「キューポラのある街」という映画を観ました。
1962年製作のとても古い映画です。

映画のタイトルであるキューポラとは鋳物を作る溶鉱炉のことで、映画には町工場から突き出した煙突のようなキューポラがよく登場します。


かとちゃんのブログ

この映画の舞台は当時鋳物工場が多かった埼玉県川口市で主演は吉永小百合さんです。

サユリストと公言しているタモリさんが吉永小百合さんの話題になると必ずと言っていいほどこの映画のタイトルを言ってたような・・・
そんなサユリストたちの絶賛にも関わらず私はまだ観たことが無かったのでBSで放送されたのを録画しておいて観てみました。

この映画の率直な感想は「スターを使った単なる娯楽映画ではなく、当時の社会が抱えている様々な問題を描いた映画だ」といった感じでした。

映画はほとんどロケ撮影されたようで当時の日本の社会がよく分かるし今の日本と随分違います。

この映画の良いところは主人公を取巻く人たちを通して町工場、貧困、朝鮮人、高校進学など色々なテーマについてのシーンがあり今の私達に十分考えさせられるメッセージ性のある映画だと思いました。

50年近く前の映画なので音楽の使い方や会話が古臭く感じたり、当時の事を知っている世代にしかよく分からない会話の内容や表現がありますが、それを差し引いてもいい映画と思います。

この映画に登場する人たちは世の中で比較的立場の弱い人たちです。しかしそれにくじけることなく健気に努力して乗り越えていく。

映画の中で印象に残ったシーンは吉永さんが演じるジュンが作文を書いているシーン。

「みんな弱い人間だ。

  もともと弱い人間だから貧乏に落ち込んでしまうのか。
   
    それとも、貧乏だから弱い人間なってしまうのか、私にはわからない・・・」

映画の中には勉強の大切さをコンコンと説明する学校の先生のセリフもありました。

今の日本でも貧困から脱出する方法は勉強することだと私も思います。

日本は高度経済成長が終わり、バブルも終わり下降気味の日本経済ですが、それでも勉強の大切さは変わってないと思います。

東日本大震災により今日本全体がとても苦しい状況にありますが今までの生活が便利で快適すぎたのではとこの映画を観て思いました。

あまりに便利で快適過ぎる生活は人間をダメにすると思います。快適すぎない、不便すぎない、キューポラのある街の頃と現代の間ぐらいの生活が良いのかもしれません。

両極端にならない中道ですね。




私は川口市に行ったことが無いのでよく分かりませんが、映画のロケ地を探して撮影した当時と今を比較してyou tubeに投稿している方いらっしゃいました。

川口市は随分と変ってしまったようですね。

キューポラロケ当時との比較写真
http://www.youtube.com/watch?v=jMsZ2PGVm5Y&NR=1

「キューポラのある街」ロケ地探訪~総括編~
http://www.youtube.com/watch?v=utEYYKecSOE