開設したまましばらく放置していたブログですが、nhkで大森南朋を見かけて
激しくあの頃の気持ちを思い出したので書きます。
ヴァイブレータ」。2003年に公開された映画で、私は高校3年生でした。大森南朋のことはたぶん知らなかったと思います。映画を初めて見たのはDVD漬けだった大学生のころ。

そもそも私は寺島しのぶが苦手でした。美人なわけではなく、それでいて妖美な魅力があって、親の七光りをさんさんと浴びて芸能界にいる寺島しのぶ。そしてなにより、それをすべて受け入れて努力していながらあっけらかんと生きてる姿が、同じ女として、嫉妬に似た複雑な感情を抱かせたのですね。一回り以上年齢が違うのにね。ちっさい人間ですよ私も。

そしてそんな寺島しのぶが、惜しげもなく女として、人間として、汚い部分をこれでもかっていうほど見せつける映画。この映画の中で彼女が演じる玲は腐っています。むき出しの性欲、自傷行為、放尿シーン、嘔吐シーン。こういう体当たりの演技をすっぴんでできる人って、日本の女優ではあまりいないと思います。そうやってきれいな女優さんたちが隠してきた黒いところを、必死で演じたのが寺島しのぶです。

それを包むのが、大森南朋演じる岡部。彼は金髪のトラックの運ちゃんで、無邪気に自分の専門的な仕事を語ったり、単純でわかりやすい男性的な一面もあり、苦悩しながらも女性ひとりを包み込む力があり、それでいて相手には緊張感を持たせる、ひとことで言うととってもかわいい人なんですよ。ふたりはコンビニで出会い、「おしりにちょっと手がふれた」っていう物理的な接触から、人間の本質的な「触りたい」「触れられたい」欲望とそこに生じる溝を埋めていきます。この関係が成立するのは、岡部のキャラあってこそなのですよ。

岡部の持つ数々の魅力は、たいていの女子をハマらせることができると思う。そして大森南朋は、そんな彼の不思議な魅力の数々を、見事にひとつの人物の空気感にまとめあげてしまっています。

例えば今日誰かと初めて出会ったとして、私がその人に対して持つ印象は、その人が人生で積み上げてきたすべてのものの表面上の1枚でしかなかったりする。ヴァイブレータは、そんなふたつの「1枚」が出会ったときの甘くて痛い科学反応を、観ている人にじわじわと染み込ませる映画なのです。


今日観るの決まった?