かとう社労士事務所公式ブログ ~人事労務に関するあれやこれや~

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愛知の地方に住んでいる社労士が、人事労務に関する時事ネタについて、その時々に感じた事をつらつらと書き綴るブログです。できる限り解りやすくお伝えできるよう心掛けていこうと思います^^;

8月19日に厚生労働省は

派遣労働者の労使協定方式による賃金決定に関するQ&Aを公開しました。

厚生労働省労使協定方式Q&A↓

https://www.mhlw.go.jp/content/000538206.pdf

 

おそらくは疑義があまりにも多くて、厚労省に問合せもひっきりなしであると思われます。^^;

今後、数回にわたって、このQ&Aの主だった項目について、

私なりの解釈を交えて、記述していきたいと思います。

尚、あらかじめ申し上げておきますが、

解釈はあくまで、現時点での私の個人的見解ですので、

念のために、各都道府県労働局に確認されることをお勧めします。^^;

 

1.労使協定の締結より

問1-2 

施行日前から締結している労働者派遣契約について、「派遣労働者を協定対象派遣労働者に限 定するか否かの別」などを新たに記載する必要があるが、労働者派遣契約を新たに締結し直す必 要があるのか。 

答 労働者派遣契約を新たに締結し直すことまで求めるものではないが、施行日までに、労働者派遣契 約の変更等により、新たに労働者派遣契約の締結事項となった「派遣労働者が従事する業務に伴う責任 の程度」及び「派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否かの別」を労働者派遣契約に定めてお かなければならない。 

《私見的解釈》

契約自体を結びなおす必要は有りませんが、契約書に

①派遣労働者が従事する業務に伴う責任 の程度

②派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否かの別

を明記する必要は有るということですね。

 

問1-3 

数か所の事業所を労使協定の一つの締結単位とすることは可能か。(例:関東地方に所在する 事業所で労使協定を締結) 

答 差し支えない。 ただし、待遇を引き下げることなどを目的として、数か所の事業所を一つの締結単位とすることは、 労使協定方式の趣旨に反するものであり、適当ではなく、認められないことに留意すること。 また、この場合、比較対象となる一般賃金を算定する際の地域指数については、協定対象派遣労働者 の派遣先の事業所その他派遣就業の場所の所在地を含む都道府県又は公共職業安定所管轄地域の指数 を選択することに留意すること。 さらに、数か所の事業所を労使協定の一つの締結単位とする場合、派遣労働者が多数となり、派遣先 の業種、派遣先地域も多岐にわたって賃金体系等が複雑となり、複数の事業所の派遣労働者全体の利益 を適切に代表する過半数代表者を選出することが困難となる可能性があることから、数か所の事業所 を労使協定の締結単位とする場合には、過半数代表者が民主的手続に基づいて選出されるよう、特に留 意する必要がある。仮に過半数代表者を適切に選出していないと認められた場合には労使協定方式が 適用されず、法第 30 条の3の規定に基づき、派遣先に雇用される通常の労働者との均等・均衡待遇を 確保しなければならないことに留意すること。 

問1-4 

派遣労働者は各々異なる派遣先に派遣されており、労使協定を締結する過半数代表者の選出が困難であるが、どのように選出すればよいか。 

答 例えば、派遣労働者の賃金明細を交付する際や派遣元事業主が派遣先を巡回する際に、労使協定の 意義や趣旨を改めて周知するとともに、立候補の呼びかけや投票用紙の配付をしたり、社内のイントラ ネットやメールにより立候補の呼びかけや投票を行わせることが考えられる。 なお、派遣元事業主は、過半数代表者が労使協定の事務を円滑に遂行することができるよう必要な 2 配慮を行わなければならない(労働者派遣法施行規則第 25 条の6第3項)。この「必要な配慮」には、 例えば、過半数代表者が労働者の意見集約等を行うに当たって必要となる事務機器(イントラネットや 社内メールを含む。)や事務スペースの提供を行うことが含まれるものである。 また、労働基準法 36 条に基づく時間外・休日労働に関する協定の締結や、同法 89 条に基づく就業 規則の作成又は変更を行う場合にも、(過半数労働組合が存在しない場合は)当然に過半数代表者の選 出が必要である。

《私見的解釈》

労使協定の締結に当たっては、労働者の過半数代表を選出する必要が有りますが、

複数事業所に派遣される労働者を一括して協定を結ぶ場合、

労働者の過半数代表者の選出や協定の内容の周知、労働者の意見集約が適切に行われないリスクがあり、

事業者側は、社内メールの使用や社内イントラネットの使用等により、これらを適切に行う必要が有ります。

尚、労働者の過半数代表者を不適切な方法で選出(会社が指名する等)して結ばれた協定は、

協定そのもの有効性が否認(派遣先との均等・均衡方式になる)されるリスクがあり、

労働者の意見集約や周知が不十分だと労使トラブルが発生するリスクが高まります。

 

(次回へ続きます)

先日も似たような記事を書いたのですが、

最近テレビで、クリーニング店のオーナーが

仕事の内容、業務遂行時間、休日について

自身の裁量が無い(=会社が決定する)にも関わらず、

労働法令の適用除外となるため、

労働時間が増大しているという報道を目にしました。

少し古いですが、参照記事↓

参照記事https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201903/CK2019031802000128.html

 

過日、大阪のセブンイレブンのオーナーが24時間営業は限界だとして、

独断で24時間経営を止め、本部と揉めて、コンビニ業界全体を揺るがす問題となりましたが、

(参照記事:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190711-00010009-huffpost-soci

働き方改革の規制逃れのために、

建前は「個人事業主」ですが、

労働時間や休日、業務内容、業務の遂行方法に裁量が無い

実態として労働者的な扱いをうけている

「個人事業主」が特に各種チェーン店オーナーに増えているように見受けます。

当のクリーニング店個人事業主の方々は「労働組合」(呼称がいささか奇異にも思えますが…)

を結成して、会社と待遇改善交渉を行っているというのが現状のようです。

 

このあたり、個人事業主に対する保護法制の

早急な整備を国にはお願いしたいですね。

今日もまた雑感つながりということで、

これもまた最近ネットで目に付いた記事の話ですが、

以前このブログにも書いた(該当記事:https://ameblo.jp/kato-sr/entry-12462779469.html)、

退職代行サービスが相変わらず大盛況だそうです。

(参照記事:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190814-00066343-gendaibiz-bus_all

 

退職サービスが盛況である理由として

記事では、若年退職者による「コスパ意識」がその主要因であると見ています。

 

辞めると決めた以上は、

わざわざ会社に出向くのはそもそも時間の無駄で、

なおかつ、

引き留めされて煩わしい思いをしたり、

採用に掛かったコストについて損害賠償請求されたり、

「辞めるなら代わりの人間を探してこい!」

などととんでもないことを会社から言われるリスクもあるとなれば、

なおさらこういうサービスを使わなければ損だ

と考える若者が増えているということでしょうか。

 

昨今流行りのYoutube動画を見ると、

時間とコスパ意識の重要性を説く

世に云う「成功者」の方々も多いように感じられ、

この現象もその影のひとつなのかなと感じた次第です。

毎回見ているという訳ではないのですが、

NHK連続ドラマ「なつぞら」の8月16日放送回で、

主人公坂場なつ(広瀬すず)が妊娠を会社に報告しに行くという話で、

当初、なつは職場の同僚に妊娠の事実について根回しするつもりが、

思わぬ形で社長にいきなり団体交渉するはめになり、

なつの同僚である下山茜(渡辺麻友)は

妊娠出産を機に契約社員に雇用形態を切り替えらてしまったという前例も有り、

最悪のケースも想定して、悲壮ともいえる覚悟で、

子どもを産んでも社員として仕事を続けたいと社長に申し出た結果、

物分かりの良い社長さんに契約社員どころか、

作画監督に抜擢するという内定をもらって、

ひとまずめでたしという、

育児休業が今のように法で義務付けられていない時代に

大変な勇気を必要だったであろうなとまず感じ、

マタハラ問題が取り沙汰される昨今、

労働者の子育てと仕事の両立をめざす日本社会に希望を投げかける、

今の時勢にある意味タイムリーであるような回だったように思います。

 

もっともアニメの作画監督は、

作品を通して全ての作画に責任を持たなければならない立場なので、

今のようなPCによる作画でなく、一枚ごとに手描きだった時代、

なつが果たしてこの超激務を子育てと両立できるかどうか

というのが、次の物語のヤマとなりそうですね。

 

すいません。今回は本当にとりとめのない

雑感になっていしまいました。^^;

(文中敬称略)

いつものように働き方改革に伴う企業の動きをネットで探していて、

目に付いた記事についての個人的な雑感です。

 

先月、7月18日付での日経ビジネスが掲載した

タニタによる社員の個人事業主化のお話。

(参照記事:https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00005/071800034/

タニタがこれを導入することを決めたのは2017年ということで、

同社は比較的早い時期から働き方改革関連法の改正を見据えた

取組をしていたことが伺えます。

 

タニタが採用した「個人事業主」制度の概要について記述しますと、

【対象者】

タニタ本体の社員のうちの希望者

【契約期間・契約方法】

・契約期間は3年で、毎年契約を結びなおす。

・会社との雇用関係を終了したうえで、新たにタニタと「業務委託契約」を結ぶ。

【委託業務について】

・直前まで社員として取り組んでいた基本的な仕事タニタが委託。

・基本業務に収まらない仕事は「追加業務」として受注。

・タニタ以外の仕事を請け負うのは自由。

【報酬】

社員時代の給与・賞与をベースに「基本報酬」を決める。

・基本報酬には、会社が負担していた社会保険料や通勤交通費、福利厚生費も含む。(保険は個人で民間保険に加入)

・成果に応じて別途「成果報酬」を受け取る。

【業務時間】

・社員ではないので就業時間に縛られることはなく、出退勤の時間も自由に決められる。

【その他】

・確定申告などを自分で行う必要があるため、税理士法人の支援を用意している。

【備考】

・2017年1月から始めた8人の場合、平均の収入は28.6%上がった。(社会保険料負担相当額含む)

・会社側の負担総額は1.4%の増加

・3年目に入った現在、26人の社員が独立した。

 

個人的に気になったのが「社員時代の給与・賞与をベースに「基本報酬」を決める。」とありますが、

個人事業主の報酬というものは、会社主導で決められるべきものなのでしょうか?

ただ、この「基本報酬」は仮に成果が出なかったとしても支払われる

生活保障料的な意味が有るようにも見えるので、無いよりは有った方が温情的かとは思いますが…

それと、「社員ではないので就業時間に縛られることはなく、出退勤の時間も自由に決められる」というのも

個人的には首を傾げたくなる表現ですね。

個人事業主に対して勤怠管理や労務管理はそもそもそぐわないものですから。

これについても、タニタ社員と業務遂行するうえで、

どうしても「社員」の「勤務時間」と業務時間を合わせる必要はあるのでしょうが…

 

もっとも、タニタの場合、これまで大きなトラブルが発生していないところをみると、

元社員である個人事業主の方々も今のところは納得されているようなので、

こうして細かいところをあげつらう私の見方が狭量であるようにも思えますが…^^;

 

事業主の皆様方におかれましては、

社員を個人事業主として、業務委託とする際は、

特に報酬支払の決定方法や、

業務遂行時間や方法の決定については、

元社員だった個人事業主の裁量によることが原則であることに充分ご留意願います。

間違っても、単に社会保険料等の法定福利費のコストを浮かせるために形だけ「個人事業主」契約として、

時給感覚で時間単位で報酬額を決め、

会社にとって一歩的に都合の良い時間に仕事をさせ、

決められた時間に仕事をしていなければ報酬を減額する…

などというような

労働者であることを疑わせるようなことをなさらないようにお願いします。^^;