アメリカ農務省(USDA)コーヒー生産レポート | グルメコーヒー豆専門!加藤珈琲店のブログ

アメリカ農務省(USDA)コーヒー生産レポート

■市場のファンダメンタルズ

2012/13年度の総生産量は今のところ2011/12年度比7.8%増の144.6百万袋の予想である(グラフ5)。アフリカ地域の生産量は16.6%増の18.3百万袋の予想で、特にエチオピア(19.1%増の8.1百万袋)及びタンザニア(90.3%増の1百万袋)の増産が際立っている。

アジア・オセアニア地域では、ベトナムの8.6%の減産予想にも拘わらず、全体では7.2%増の42.6百万袋の暫定予想である。特に大幅な増産予想を出しているのはインドネシアで74.7%増の12.7百万袋の記録的水準である。しかし、同国からは天候不順の報告もあり今後この数字が下方修正される可能性もある。

コーヒーサビ病が中米地域に与える影響は甚大で2012/13年度の生産に与える損失は数量で2.7百万袋、金額で500百万米ドルである。従い、暫定数値ではあるが、生産数量は2011/12年度の20.3百万袋に比し14.9%減産の17.3百万袋の予想となっている。詳しくいうと、減産予想を出しているのはグアテマラ(ー18.2%)、ホンジュラス(ー17%)、メキシコ(ー14.5%)、ニカラグア(ー39.3%)であり、増産予想をだしているのがコスタリカ(+14.3%)、エルサルバドル(+7.9%)である。また同地域では2013/14年度にはコーヒーサビ病の影響は更に深刻な状況になることが予想されている。最後に南米地域の2012/13年度の生産量は、ブラジルが2年生産サイクルの表年に当たる為2011/12年度比13.7%増の66.4百万袋の予想である。コロンビアの生産量は2011/12年度の7.7百万袋から2012/13年度は9.5百万袋に回復する見通しである。表に2009/10年度から2012/13年度の生産量の全数字を掲載している。



2013/14年度についてはブラジルを含む何カ国かの輸出国で収穫が開始されているが、ブラジルについてはCONABが暫定数値ではあるが48.6百万袋の予想を出している。ブラジルの天候については、ミナスジェライス州で小規模な霜報告がある他は全般的に良好な気候のようである。しかし、毎年この時期の天候が生産に与える影響が最も大きいので特に注意を要する。

2013年5月の全輸出量は2012年5月に比べ5.5%減少し9.7百万袋になった。この結果、コーヒー年度最初の8ヶ月の累計輸出量は前年同期の72百万袋に対し75.7百万袋となった。2013年6月末の認証在庫量については、ニューヨーク先物市場が5月末の3.11百万袋から3.09百万袋に、ロンドン先物市場が2.08百万袋から2百万袋になった。またニューヨーク先物市場は、ブラジルコーヒーが2013年3月から900ポイントのディフェレンシャルでの受け渡しが認め られてから、初めて320袋認証した。







■ブラジルアラビカの裏年サイクル及び中米・メキシコ地域サビ病による減産



2013/14年度の世界のコーヒー生産量は前年対比4.4百万袋減産の146百万袋の見通しだが、これはブラジルのアラビカコーヒーの2年生産サイクルが裏年に当たること、及びインパクトはこれより少ないが中米及びメキシコが引き続きサビ病問題に悩ませられていることによる。世界のコーヒー輸出量は昨年に比べ微減の予想であり、世界消費量は微増の見通しである。




■2013/14度概観

ブラジルの生産量は前年対比2.4百万袋減産の53.7百万袋の予想だが、これは主にアラビカが2年生産サイクルの裏年にあたることによるものである。同国のアラビカの生産量の振れは毎年小さくなる傾向にあるが、昨年は同国主産地のミナス・ジェライス州が霜及び旱魃の影響を被った。ただ、重要なことは、アラビカの裏年の隔年生産量が増加傾向にあるということである。ロブスタの収穫量は、最大産地のエスピリトサント州が好天に恵まれ、手入れも行き届いたことで、チェリーの結実が助けられ、その後の発育も順調で引き続き増産の予想である。コーヒー生豆の輸出量は27.5百万袋とほぼ変わらないが、期末在庫は2年連続で増える見通しである。在庫が充分にあるということは、将来供給不足が生じた時の備えができているということである。



中米及びメキシコ地域は世界のアラビカ生産量の5分の1を生産している。この地域の生産量はサビ病による生産性の低下により1.4百万袋減産の16.5百万袋の見通しである。この病気はコーヒー葉の裏側に付着し葉を黄色く変色させ、落葉し、光合成能力が減じるため、生産性が落ちるのである。エルサルバドルは29%の減産で、次がニカラグア(ー19%)、コスタリカ(ー15%)、メキシコ(ー12%)、パナマ(ー11%)及びグアテマラ(ー8%)となっている。しかし、ホンジュラスは新木の成長のお陰で9%の増産予想である。この地域全体の輸出量は、輸出可能生産量減少の為、1.1百万袋減少し14.0百万袋の見通しである。



インドネシアの生産量は1.3百万袋減の9.2百万袋の予想である。コーヒー産地の殆どの地域で開花期に雨量が少なく、その後の豪雨の為、コーヒーチェリーが熟す前に落下する原因となった。輸出可能生産量の減少から、輸出量は1.3百万袋減り5.6百万袋の見通しである。2007年以来、インドネシア農業省は新木の増植や、耕作面積の拡大、きめ細かな手入れなどを勧奨してきたが、これらの努力が生産量の著しい増加となって報われる結果にはなっていない。

ベトナムの生産量は微減の24.8百万袋だが、今回も天候不順が増産傾向に水を差す形となった。雨季は小雨で始まったが、その後も平年を下回る降雨量だった。生豆輸出量は200千袋減の23.0百万袋の見通しだが、国内消費量はコーヒー消費文化の広がりと共に引き続き増加することが予想される。



コロンビアの生産量は前年と同じ9百万袋の見通しだが、同国コーヒー危機以前の2007/08年度に比べるとまだ3.5百万袋低い水準である。同国の生産量は未だ、サビ病やボーラーワームが蔓延することとなったラニーニャの影響から抜け出せていない状況である。また、数年前に開始されたコーヒー農園更新プログラムは短期的には生産量を限定する結果をもたらしている。なぜなら同国3分の1の耕作面積がサビ病に強い種類に植え替えられ未だ生産年齢に達しないコーヒー木が多いからである。コーヒー輸出量は300千袋増え、8百万袋の見通しで、在庫量は減少するだろう。






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