年に二回しかない大チャンス。

 

行ってまいりました、Morris &James陶器工房のLabour Day(勤労感謝の日)セール。

 

ニュージーランドの土を使い

ニュージーランド人の手で創作

Morris & James陶器工房

https://www.morrisandjames.co.nz/

 

ところがここで問題発生。

 

自宅から工房までの距離車でおおよそ1時間半で午前9時開始。工房があるMatakana周辺はオークランド市民に大人気の行楽地で、今回のような3連休では多くのイベントが予定されているため大渋滞が予測される。ところがその1時間前である午前8時にフランスにてオールブラックス対アルゼンチンのラグビーワールドカップ準々決勝戦が開始。


ひたつの大切な行事が丸かぶりです。

 

10時過ぎまでラグビーを応援していたら大渋滞に巻き込まれ、セールの到着は午後。そんなことをしていたら、人気の作品が他の人に取られちゃう。

 

ならばいっそのことラグビー応援を諦めては早めに家を出ることも考えましたが、やっぱり生配信で応援したい。

 

どちらも諦めてはならないやつです。

 

仕方がないのでせっかくの休日でゆっくり寝ていたいところを6時半に起床して8時前にMatakana入り、工房周辺のパブにて試合を途中まで観戦し、9時前にその日一番乗りのお客さんとしてセールに参戦しました。

 

セールは戦です。

 

普段は夜間営業のパブもこんな時には早朝開店。

 

さすがに朝食メニューまでは準備できていませんでしたが、朝っぱらからフライドポテトだの、ビザだの、ビールだのの注文が飛び交っていました。




一番客として工房入りして一番うれしかったこと。それは、工房の業務用のパソコンがテレビスクリーンに接続されていて、来客者にも試合の状況が確認できるよう、粋な配慮がなされいたことです。いや、あれはお客さん用じゃなくて、陶芸職人の男性が自分用に仕掛けた技だな。

 



素敵な工房なのだけど、ひとつだけ不満があります。それは色調がザ・90年代って感じで古臭いこと。職人さんとお話をするたびに、今の原色系もいいけれど、もっと自然と調和する、パステル調も増やしてほしいとお願いしています。大御所の職人さんは結構年齢が高い男性がほとんど。案の定、聴く耳持たずって感じです。

 



しかし2か月程度待てば定価と同じ金額でオーダーメードに応じてもらえるので私は困らないですけどね。

 

私が工房に伝えたいのはそこじゃなくて、色を流行りのナチュラル系にすればもっと売れますよ、若い世代にも受け入れられますよってことです。

 

ま、それは職人さんと工房オーナーがお決めになることなのでしょう。

 

売れることがすべてではないですしね。

 

一年ぶりに工房を訪問して気が付いたのですが、コロナ騒動以降新しい職人さんが増えていまして、20代前半の土いじりの男性、絵付けの女性が加わっているようです。ですからのでそのうち彼らが新しい風を吹かせることでしょう。

 

とにかくこの粋なラグビー実況のお計らいのお陰で、ゆっくりと陶芸作品を吟味しつつ、ラグビーの試合の生配信も観戦することができました。

 

王者オールブラックスの勝利を見届けて帰路についたのが午前10時半。

 

帰り道の反対車線の大渋滞にほれやっぱりねと自分の計画の正しさに優越感に浸りつつ、途中で立ち寄ったのはPuhoiという小さな村にあるGoogleレビューがやけに高い喫茶室です。なんでもこの店の昔ながらのスコーンと紅茶のセットが大人気だとか。

 

本当はもっといただきたかったけど、そのあとでもう一軒行きたい最近インスタで話題になっている店があったのでスコーンだけにとどめておきました。

 




素朴なニュージーランドの田舎風景の中でいただく外さっくさく、中ふわふわのスコーンとお茶は最高で、色んなことを考えてしまいました。

 

実はこの一週間、仕事で慣れない新しい任務を無理して見栄を切って一人で請け負ってしまったためだいぶ疲れ気味でした。それでも意味のないところで変にプライドが高い私は自分よりも20歳も若いベテランさんに助けてって頼むのがどうにもこうにも悔しくて、こっそりと朝1時間早く始めて、昼休憩を削って、なんとか切り抜けました。そして同僚にはなんでもないような、涼しい顔をするのです。アホの極みです。月曜の夜には仕事のことで頭がいっぱいで仕事の夢を見てしまったり、水曜日には頭が疲れすぎて頭痛になったり。そんな状態で月曜日、火曜日、水曜日、木曜日、金曜日と、毎日この日のセールとそのあとの喫茶室のご褒美を想像しながら自分自身を励ましてきました。

 

そしてついに迎えた土曜日の喫茶室。


オールブラックスはフランスで活躍していますが、各選手は人知れず鍛練を積んでいるように、お茶とスコーンでのほほーんと好きなことをしている私だって、人知れず鍛練を積んでいるのです。

 

Googleのレビュー通りに美味しいお茶と、レビューにはなかった素敵なお庭を鑑賞しながら、生きててよかったー、がんばってよかったー、来週も頑張るぞーと、心の底からそんな気持ちになりました。

 

こんな新鮮な気持ち、久しぶりです。

 



長く生きていると新しいこと、慣れないことに触れる機会が少なくなり、しんどさや、それを乗り越えた時の達成感を味わうことも減ってしまいますが、今週は久しぶりに若いときのようにそんな経験をすることが出来ました。

 

新しい取り組みには、面倒がらず、ひとまず挑戦してみるもんですな。

 

喫茶室で使用されている茶器は微妙なレトロ具合でした。

 

ティーポットは1990年代に統廃合によって消滅したCountrywide銀行名が。おそらく、銀行の職員食堂で使用されていたものではないでしょうか。

 



そしてティーカップは日本製Yamato製。

 

Yamato工房についてネットで調べても良くわかりませんでしたが、どうやら昭和ごろまでは有田地方に窯を持っていたけれど、現在は陶器の卸問屋として営業をしているようです。へぇ~、そんな年代物がニュージーランドの田舎でいまだに現役で頑張っているなんて誉れ高いことではないですか。

 



昔のニュージーランド、おそらく60年代~90年代くらいまでは、Noritakeをはじめとした質の高い日本の陶器はニュージーランドの紅茶愛好家の間で広く愛されていたようです。そんなお茶器界も最近ではお手頃価格なものからデザイン性の高い高価なものまで、そのとんど全部が大量生産。しかもそのほとんどが中国製。

 

いやー、私たちはいま、味気ない、つまんない時代を生きていますね。

 

 

脱ステロイドサイト運営しています

https://www.katenewzealand.com/