便利になって失くしてしまったこと | 子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育

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ちょっとの工夫で子育てが楽しくなります。

小学生だった頃、
我が家は、最寄りの国鉄駅から
歩いて1時間ほどのところにありました。
だから駅からはバスに乗って帰宅するのが常でした。

その日、母はいつものように
私と弟を連れてバスに乗ったのですが、

10分ほど経つと急に降りると言い出して、
次のバス停で降りました。

夜でしたし、疲れていたので、
降りたくない、と思ったのを覚えています。

バス停を降りると母は、

今は車がある時代だから
すぐにおうちまで帰れる、
便利でとってもいいわよね。

でも見てごらん?
夜のお空にはこんなにきれいな星があるし、
道端のお花は昼間は咲いているけれど、
夜になると、こうして蕾んで眠っているのよ。

みんなでゆっくり歩いて帰ると、
色々なこと見つけられて楽しいわね

お家には車がないから
不便だと思う時もあるけれど、
こういう時間を過ごせるのは、
車がないからこそよ。
おしゃべりしながら歩くの、楽しいな。
あなたたちは大きくなってもきっと
この綺麗な空のこと覚えているわよ。

母の言った通り、
大人になった今でも私はこの時のことを
覚えています。
とってもきれいな夜空の星も、。
道端の白い蕾んだ花も。
弟を真ん中に入れて三人で手をつないで歩いた道も。
疲れも吹っ飛んで楽しい時間だったような気がします。

便利になって失くしてしまったのは、
こうした感覚かもしれません。

不便なことが素敵な思い出になった時代です。

大人になってからこの話を母にしました。
すると・・・

美化しすぎよ、由紀さん。
あの時は、バス代が3人分なくて、
慌てちゃったのよ。
運転手さんにお願いして、
ひとつ目のバス停で降りたの。
バス代は今でもまだ借りっぱなしってことよ。

あらら。。。

真実はそういうことだったのか・・・・
でも母よ、私はその事実よりも
あの日の「素敵な時間」の方が
「私の事実」として残っています。

だから私も子どもたちとは
ゆったりとした時間を持つように心がけよう、
と今さらながら思うのです。

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