昨日、幼年童話から本格児童文学へ移行する時期の子どもたちが
ちょうど楽しめそうな児童文学を紹介しました。
今日も、そんな子どもたちにピッタリな本です
『ブックキャット ネコのないしょの仕事!』
(ポリー・フェイバー作 クララ・ヴリアミー絵 長友恵子訳 徳間書店 2023.3.31)
第二次世界大戦下のロンドンが舞台です。
空襲の最中に駅のホームで生まれた子ネコのモーガン。
母と妹と3びきでくらしていましたが、爆撃でひとりぼっちになってしまいます。
モーガンは、バナナを盗んだ日、追っ手を逃れているうちに、
出版社フェイバー・アンド・フェイバー社に辿り着きます。
配給でなかなか手に入らない紙をネズミから守ってくれたこと、
黒ネコは飼い主に幸運をもたらすと思ってもらえたことで、
モーガンはこの会社で新しい生活を送るようになります。
『フェイバー・アンド・フェイバー社 住みこみネズミとりネコ、門番ネコ』として
モーガンの観察力は、素晴らしいです
さらに、モーガンは、近所ののらネコたちにも、食べ物を分けあいます。
そして、空襲の続くロンドンから子ネコたちを疎開させるため、
モーガンの〈ブックキャット〉としてのスキルを教えはじめるのです。
あ~、だからイギリス文学は素晴らしい作品が多いのか、
と私は妙に納得してしまいました
黒と赤を上手く使った挿絵が、心あたたまる物語をより親しみのあるものにしています。
そして、〈ブックキャット〉に愛着がわきます。
最後に、この本の最初「これからこの本を読むみなさんへ」を紹介します。
作者の祖父は本書のフェイバー&フェイバー社の創業者。
そこで働いていた人々のなかに、有名な詩人の T.S.エリオットがいました。
T.S.エリオットは大変なネコ好きで、子ども向けの詩
『キャッツ―ポッサムおじさんの実用猫百科』を書きました。
その本のなかに登場するネコたちは空想上のネコでしたが、
のちに追加された一編の詩だけは、実在のネコについての詩で、
それが、かつて英国のフェイバー&フェイバー社に居ついた黒ネコのモーガンだったのです。
そして、『キャッツ―ポッサムおじさんの実用猫百科』は、
ミュージカル「キャッツ」の原作者にインスピレーションを与えたと知りました。
劇団四季のキャッツをかつて昔観ました。
名古屋でまた講演があります。
ご興味のある方は、ご確認くださいね。
『キャッツ』名古屋公演 明日16日(日)「四季の会」会員先行予約開始!|最新ニュース|劇団四季 (shiki.jp)
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