「アジア諸国との関係が日本の景気にどう影響するのか、注視が必要」

今年の日本の景気はどうなるのでしょうか? 欧州経済危機の余波もあり、昨年後半からアジア諸国の金融事情が思わしくありません。

その筆頭となるのが中国で、2011年11、12月と中国の外貨準備高は2カ月連続で減少しました。フィナンシャル・タイムズでは、金融面でかなり不安定になってきたと指摘しています。そんななか、日本は昨年末、中国の国債100億ドルの購入を決定しました。

お隣、韓国はというと、ここも芳しくありません。昨年10月には、野田佳彦首相が韓国に行って、イ・ミョンバク大統領と首脳会談を行い、日韓通貨スワップ協定の限度額を700億ドル(約5.4兆円)に拡大することで合意しました。日本は外貨準備高、国内資金が十分にあります。むしろ借りて使ってくれる国内企業がないぐらいです。韓国はというと、外貨準備が20兆円ぐらいあるはずですが、実際には運用をしていて動かせなくなっているようです。だから、韓国にとって5兆円のスワップ協定は大きい。日本が使うことはなく、おそらく韓国が一方的に日本から融資を受ける形になるでしょう。

小耳にはさんだ話では、イ・ミョンバク大統領がアメリカのオバマ大統領に融資の依頼をしたけれど、アメリカも余裕がなく「日本に頼みなさい」と言われたとか。つまり、韓国からのお願いによるスワップ協定のようです。

さらに、昨年12月28日にインドのデリーで行われた日印首脳会談では、通貨スワップ協定の限度額を従来の5倍の150億ドル(約1兆2000億円)に引き上げることで合意しました。

こういった他国との関係によって、日本経済は足を引っ張られることにならないのか、注視していきたいと思います。

加藤紘一オフィシャルサイトより
http://www.katokoichi.org/