上は、仏眼仏母。
人は真理を見つめて世の理を悟り、仏即ち「目覚めた者」となる。これを「真理を見つめる眼が仏を産む」更に「人に真理を見せて仏として生まれ変わらせる宇宙の神性」という様に擬人化して考え、仏母即ち「仏の母」としての仏眼信仰に発展した。

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2つの『空』シュニャータとシュンニャ

般若心経の『空、シュニャータ』は、
スヴァバーヴァ(自性)であり、
それは、量子論の
『0フィールドエネルギー』に近い概念である。

それは、スヴァバーヴァ(自性)を存在しないものとして、
否定して定義された、ナーガアルジュナの
『空』とは、異なるものである。

観自在菩薩・行深般若波羅蜜多時、
わざわざ、深い般若波羅蜜多時、
と言っているのは、
これまでの般若経典群の空=シュンニャの
意味との違いを強調しているためである。

般若心経では、空をそれまでのシュンニャ
ではなく、シューニャータという言葉を使用している。

照見五蘊皆空

パンチャ スガンダース タームス チャ

スヴァバーヴァ シューンニャ ヤーン 

パシュヤティー シュマ

【訳1】
 五つの要素がある。そして彼は,
それらがその本性(自性)において空であると見抜いた。

【訳2】
「さらにこの時、菩薩摩訶薩(偉大な聖者の菩薩)聖観自在菩薩は、般若波羅蜜多の深遠なる
実践の本質を完全に理解して、五蘊すべての本質もまた、
『自性が空』であると見極められたのである」

〈観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空〉

と言われている。「さらにその時」とは、周りの弟子たちが集まって世尊が三昧に入られた時の
ことである。

「聖観自在菩薩は、その自性が空であると見極められたのである」というところまでの部分では、
聖観自在菩薩には、周りの弟子たちと一切有情に対する慈悲の心があるため、

般若波羅蜜多の深遠なる本質を完全に理解して、
五蘊のすべてもまた対象がないという自性を持ち、
空以外の他のものになることは決してない、
という真意を示されたのである。

五蘊とは、煩悩の基となる5つの原理のこと。
それらは、本性として空である。

 これまでの般若経典では、
 五蘊の無常なるあり方が『空』であるとした。

しかし、
 
般若心経では、
スヴァバーヴァ(自性が) シューンニャ ヤーン(空である) 

これは、ナーガアルジュナによって
その存在を否定された『スヴァバーヴァ(自性)』
が、その本性において『空性』である。
と言っている。

これは、ナーガアルジュナの『空』とは、
定義が、違う『空』である。

つまり、

ナーガアルジュナは、五蘊を『空』と定義した。

が、

般若心経では、スヴァバーヴァ(自性)の本性が、
『空』であるとしている。

般若心経の作者は、観自在菩薩自身であるが、
ナーガアルジュナの『空』の定義との差違を
明確にするために、
わざわざ、違う単語『シュニャータ』を
般若心経で、使用している。

般若心経をそれ以前の般若経典群のまとめと
考えると、理解できない。

ここで、言えるのは、

★シュニャータの悟りは、、如来の悟りであり、
 ニルヴァーナに至ることができる。
 説一切有部の択滅無為にあたる。

☆シュンニャの悟りは、菩薩の悟り、
 説一切有部の非択滅無為の境地といえる。
 


▼自性、スヴァバーヴァとは、
 説一切有部の虚空無為にあたる。
 量子論の『0エネルギーフィールド』は、
 物理的世界に現れた『自性』といえる。
 が、実際の『自性』は、物理的次元ではなく、
 形而上の概念である。

有為法
さまざまな因果関係・因縁のうえに存立する現象を有為
(うい、梵: saṃskṛta)とよぶ。

無為法 (むい、asaṃskṛta)
原因にも、因果にも、縁起にもよらず、特定の原因や条件
因縁)によって作りだされたものではない、不生不滅の存在。
また、涅槃のことを無為ということもある。


シュンニャは、普通のヒンディー語では、
『0』『शून्य』という意味であり、

まさに、量子論の『0エネルギーフィールド』である。

光量子も、電子も、物理的世界の最小単位の実在
として、観測されているものであり、
物理的実在である。

ナーガアルジュナは、説一切有部の実在論を
徹底的に否定するために、
実在についての3つの要素を提示した。

1 自立している。(依存していない。)

2 恒常不変であること。(永続して変化しない。)

3 単一であること。(1つのものに2つの本質はない)

ナーガアルジュナの説は、量子論によって誤りであると
されてしまったのである。

★物理的世界の最小単位の実在である、
光量子、電子も、『波動』と、『粒子』という、
2つの本質をもつ。

そして、0エネルギーフィールドから、出現して、
0エネルギーフィールドに消失する。

中観派が、否定しても、
自性==スヴァバーヴァは、0エネルギーフィールドとして
量子論で、観測されている。

スヴァバーヴァ==自性は、サーンキャ哲学では、
女性性の不滅の実在原理のプラクリティーと言われる。

「マ」(母)とは、過去・現在・未来の三世の仏陀たちも般若波羅蜜の意味を実践されたことか
ら生じ、般若波羅蜜の意味によって生まれたので、般若波羅蜜はすべての仏陀たちの母であるた
め、「マ」(母)と言われる。

仏の母である般若の智が、自性とは、無常なる不滅の実在原理
である『空』を説いたお経である。

チベット語のテキストでは、般若心経は以下のように、
「仏母般若波羅蜜多の心髄」と言われる。

仏母般若波羅蜜多に礼拝いたします
ここで「仏母般若波羅蜜多の心髄」
(チョム・デン・デーマ・パロルトゥ・チンペー・ニンポ)
とは、〔この論書の元となる〕経典の内容について述べられているのであり、
故に〔この経典は〕『仏母般若波羅蜜多心経』と呼ばれる。

最初に名前を述べないとどの経典のことか確定でき
ないので、まず経典の名前を述べているのである。
名前を述べただけでなく、
『般若波羅蜜多心経』というこの経典内容のすべてには、
ここに集約されていないものは何もないので、
経典の中の経典であると言われている。

★摩訶波闍波提。マハープラジャーパティー
ゴータマ・シッダールタ(釈迦)の生母マーヤー夫人の妹。
釈迦の叔母であり養母である。

彼女は、ニルヴァーナに至り解脱している。

観世音菩薩に化身して、般若心経を三蔵法師に
教えたと言われるのが、マハープラジャーパティー。
下の画像。