最近、幼年童話と言われるジャンルの難しさを感じています。
幼年童話についての現段階での私の考えは、
‟挿絵の多い児童文学で、文字分量の多い児童文学の前段階に読まれることを期待されている。絵本とは本の形態が違う。”
です。
何に難しさを感じているかと言えば、
‟その子が、その本が読めるようになった時に、その本が楽しめるかどうか”。
例えば、5歳の男の子が主人公の幼稚園が舞台の、ある幼年童話。
5歳の子が読めばとっても楽しいのですが、本の厚み・文章量の多さからいって5歳の子には読めません
読めるようになるのは、小学2年生くらいかなと思いますが、
きっとその時には幼稚園の出来事の物語は、楽しくありません。
だって、小学生を生きているんですから
となると、その本は、5歳の時に幼稚園の先生か親御さんに読んでもらうのが、一番いいのです
しかも、形態が書籍の形をしているので、「本が読めた」という満足感は、子どもにもそして読んだ大人にも大きなものがあります
それを伝えていくのが大事だな
と思っています。
もちろん、読める時期と楽しめる時期があまり乖離していない幼年童話もあります。
そういう本は、小学校にあがって、字が苦労せずに読めるようになった子にお薦めしています。
最近出版されたは、そういう幼年童話だと思います。
『こんにちは、アンリくん』
(エディット・ヴァシュロン文 ヴァージニア・カール文・絵 松井るり子訳 徳間書店 2023.4.30)
フランスに住んでいるアンリくん。
おさかなやさんへ買い物にいったアンリくん。
ねこのミシェルと、大きな魚をめぐって、取り合いっこ。
ふたりは、わけっこすればいいんだと気づきます
アンリくんの家族とねこのミシェルの家族みんなが集まって、魚を囲むところは壮観です
だって、アンリくんの家族は23人、ねこのミシェルの家族は39匹ですから。
この他に、アンリくんの赤い傘がなくなる「かさ」、
今日が何曜日かわからなくなる「なんようび」、と全部で3話です。
繰り返しも多く、初めて本をひとりで読む子にも読みやすいと思います。
絵もとってもオシャレで楽しい幼年童話です
クー