小沢一郎氏が民主党を離党しました。前回お話しした“「3ない」の予言”が外れてしまいました。(『決められる政治を自民党が実現しました』)

離党は、政治的にはほとんど自殺行為です。
「友人として、小沢君は気の毒だな。才能のある政治家だけど、これで終わりだろうな。さびしい」。
離党を見て、かつての同志・渡部恒三氏が語った言葉がテレビで伝えられていました。いったい何が「終わり」なのでしょうか。小沢氏の政治の師であり、彼に大きな影響を与えたのは田中角栄氏です。私は、田中氏から受け継がれた政治スタイルが終わったのではないかと感じています。

今回ばかりは、小沢氏の手には切り札がありませんでした。それでも消費増税反対ドラマをここまで大きなものにしました。たいした力量です。しかし、財政再建で一歩も譲らない構えの政官を前に、「豪腕」もついになすすべがなくなったのではないでしょうか。

週刊誌に掲載された「手紙」の一件で、永田町には激震が走りました。小沢氏は党に残って野田総理を倒すことが許されないほどの傷を負ったのだと思います。40人ほどが一緒に離党しましたが、次の衆議院議員の選挙で当選する人数は、おそらく一桁になるでしょう。そうなれば、小沢氏が率いる党の勢力は小規模なものにとどまり、これまでほどの影響力は発揮できないかもしれません。私にとってもかつての仲間でしたから、寂しいですね。

日本の政局は、各党の違いがよくわからない状況になりました。大連立か、政界再編か、二大政党にこだわるのか、はっきりしません。このような状態がこれから2、3年は続きそうです。私は政界再編に進むべきだと思います。そして、そこには大義名分がなければなりません。政策という明確な旗が掲げられ、国民が選択できるようにならなければ意味がありません。どんな旗が立つべきか、どの旗の下に集うべきなのか、この2年ほど考え続けています。


加藤紘一オフィシャルサイトより
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