ボリウッドダンスについて。
最近日本でも、多くなってきた、ボリウッドダンス(インド映画ダンス)は、
古典舞踊とは全く違うものです。
私の師匠のインド人間国宝家元パドマビブーシャン パンディットビルジュマハラジ氏が、
幾つかのカタックの振り付けをインド映画=ボリウッド映画で行っています。
しかし、クラシックバレエ同様、古典舞踊は、その形が命と言われるため、普通、古典の舞踊家は、他の古典舞踊や、モダンな舞踊をすることはありません。家元が、振り付けを提供しているものも、完全な古典カタックであり。
決してモダンなボリウットダンスではありません。
私がインドで舞踊学校・カタックケンドラやカラアシュラムに通っている時期には、
家元のマハラジは、
『ボリウッドは、決してやってはいけないよ。なぜなら、カタックの形が全く崩れてしまうからね。
カタックと動きの正反対の南インド古典舞踊バラタナティヤムもダメ。可能性のあるものは、多分オディッシーぐらいだ。』とおっしいました。
マハラジが、ボリウッドに振り付けや楽曲を提供したからといって、その事情が変わったわけではありません。
身体センスの優れている舞踊家は、他の種類の舞踊の動きをコピーできてしまうのですが、
それはあくまで、アバウトであって、純粋な古典の専門家の動きの美しさには、及びません。
純粋な古典の専門家からすれば、『目的意識が違うのだから、その人はそれでいいんじゃない。』
というわけです。
最近日本では、カタックと銘打って、ボリウッドダンスとのMIXを行うクラスが、多々あるようですが、インドの師匠 Pt,VIjay Shankar氏に言わせれば、
『キチュリ、ナーチ』という位置付けとなります。
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★ボリウッドダンスとのMIXを行うクラスと同様、極端にヒーリング効果などを強調するものも、本物のカタックとは言えません。
また、カタックは、もともと、ヒンドゥー教のヴィシュヌ神に帰依する僧侶階級が布教のために行っていましたが、現代では、純粋なインド古典芸術として一般的に知られています。
つまり、インドでは、普通、ヨーガのような目的で、カタックが行われることは、ほとんどなく、純粋な古典芸術としての研鑽を行うのが普通です。
インドの先生に言わせれば、
『瞑想していて、トゥクラが踊れるようになりますか?BPM240のラリーができるようになりますか?それができて初めてカタック。』というわけです。
北インド音楽の伝統的リズムコンポジション、トゥクラ、パラン、ウターン、トリプラ、ラヤカリ、ラリーをそのまま踊るインド舞踊はカタックのみです。パントマイム的舞踊アビナヤは、ほとんどすべてのインド舞踊が行います。やはり、パフォーマンスの80%をしめる『ナトワリヌリッタ=純粋舞踊=リズムを踊っていく部分』がカタックを特徴つける部分です。
popカルチャーのボリウッドダンスと、古典舞踊の何が違うのか?
いわゆる、popカルチャーであるボリウッドダンスと古典舞踊の違いは、その主題にあります。平たく言えば、凡夫の日常的な煩悩の生み出す悲哀を歌って踊るものが、popカルチャー。
それにたいして、
インドの古典芸術は、純粋な精神的霊的、また神的なものと波動を合わせるため、サンスクリット語のマントラ、バジャン、(神々への賛歌)を主なテーマとしています。巫女のように神仏の力の受け皿、のりしろとなっておどります。
一般的に、語り部としてのカタックは、確かに、役柄になりきらない方が良いとの説もありますが、
マハラジの指導では、『あなたの目が、目標を見るのでない。クリシュナの目が目標を射抜いていると感じて踊りなさい』となります。まさに舞踊を通して三密の加持を行っているのです。
また、インド古典舞踊カタックには、家元がおり、北インドがイスラム宮廷時代だった頃から代々伝わる、伝統的なダンスボール=(ダンスコンポジション)を踊ります。家元のご先祖様が発案したダンスコンポジションを代々のマハラジ=家元が引き継ぎ、また、より発展させたボールと振り付けです。
マハラジ師匠はこれについて、
『伝統的なボールパラン(ダンスコンポジション)は、1人だけで考えたものよりも、何人ものスペシャリスト(マハラジ)の幾つものブレインが研鑽したものであるから、大変考え抜かれ、優れたものである。』と言います。
もちろん、ボリウッドダンスにそんなものはありませんね。
どちらの踊りが、運命を好転させ、躍り手や観客を祝福できるのかはいうまでもないことです。
古典舞踊は、修行をですから、覚悟と信念のないものには、続けることは、不可能です。
神仏のご加護や祝福を受けたいなら、普通のどの宗教でも修行を勧めます。
煩悩に根差した快楽的芸術に耽っても、目的は果たせないでしょう。
カタックは、その昔、ヴィシュヌ神を信仰するヒンドゥー教の僧侶が布教のために、はじめた、おどりです🎵
私の流派ラクナゥガラナは、創始者がクリシュナ神のお告げを受けはじめ舞踊といわれています。
神仏の祝福を受け、運命を好転させることのできるものが。
インド古典舞踊カタックです🎵
Kathakのナトワリ(純粋舞踊)形式は、taal(リズム)へのプジャです。北インド舞踊カタックは、イスラム王朝時代に主に発展しました、そのため、インドの音楽と、西からのアラブの音楽が融合してできた独特のものとなりました。
具体的な表現をすることのできない、イスラム教の伝統では、リズムの数秘学を使って神の栄光を表現していくのだと思います、また、一説には、霊視者でもあった古代のグルが、天使の踊る姿をもとにはじめた舞踊とも言われています。