大臣


 検察が氷見事件は冤罪ではないと日ごろから言っているというような事実はありません。したがって、最高検の報告書も真剣な反省文になっているわけです。
 ただ、氷見事件と志布志事件という非常にあってはならない二つの事件が相前後して起きた。このことをいろいろ話し合うときに、この二つは質は違いますよねという説明は常に受けてまいりました。そのことが、私の頭の中では、要するに、先ほどの有斐閣のあれではないが、再審無罪というのか、取り違えて有罪になった人が無罪になったケースを冤罪と言うのかな、そういうケースのみを冤罪と言うのかなという私の認識になっていったのは間違いないと思います。



○加藤(公)委員


 有罪判決が出ているかどうかという意味では氷見の事件と志布志の事件は違うと思いますが、被害者の側から見たら、全くやってもいない罪を着せられて、いわゆるぬれぎぬを着せられて、刑務所で服役したかあるいは長期間勾留されたかは別にして、いずれにしても大変な苦労をさせられたという事実自体は、被害者から見れば何にも変わらないはずです。
 検察庁や法務省の中で、その被害者側から見た視点がなくて、さっきも冒頭申し上げたとおり、手続上有罪判決が出たかどうかで線引きをして、こっちは、我々は悪くないんだよという考え方に立っているんじゃないですかという疑念を抱かせるから、そこが私は心配なんです。
 大臣はさっき、いや、そんなつもりはありません、加藤が言ったことの理解でいい、こういう話でしたが、法務省や検察の中も大臣と同じ認識になっているんですか。いかがですか。



○鳩山国務大臣


 そもそも冤罪論議というのを、法務省あるいは検察、私は検察と直接話をする機会というのはほとんどありませんけれども、冤罪論議というのをしたことはありません。
 ただ、さまざまな議論をしていく中で、氷見事件と志布志事件の本質的な違いというのは、まさしく有罪判決が出て、あの場合はしかも服役まで終えてしまったという大変な事件で、後から真犯人があらわれる、そういうことと志布志のこととは頭の中で分けてしまうという習慣が私にはでき上がってしまったということで、法務・検察は、冤罪という言葉は、例えばこういう国会の答弁等でも使わない方がいいというアドバイスを私に何度もしてくれていました。もちろん、人によって意見はいろいろあると思いますけれども。
 そういう中で、私は使ってしまったので、今は反省している、こういうことです。



○加藤(公)委員


 大臣所信の中にもたしかあったと思いますが、あるいは昨年の犯罪白書でも中心的なテーマになっていますけれども、例えば再犯を防止して治安の回復をしようとか、あるいはテロを未然に防ごうとか、国内治安の維持に対しては法務省も検察も極めて重要な組織であるし、だからこそ頑張ってほしいとも思うんですよ。思うんだけれども、ぜひ活躍をしてほしいとも思うけれども、その活躍の方向が間違っていると、今回のような被害を生み出すから、その方向だけは大臣がきちんとかじ取りをして、正しい方向に向けなきゃいけませんよねということを私は言っているんですね。
 そのときに、大臣が検察長官会同で誤った訓示をしたことは事実です。それは御自身がお認めになって、考え方が間違っていたとおっしゃったんだから。誤った訓示をした。だとすれば、それを国会の場で自分の発言で訂正したからそれでいいんだではなく、改めて会同を開くのか、それが物理的に難しいのであれば、何か書面でその参加者に対してはきちんと、こういう趣旨で、発言の真意はこうだったということを伝えるか、何がしか正式な手続を踏むべきじゃないんですかということを、さっきの一連の質問の頭で聞いたんです。いかがお考えになりますか。



○鳩山国務大臣


 国権の最高機関で申し上げていることでございますので、それは十分に伝わって、私が会同で申し上げたことと現在の心境、翌日の心境と言ってもいいんですが、大きく変わってきておわびを申し上げているという姿、国権の最高機関で申し上げておりますのでこれは伝わると思いますし、また、役所の中では、例えば刑事局長などとは毎日のように一緒におりますから、そういう中でいろいろ伝わっていくと思いますが、間違いなく伝わると思います。




○加藤(公)委員


 私は、厳格な組織であるからこそ正式な手続をした方がいいという趣旨で申し上げているところでありまして、本当はもうちょっと議論したいんですが、ほかに山のようにテーマがありますので、きょうのところはちょっとここに一たんおかせていただくことにします。ただ、何がしか正式な手続を踏まれることを私が望んでいるということだけは申し上げておきます。
 この氷見の事件あるいは志布志の事件、前回の質疑のときにも私申し上げましたけれども、大臣、一回被害者の方に直接会われたらいかがかと思いますが、どうお考えでしょうか。



○鳩山国務大臣


 たしか、氷見事件の方にもしお会いするような機会があれば、お会いしてお話をしたいということをこの場で申し上げたことがあるように思います。志布志の方に関しても、基本的にそういう機会があって、しかるべきときであればと。
 国賠を起こしておられますね。そうすると、国賠の場合は国を訴えているわけで、私が国の代表なわけですね。そういうような点もいろいろ考えていかなくちゃならないので、そう簡単ではないかもしれませんが、機会があればなと思っているのは間違いありません。



○加藤(公)委員


 前回も、富山に行く機会があれば氷見の事件の被害者の方には会って謝罪をしたい、こういうお話があったのは私も記憶をしております。
 今回の大臣所信の中に、虚心坦懐、心を無にして話を聞いてきましたという御発言がありました。御自身で御発言をされていますが、心を無にしてお話を聞いてきたというのであれば、官僚やスタッフの話だけではなくて、実際に大変な苦労をされた被害者の方にも直接会って、話を聞いて謝罪をするということを私は強く望んでおきたいと思います。国賠の件等々あって何かと難しいという事情はしんしゃくいたしますが、これは決してその人に謝れと言って騒いでいるわけじゃなくて、そのこと自体が、その御意見を承ること自体が法務行政のレベルアップにつながると確信をしているから申し上げていることでありますので、ぜひ御検討、御配慮いただきたいと思います。
 では、多少細かなことになりますが、ちょっと幾つか指摘をしておかなければならない件がありますので、申し上げていきたいと思います。
 一つは、財団法人民事法務協会の件でありますが、これはたまたま見つけてしまいましたので、ほっておくわけにいかないので、ちょっと細かい件ですけれども取り上げます。
 民事法務協会が職員の方を募集していらっしゃいます。ちょうど今週頭ぐらいまでの募集だったと思いますが、その中に年齢要件をつけているんですね。これは昨年の国会において雇用対策法が改正をされて、民間企業においては、募集、採用において年齢条件を付することが禁止をされました。それまでは努力規定だったものが、今度は禁止をされました。この財団法人民事法務協会東京支部の募集というのは明らかにそれに違反をしていると思いますが、大臣はどう認識をされていますでしょうか。



○鳩山国務大臣


 私もこれを知ったときは驚きまして、これはリクルートですか。(加藤(公)委員「「フロム・エー」ですね」と呼ぶ)「フロム・エー」というのはリクルートじゃない。(加藤(公)委員「まあグループですね」と呼ぶ)先生はリクルートにおられたのですか。(加藤(公)委員「私は本社にいました」と呼ぶ)いや、それは本質ではありませんけれども。
 五十歳ぐらいまでと書いてありますね。私は事務所の秘書には随分優しくしているつもりなんですが、案外やめるのが多くて、秘書募集もよくやるんですね。最近、募集するときには非常に神経を使うわけですね。やはり、いろいろプライバシーを侵すようになってはいかぬとか。それが、年齢なんて言ってはいけないはずと思っておるのに、雇用対策法違反というか、今事実関係を早急に調査しておりますけれども、法令を遵守して募集を行ってほしい、つまり不適正だと思いますね。



続き【62-2】

【61-2】平成20年02月26日

前【61-1】


続き



○加藤(公)委員


 もうちょっと伺いたい部分ではあるんですが、時間との絡みもありますのできょうはこれぐらいにしますけれども、最後に一個だけ。

 大臣が御発言になっていらっしゃったお友達のお友達であるところのアルカイダとおぼしき方というのも当然調査対象になられるわけですね。そこだけ確認をさせてください。



○鳩山国務大臣


 私は、友達の友達と言ったのか、友人の友人と言ったかわかりませんが、加藤公一先生には前にもお話ししましたね。著名なチョウの標本商がいて、それがいわゆるイスラム過激派に走っていくプロセスのこともお話をしたと思うわけですね。私はもちろん直接の面識はないのですが、その男と取引をした人たち、日本人は相当数に上るわけですね。だから、私が友人の友人と言ったときに、その友人というのは自分ではないかと思った人が十人や二十人いたらしいんですね。それは理論的にはそうですから、その有名な標本商と取引しておった人間、そしてこういうチョウの趣味や研究の世界、私、大体みんな学会等で会っていますから。そういうようなことでございます。

 問題は、彼が間違いなく日本に入国をしておった、少なくとも単数ではない。そのことを私は随分当時防衛庁に言ったりいろいろなところに言ったんですが、だれも相手にしてくれなかった悔しさというのを今でも忘れないので、だから非常に危険でございまして、そのことは正直言って、当時私がここで名前を出したアントンという男も当然調査対象なんですが、その後の入国の経緯はないようでございますし、所在もつかめておりません。私は、自分が発言したりした関係があったから公安調査庁にいろいろ言うんですが、申しわけありませんがいまだわかりませんという答えです。



○加藤(公)委員


 その方だけのことを言っているわけではもちろんありませんけれども、その方も含めて、ことしサミットもあることでありますので、大臣、御発言のとおり、テロの未然防止に向けての調査というのは徹底的にやっていただきたい。引き続き、また次の機会に議論させていただきたいと思います。

 先ほど来、鹿児島県志布志の事件の件、既に議論にもなっておりますが、私からも改めて伺いたいと思います。

 この発言は、先ほど既に大臣から御答弁があったとおり、検察長官会同という会議の場で訓示としてなされたということでありますので間違いはないと思いますが、これは法務大臣としての公式の御発言ということでよろしゅうございますね。



○鳩山国務大臣


 年に一遍の検事長、検事正の集まりで、もちろん検事総長も役所の幹部も出席いたしておりますが、そういう正式の会同における正式の訓示でございます。



○加藤(公)委員


 では、法務省として、イコール法務大臣としてだと私は理解をしますけれども、法務省としての冤罪という言葉の定義をお聞かせいただきたいと思います。



○鳩山国務大臣


 冤罪という言葉はさまざまに使われておりまして、社会生活上、さまざまに使われることがございます。したがって、一般に言う法律の条文に出てくる用語ではないわけでございまして、定義が甚だ不明確というか、定義のない言葉、それを私が軽々に使ってしまって志布志の皆様方に心の苦痛を与えてしまったことについておわびを申し上げているわけでございます。


 それは、繰り返しになりますけれども、私の頭の中の若干の整理があったわけです。要するに、神崎先生が午前中にお触れになったいわゆる有斐閣の法律用語辞典、つまり条文に出てくる言葉じゃないけれども、法律の世界で使われる用語の辞典で、私もこれは見たことがあるわけです。冤罪は、無実の者が罪に問われること、これを救済する方法として、刑事訴訟法は再審制度というものを規定している。

 結局、私は、これそのものではありませんけれども、何となくそういう整理を自分でしてしまって、無実の人が有罪になっちゃって別に犯人が笑っているというか、要するに、再審請求がされて再審が開始されて、それで無罪になっていくようなケースを何となく冤罪というふうに頭の中でとらえていたわけです。


 そこで、例えば氷見事件の場合はとんでもない人違いだったので、あれも再審をやって無罪にしたんだと思うんですね。だから、再審無罪というか有罪確定、そこまで狭くはないだろうと私は実は思っておりました。例えば、裁判中であっても完全に別の犯人が出てきた場合とか、そういうようなことを考えて使ってしまったわけですけれども、しかし、いろいろと御批判をいただいて、一晩考えて結論を出したのが先ほど申し上げたような私の考え方なのでございます。



○加藤(公)委員


 大臣の最初の御発言の段階の頭の整理というのは、恐らく刑事訴訟の手続の段階で、どこまで行ったらそこから先を冤罪と呼ぶという区切りをつけていらっしゃったんじゃないかと思うんですよ。
 つまり、一たん有罪判決を受けた後真犯人があらわれたらそれが冤罪だ、こういうふうな御認識だったんじゃないかと思うんですが、世間一般で冤罪といったら、一つには、別に真犯人がいるにもかかわらず罪を問われる、あるいは逮捕される、捜査を受けるというパターンと、もう一つは、そもそも犯罪も何もないのに、それがでっち上げられて犯人扱いされる。これは、刑事訴訟の手続でどこまで進んでいるかじゃなくて、広く一般、今申し上げたようなパターンというのは世の中では冤罪というふうに認識をされていると思うんですね。
 だから、大臣がおっしゃったことが、おいおい、ちょっとそれは違うんじゃないかという批判が沸き起こったというふうに私は理解をしておりますが、その発言をしたときではなくて、今現在は、大臣の認識は今私が申し上げたとおりでよろしいんですか。



○鳩山国務大臣


 私は、軽々に冤罪という言葉を使ったみずからを恥じておるわけで、反省しているわけでございます。
 要するに、志布志で苦しまれた方々が、我々は冤罪だった、冤罪を晴らした、冤罪が晴れたというふうにおっしゃられれば、それはもう私はそのとおりと素直に受け入れなければならない。だから、前日の自分の言葉遣いは間違いであり、心からおわび申し上げますと申し上げたわけです。私は、定義のない言葉をこれ以上、これは冤罪、これは冤罪でないというふうに分けた物言いはすべきでないと思いますけれども、今加藤先生がおっしゃられたようなお話を私は念頭に置いて、考えを改めておわびしたというふうに受け取っていただいて結構です。



○加藤(公)委員


 有罪が確定していなくて裁判で無罪判決が出たケースというのは、多分それ全部が冤罪じゃないんだというのが一番最初の発言のときには頭の中におありになったんだと思いますけれども、無罪判決が出たときには、一つは、確かに疑いは残る、その被疑者に疑いは残っているけれども証拠が十分でないから有罪にはできないという意味での無罪と、今回の志布志の事件のように、とんでもない捜査があって、事件そのものがないのに捏造されて、でっち上げられて罪に問われようとしていたというパターンと、これは両方含まれるわけですね。これを冤罪と呼ばないと言ったことによって、大臣がそうおっしゃったことによってどんな現象が起きるかというと、いや、もしかしたら、この志布志の事件の方々も、まだ疑いは残っているんだけれども、証拠が十分じゃなかったからたまたま無罪になっただけなんじゃないかという疑念を世間の皆さんに持たれることが一番私は心配なんですよ。それは、被害に遭われた方に、また二重、三重の苦しみを与えることになるからなんですね。私は、だからこそ大臣の御発言をここで取り上げさせていただいているんです。
 実際、十人以上の方が、不法な取り調べを受けて、大変な長期の勾留をされて、筆舌に尽くしがたい御苦労をされてきているのは事実でありますから、これは明らかに冤罪だということを認められて謝罪をされるべきだと思いますが、いかがお考えになりますか。



○鳩山国務大臣


 私の反省している事柄と今の先生のお話は非常に似ているというか、よく先生の言葉は私の心に入ってまいります。
 つまり、私が頭の中でどういう整理をしていたかというのは、先ほど申し上げたように、有斐閣の辞典のこともあるし、有罪確定されて後から犯人があらわれるというようなケースを念頭に置いておったわけですが、無罪というのは、確かに先生がおっしゃるように、無罪に種類があるとは言いませんけれども、やはり志布志の事件はめちゃくちゃな取り調べ、それはもう最高検を初めとして我々みんなが反省しなくちゃいけない、踏み字とか何だとかということがあれば、何もないところに、火のないところに煙が立ってしまうというような形に限りなく近いものができ上がるとすれば、それは再審、それは有罪でないから再審ということにはならないわけですけれども、全く誤認逮捕というのか何というか、そういうものができ上がってしまうものですから、やはり残念ながらそういう事件があったということで、私は素直に謝ろう、やはり志布志事件のありようというものに着目して素直に謝ろうと思ったという意味では、その道筋は先生が御指摘されていることと大差ないと思います。



○加藤(公)委員


 そういう御理解であれば恐らく次以降の話は御理解いただけると思うんですが、今回の発言は、検察長官会同における公式な発言、大臣の訓示として発せられたということは冒頭確認をさせていただきました。
 ということは、その正式な会議の場で大臣の公式の発言、訓示として発せられたことでありますから、その発言を撤回し、その内容を改めるというためにはそれなりの正式な手続が必要だと思うんですけれども、発言をされて以降、お考えを変えられて以降、これまでに何かその手続はとってこられましたでしょうか。



○鳩山国務大臣


 私は、あの会同の席で氷見、志布志両事件の捜査、取り調べ、あるいは公判も含めてだと思いますが、重大な反省をしなければならない、あってはならない結果を生み出しているわけでありますから、今後、適正な検察権の行使というんでしょうか、そういうものについて述べたわけであります。
 ですが、追加してみずから発言した中において、先ほど申し上げたような、つい不愉快な思いをさせてしまった、その真剣な反省の上に立っておわびを申し上げてきたわけでございまして、検察へ出向いてそういう説明をしたりということはいたしておりませんが、国会の場でさまざまなやりとりがあり、きょうのこういうやりとりもあり、検察の人たちは、私のその後の発言を聞いて正しく理解をしてくれていると思っています。



○加藤(公)委員


 ちょっと私、そこは納得いかなくて、今回の大臣の御発言によって、発言した場面というのは検察の幹部の方がいらっしゃるところで、その方々に向かって大臣の考え方を伝えるという意味で発言をされたわけですね。その発言が、さっきの答弁にもあったとおり、マスコミフルオープンだからそれが報道されて、志布志事件の被害者の方々の心を傷つけましたと。
 つまり、検察の幹部の方々に対するメッセージという意味と、冤罪被害者の方々を傷つけたという問題と二つあるわけです。大臣は、その後、国会の答弁では確かに、考え方を変えました、撤回をしますということはおっしゃっているとしても、では、正式にその検察幹部の方々に対して、あの訓示は誤りであったから、これこれこういう考え方で今後仕事をするようにという明確な意思表示がなされているかといえば、それは私はされていないと思います。
 国会で発言したことを全国の検察の幹部がすべて逐一チェックをしていて、ああ、大臣、言うことを変えたから我々も行動を変えようなどということにはならないはずでありまして、本来なら、いま一度検察長官会同を開いて、その場で先般の発言は誤っていたからこれこれこういうふうに訂正をする、こういう意思が真意なのでこれに従ってやってもらいたいということを言うべきだと思いますが、いかがお考えになりますか。



○鳩山国務大臣


 しつこいようですが、あの会議で、私は氷見、志布志両事件についての真剣な反省をしなければいけないということを申し上げたわけでございまして、その折に、私が冤罪という言葉を自分の頭の中で整理したもの、先ほど神崎先生からお話があった有斐閣の用語辞典を見たことももちろん過去にありますけれども、そういう自分の頭の整理。
 しかし、冤罪というのは公式の用語では使ってはならないというふうに今は思っておるわけで、使ったことに間違いがあるわけで、私は、検察の幹部はその後の私の発言等ですべてを理解してくれていると思います。そしてまた、彼らの事件に対する態度というのは、十分に反省してやってくれという部分を重く見て活動をしてくれていると思います。



○加藤(公)委員


 そんな希望的な観測でいいかどうかというのをちょっと別の観点から伺います。
 大臣はその御発言の後に、十六日の日だったと思いますが、自由民主党福岡県連大会の場でこう発言をしていらっしゃいます。天に向かって恥じることはない、今回の冤罪の問題は、法務省や検察が常日ごろ言っていることをそのまま言った、こういうふうに報道されておりますけれども、これは事実でいらっしゃいますか。



○鳩山国務大臣


 事実でございます。



○加藤(公)委員


 発言をしたことが事実だというのに加えて、ではもう一つ。
 その内容、つまり、法務省や検察においては常日ごろ大臣が最初におっしゃったようなことを言っていらっしゃるわけですか。もう一度確認をさせていただきます。



○鳩山国務大臣


 ちょっと細かいことですが、私も地元に毎週帰っておりますが、天に向かって恥じることはないというのは、今までの、例えば死刑は粛々と執行し、法務大臣がかわることによって執行しなくなったりするのはおかしいとか、あるいはアルカイダというのは意外と身近にいるから本当に気をつけなくちゃいけないんだとかということは暴言のようにしばしば問われるけれども、それは、表現下手であっても、私は自分の信念を言っているしうそは言っていないんだ、だから恥じることはない、しかし、今回のことについては、自分は恥じ入るものがあって真剣に反省をしている、大体そういう脈絡で地元ではずっと話をしてきているわけです。ですから、天に恥じるものはないというのは、冤罪発言のことを言っているのではありません。
 福岡県での自民党の県連大会だったわけですけれども、冤罪という言葉は基本的に答弁その他でも一切使うべきでないというふうにアドバイスを受けたこともあります。ただ、役所の中では、さまざまに朝から晩までいろいろな打ち合わせをしていく中で、私なりの頭の整理が、彼らとの日々のやりとりの中で、彼らがこうですよと言ったという言い方はできないかもしれませんけれども、私の頭の中に形成をされていったのは事実だと思います。



○加藤(公)委員


 では、少し聞き方を変えて同じことを確認いたしますけれども、法務省や検察庁においては、鹿児島県志布志の事件について、これはいわゆる広く世間で言うところの冤罪ではないと。つまり、何の罪もない人を罪に問おうとした事件ではないというふうに法務省・検察の中で常日ごろ認識をされているということなんですか。そこを確認させてください。



○鳩山国務大臣


 検察が氷見事件は冤罪ではないと日ごろから言っているというような事実はありません。したがって、最高検の報告書も真剣な反省文になっているわけです。
 ただ、氷見事件と志布志事件という非常にあってはならない二つの事件が相前後して起きた。このことをいろいろ話し合うときに、この二つは質は違いますよねという説明は常に受けてまいりました。そのことが、私の頭の中では、要するに、先ほどの有斐閣のあれではないが、再審無罪というのか、取り違えて有罪になった人が無罪になったケースを冤罪と言うのかな、そういうケースのみを冤罪と言うのかなという私の認識になっていったのは間違いないと思います。



○加藤(公)委員


 有罪判決が出ているかどうかという意味では氷見の事件と志布志の事件は違うと思いますが、被害者の側から見たら、全くやってもいない罪を着せられて、いわゆるぬれぎぬを着せられて、刑務所で服役したかあるいは長期間勾留されたかは別にして、いずれにしても大変な苦労をさせられたという事実自体は、被害者から見れば何にも変わらないはずです。
 検察庁や法務省の中で、その被害者側から見た視点がなくて、さっきも冒頭申し上げたとおり、手続上有罪判決が出たかどうかで線引きをして、こっちは、我々は悪くないんだよという考え方に立っているんじゃないですかという疑念を抱かせるから、そこが私は心配なんです。
 大臣はさっき、いや、そんなつもりはありません、加藤が言ったことの理解でいい、こういう話でしたが、法務省や検察の中も大臣と同じ認識になっているんですか。いかがですか。



○鳩山国務大臣


 そもそも冤罪論議というのを、法務省あるいは検察、私は検察と直接話をする機会というのはほとんどありませんけれども、冤罪論議というのをしたことはありません。
 ただ、さまざまな議論をしていく中で、氷見事件と志布志事件の本質的な違いというのは、まさしく有罪判決が出て、あの場合はしかも服役まで終えてしまったという大変な事件で、後から真犯人があらわれる、そういうことと志布志のこととは頭の中で分けてしまうという習慣が私にはでき上がってしまったということで、法務・検察は、冤罪という言葉は、例えばこういう国会の答弁等でも使わない方がいいというアドバイスを私に何度もしてくれていました。もちろん、人によって意見はいろいろあると思いますけれども。
 そういう中で、私は使ってしまったので、今は反省している、こういうことです。



○加藤(公)委員


 大臣所信の中にもたしかあったと思いますが、あるいは昨年の犯罪白書でも中心的なテーマになっていますけれども、例えば再犯を防止して治安の回復をしようとか、あるいはテロを未然に防ごうとか、国内治安の維持に対しては法務省も検察も極めて重要な組織であるし、だからこそ頑張ってほしいとも思うんですよ。思うんだけれども、ぜひ活躍をしてほしいとも思うけれども、その活躍の方向が間違っていると、今回のような被害を生み出すから、その方向だけは大臣がきちんとかじ取りをして、正しい方向に向けなきゃいけませんよねということを私は言っているんですね。
 そのときに、大臣が検察長官会同で誤った訓示をしたことは事実です。それは御自身がお認めになって、考え方が間違っていたとおっしゃったんだから。誤った訓示をした。だとすれば、それを国会の場で自分の発言で訂正したからそれでいいんだではなく、改めて会同を開くのか、それが物理的に難しいのであれば、何か書面でその参加者に対してはきちんと、こういう趣旨で、発言の真意はこうだったということを伝えるか、何がしか正式な手続を踏むべきじゃないんですかということを、さっきの一連の質問の頭で聞いたんです。いかがお考えになりますか。



○鳩山国務大臣


 国権の最高機関で申し上げていることでございますので、それは十分に伝わって、私が会同で申し上げたことと現在の心境、翌日の心境と言ってもいいんですが、大きく変わってきておわびを申し上げているという姿、国権の最高機関で申し上げておりますのでこれは伝わると思いますし、また、役所の中では、例えば刑事局長などとは毎日のように一緒におりますから、そういう中でいろいろ伝わっていくと思いますが、間違いなく伝わると思います。



○加藤(公)委員


 私は、厳格な組織であるからこそ正式な手続をした方がいいという趣旨で申し上げているところでありまして、本当はもうちょっと議論したいんですが、ほかに山のようにテーマがありますので、きょうのところはちょっとここに一たんおかせていただくことにします。ただ、何がしか正式な手続を踏まれることを私が望んでいるということだけは申し上げておきます。
 この氷見の事件あるいは志布志の事件、前回の質疑のときにも私申し上げましたけれども、大臣、一回被害者の方に直接会われたらいかがかと思いますが、どうお考えでしょうか。



○鳩山国務大臣


 たしか、氷見事件の方にもしお会いするような機会があれば、お会いしてお話をしたいということをこの場で申し上げたことがあるように思います。志布志の方に関しても、基本的にそういう機会があって、しかるべきときであればと。
 国賠を起こしておられますね。そうすると、国賠の場合は国を訴えているわけで、私が国の代表なわけですね。そういうような点もいろいろ考えていかなくちゃならないので、そう簡単ではないかもしれませんが、機会があればなと思っているのは間違いありません。



○加藤(公)委員


 前回も、富山に行く機会があれば氷見の事件の被害者の方には会って謝罪をしたい、こういうお話があったのは私も記憶をしております。
 今回の大臣所信の中に、虚心坦懐、心を無にして話を聞いてきましたという御発言がありました。御自身で御発言をされていますが、心を無にしてお話を聞いてきたというのであれば、官僚やスタッフの話だけではなくて、実際に大変な苦労をされた被害者の方にも直接会って、話を聞いて謝罪をするということを私は強く望んでおきたいと思います。国賠の件等々あって何かと難しいという事情はしんしゃくいたしますが、これは決してその人に謝れと言って騒いでいるわけじゃなくて、そのこと自体が、その御意見を承ること自体が法務行政のレベルアップにつながると確信をしているから申し上げていることでありますので、ぜひ御検討、御配慮いただきたいと思います。
 では、多少細かなことになりますが、ちょっと幾つか指摘をしておかなければならない件がありますので、申し上げていきたいと思います。
 一つは、財団法人民事法務協会の件でありますが、これはたまたま見つけてしまいましたので、ほっておくわけにいかないので、ちょっと細かい件ですけれども取り上げます。
 民事法務協会が職員の方を募集していらっしゃいます。ちょうど今週頭ぐらいまでの募集だったと思いますが、その中に年齢要件をつけているんですね。これは昨年の国会において雇用対策法が改正をされて、民間企業においては、募集、採用において年齢条件を付することが禁止をされました。それまでは努力規定だったものが、今度は禁止をされました。この財団法人民事法務協会東京支部の募集というのは明らかにそれに違反をしていると思いますが、大臣はどう認識をされていますでしょうか。



○鳩山国務大臣


 私もこれを知ったときは驚きまして、これはリクルートですか。(加藤(公)委員「「フロム・エー」ですね」と呼ぶ)「フロム・エー」というのはリクルートじゃない。(加藤(公)委員「まあグループですね」と呼ぶ)先生はリクルートにおられたのですか。(加藤(公)委員「私は本社にいました」と呼ぶ)いや、それは本質ではありませんけれども。
 五十歳ぐらいまでと書いてありますね。私は事務所の秘書には随分優しくしているつもりなんですが、案外やめるのが多くて、秘書募集もよくやるんですね。最近、募集するときには非常に神経を使うわけですね。やはり、いろいろプライバシーを侵すようになってはいかぬとか。それが、年齢なんて言ってはいけないはずと思っておるのに、雇用対策法違反というか、今事実関係を早急に調査しておりますけれども、法令を遵守して募集を行ってほしい、つまり不適正だと思いますね。



続き【61-3】

【61-3】平成20年02月26日

前【61-2】



続き



○加藤(公)委員


 実は、この雇対法の改正のときに、私、それこそサラリーマン時代から年齢差別禁止論者だったものですから、議員立法も出させていただいて、過去三回も出させていただいていましたし、昨年の雇対法の改正のときにも質疑にも何度か立たせていただいて、そのときに、実は外務省とか防衛省とか、あるいは文科省関連で、それは公務員の募集、臨時職員の募集でしたけれども、年齢要件をつけている件があって、即日修正をしていただいたという経緯があります。地方自治体でも当時年齢要件をつけている募集が随分ありまして、それも明らかにおかしなことだから、すぐに修正をしようという話になったんですね。

 その後、その議論を経て雇対法が改正されて、昨年十月一日から施行されています。今回の民事法務協会の募集は、完全にそれに触れているはずです。今大臣がおっしゃったとおりです。監督権者として早急に指導していただきたい、是正をしていただきたいと思いますが、していただけますね。



○鳩山国務大臣


 加藤先生は元気はつらつでお若くて四十三歳。私は、ことし還暦になるので、こういうのを見ると非常に不愉快ですね。五十歳ぐらいまで、私はだめだ。

 関係はありませんけれども、やはり人間というのは年齢には逆らえないので、私もことし還暦になってきますから、若いころに比べると、年齢について制限を加えるということに対する不合理さというんでしょうか、そういうものを強く感じる年齢でもありまして、これは早急に指導したいと思っています。



○加藤(公)委員


 ぜひ、よろしくお願いします。

 では、もう一つ。本年一月十日に長野の副検事の方がJRの特急を臨時停車させるという事件が発生をいたしました。とめる、とめないの判断はJR東日本の判断ですから、ここではとやかく私は議論いたしませんが、今回の件は御自身がうっかりしていて乗り過ごしたということですから、これは弁解の余地はないと思うんです。仮に、災害とかあるいは事故とかで、公判が設定されていても、そこに例えば担当の検事が遅刻をするとか行けないとかいうケースというのは当然起こり得ると思うんですね。

 先週末から今週にかけてのこの土日、大変な風が吹いておりまして、これで随分JRを初めとして電車のダイヤが乱れました。ちょうど大学の入試だったり、あるいは看護師さんの試験もたしかあったと思うんですが、そんな試験にも影響が出たようでありますけれども、そういうことは当然あり得る。

 法務省あるいは検察庁として、仮に何かの不慮の事態によって担当の検事が公判に間に合わない、行けないとかおくれるという場合にはどう対処することになっているのか、ルール、規則があるのであればそれを教えていただきたいと思います。


○鳩山国務大臣


 特にルールのようなものを定めてはいないようでございます。

 事故、災害、みずからの不注意というのはこれは許してはいけないことでしょうが、公判におくれる場合の対処の仕方は、こういう場合こうしろというふうに決められているのではなくて、基本的にはケース・バイ・ケースで、個々の検察官の判断において裁判所におくれる旨を連絡して、また裁判所がどう判断してくれるか、あるいは大もとの検察庁に連絡して対処の仕方を相談するなど、ケース・バイ・ケースでございます。

 ですから、例えば裁判所にお願いをして公判の時間調整を図ったり、予定されている審理の内容の関係で代理の検察官を立会させるとか、いろいろなやり方があるようでございまして、例の電車をとめておりた件は、実質的な審理が予定されておって、事件に関与している検察官は当該副検事のみだったので大変だという焦りでああいう行動をしたんでしょうけれども、本来は、裁判所へ連絡して、みずからの失敗をわびて開廷を待ってもらうとか、そういう方が合理的だったのかなと。

 前に、新幹線をとめた国会議員だか何だか、あれは候補者だったかな、候補者でありましたけれども、泣きついて、とめるのはJR側の判断なのかなとは思いますけれども。



○加藤(公)委員


 さっきも申し上げたとおり、とめる、とめないはJRの判断ですからここでは私は申し上げませんが、とめてもらえると思って申し出るところが既に人として私は間違っていると思いますよ。民間企業のビジネスマンが、例えば営業でお客さんと約束している、大事な取引だ、自分が乗り過ごして遅刻しそうだというときに、電車をとめてくれと言ってもそれはとめてくれないでしょう、特急電車を無人駅に。それは、あり得ない話だと思いますよ。注意処分になったということ、それが軽い、重いということは一々申し上げませんけれども、ちょっとないんじゃないのというのが私の感覚ですし、さっきも申し上げたとおり、極めて大事な任務を担っていただいている組織だからこそ、もうちょっと緊張感を持ってやってもらいたいということだけにとどめておきますので。

 今度は、刑務所の件について伺います。

 川越少年刑務所の看守と法務技官が、大変残念なことでありますけれども、書類送検をされるという事件が発生いたしました。大臣、この事件の内容を御存じですか。



○鳩山国務大臣


 報告を受けているだけですから極めて詳しく知っているわけではありませんが、川越少年刑務所において、二月二十二日、看守や法務技官が受刑者の頭をたたいたとか、いわゆる特別公務員暴行陵虐容疑に問われてさいたま地方検察庁に事件を送致した、その報告を二度ほど受けているので、頭をたたくといっても相当ひどかったのかなという程度の想像をしておりますが、詳しく知っているわけではありません。



○加藤(公)委員


 頭をたたいただけではないようでありますから、後で矯正局長からでもしっかり聞いてください。

 実際どうだったのかは私も知りません。現場にいたわけじゃありませんからわかりませんが、何でこんなことが起きるの、乱暴するにしても何でこんな乱暴の仕方なのと思うようなみっともない恥ずかしい事件でありますので、大臣、中身は後で、私、ここでしゃべって議事録に残るんじゃたまったものじゃありませんから、自分で後で確認しておいてください。それぐらいみっともない事件です。(鳩山国務大臣「今、資料に少し出ていますよ」と呼ぶ)何でこんなことが起きるんだというような事件ですから、そこは内容を理解していただきたいと思います。

 では、今資料を見て大体御理解いただいたことを前提に伺いますが、この書類送検された法務技官は職業訓練を担当していたということですけれども、何の職業訓練を担当しておりましたか。



○鳩山国務大臣


 今まだ資料を十分見ていなくて、報告を受けたのは頭をたたいたという程度のことだったんですが、実際にちょっと恥ずかしくてここで言えないような中身が入っておるようで、これは本当に虐待というような概念に当たるんだなと。

 職業訓練をしていた技官は木工の職業訓練、受刑者に対する技術指導ですから、木工というのは、やはりいずれ家具その他をつくる訓練だと思います。



○加藤(公)委員


 もちろん、職業訓練ですから、どんな内容であれ、きちんと手に職をつけるなり、あるいは職能を高めることというのはどんなことであれプラスにはなるとは思いますが、しかし、そうはいっても世の中にはニーズというものがありますので、何でもかんでも教わればそれで済むという話ではないはずなんですね。

 この職業訓練担当の法務技官が教えていたその木工の仕事というのは、受刑者が社会復帰して就労しようとする際に果たして役に立っていたんでしょうか、どうお考えになりますか。



○鳩山国務大臣


 私の受けている報告によれば、いわゆる木工科職業訓練というものは、木工工具の種類や作業手順などを教える学科講義、木工の基礎から応用までの実習訓練などを通して家具などの木工製品製作に関する知識と技能を習得させるもの、これらを習得することによって出所後の家具製作業等への就労の際に十分に役に立つであろう、実際に立っているというふうに私どもは考えております。



○加藤(公)委員


 では、大臣の所信にあった御発言からそれに関連をして伺いますけれども、治安を回復させるために再犯の防止が非常に重要だということでありました。それは、私もこの白書などを拝見して、そのとおりだという認識があります。その再犯を防止するために就労させる、単に、罪を償った後、刑務所を出てそれっきりじゃなくて就労させる、就労の確保というのが大変大きなかぎを握る、この認識も恐らく相違はないだろうと思います。

 では、具体的にどういう施策を打ち出してその就労を確保していくのか、まずそこから伺います。



○鳩山国務大臣


 法務省と厚生労働省との連携による刑務所出所者等総合的就労支援対策というのを昨年度から開始しておりまして、このうち、刑事施設は最寄りのハローワークと連携をする、あるいは職業講話をしていただく、職業相談、職業紹介等を実施しているということで、民間の就労支援スタッフを配置し、いろいろな助言指導、ハローワークとの調整等を行っている、こういうことでございます。

 これが成果が上がっていくように心から期待をしているわけでございまして、いろいろな雇用情勢がありますが、職業訓練によって必要な知識や技能を受刑者に与えて、場合によっては資格とか免許を取って就労しやすくさせるということもやっておるわけでございます。

 それから、先ほど、午前中にもお話を申し上げましたけれども、甘利経済産業大臣が非常に協力的でございまして、商工会連合会とか商工会議所、あるいは中小企業団体中央会とか、そういうところに声をかけていただいて、やはり満期で出所した方とか、あるいは仮釈放されたような方が就労できるように法務省と厚労省と経産省で全力を尽くしていきたいと思っております。



○加藤(公)委員


 実は、きょうの質疑で私が一番問題意識を持っているのはここの分野なんですね。

 何かというと、今大臣がおっしゃっていた厚労省とタイアップする、要するにハローワークと連携をするということは、いざ就職するときのマッチングの機能だけなんですね。

 つまり、雇用主側から見たときに、その方が、この人が自分の職場に来てくれればプラスになるなという状態にあれば、あとはマッチングなんですよ。どこか一番合うところ、条件の合うところ、あるいはそれぞれ勤務地なりなんなりいろいろな条件が合うところにマッチングさせるという機能は、これはハローワークがやっています。

 そもそも、AさんならAさんとしましょうか、出所した、罪を償って出てこられたAさんが、雇用主から見たときに、この人が欲しいと思われない限り、幾らマッチングの機能だけ充実させてもそれは職につくことは容易じゃないんですね。だとすると、そのAさんの職能を高めるということ、つまり、刑務所の中にいるときに職業教育なり職業訓練をするということは非常に重要だというふうに私は実は思っているんです。

 思っているんですが、ただ、さっきも申し上げたとおり、何でもかんでも教えればいいかというと、ないよりはいいです、何にもやらないよりはよっぽどいいけれども、世の中で必要とされている職能を身につけない限り、ただでさえハンディを抱えて世間に出ていくわけですから、なかなか就職に結びつかないという懸念を持っております。

 そこで、これまで刑務所内で職業教育あるいは職業訓練をしてきたことが、果たして世の中のニーズに合っていたというふうにお考えかどうか、大臣の御認識をまず伺いたいと思います。



○鳩山国務大臣


 これは非常にすぐれた指摘だと思うんですね。

 それは、雇用情勢も社会情勢も、消費者の需要、どんどん変わりますよね。したがって、職業訓練で、教えやすいから教えて技術を身につけさせよう、しかし、実は身につけた技術は社会に出てみると企業が余り欲しがっていないということになれば、せっかく技術を学んでも、意味がないというか就労に役に立たないという可能性があるものですから、先生の今の御指摘、全く正しいので、例えば有効求人倍率が非常に今後高くなるようなものを予想して、職業訓練の内容を臨機応変というか徐々に変えていくことは大事だと思います。



○加藤(公)委員


 実は、さっきの川越の書類送検された法務技官が担当していた木工という職種、職種と言っていいのかどうかわかりませんが、分野は、有効求人倍率が非常に低いんですね。全国平均から見ても非常に低い。つまり、その仕事を身につけてもなかなか就労に結びつきにくいわけですね。

 たまたまその分野を担当していた方が不祥事を起こしたというだけのことだとは思いますが、今大臣がおっしゃったように、一つは有効求人倍率も目安になるとは思いますし、それは地域によっても変わるとは思いますけれども、世の中のニーズに合った職業訓練、手に職だけじゃなくて、これは時間があれば本当は議論したかったんですが、職能の前に、そもそも人として、社会人としてきちんと生活できるという態度そのものも実はある種の職能でありますから、そこも含めて、きちんと就労できるような体制を整えていくということはぜひ力を入れていただきたいと思いますし、今後も私も議論をさせていただきたいと思います。

 時間ですので、きょうはこれで終わります。



○鳩山国務大臣


 今の加藤公一先生の最後の御指摘は、最後に先生がおっしゃった部分、人としてというところ、これは職業訓練以上に大事だと思います。

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