シティーハンターは、話数が多い。wikiで確認できるもので以下の通り。


原作336話

(北条司氏の直々の制作によらないものは今回はあつかわない。

また、〈エンジェル・ハート〉も、この記事では扱わない)


TV

〈シティーハンター〉51話

〈シティーハンター2〉63話

〈シティーハンター3〉13話

〈シティーハンター'91〉13話


映画

〈シティーハンター 愛と宿命のマグナム〉

〈シティーハンター ベイシティウォーズ〉

〈シティーハンター 百万ドルの陰謀〉


TVスペシャル

〈ザ・シークレット・サービス〉

〈グッド・バイ・マイ・スイート・ハート〉

〈緊急生中継⁈凶悪犯冴羽獠の最後〉


映画

〈劇場版シティーハンター 新宿プライベートアイズ〉

〈劇場版シティーハンター エンジェル・ダスト〉


これだけあると、「お気に入り」とか、「印象に残った」、とかの作品は、人によって様々だろう。が、こと、アニメに関して言えば、誰もが、5本の指とまではいかないまでも、多分、10本の指くらいにはカウントするんじゃないかと思われるのが、


〈シティーハンター2〉第49〜50話の

「さらばハードボイルド・シティ」


である。

なんで、この回のサブタイトルが「さらばハードボイルド・シティ」なのか、ワタシにはよくわからんが、まあ、それはともかく。


アニメ版の〈シティーハンター〉シリーズは、原作のエピソードを踏まえたもの、アニメ版オリジナルのストーリー、が入り乱れている。

オリジナルストーリー版は、出来不出来が激しいように、ワタシは思っているし、必ずしも、この、「さらばハードボイルド・シティ」がストーリー的に優れているか、というと、賛否両論だと思う。


なんと言っても、テロリスト集団「ブラックアーミー」が、なぜ、槇村香を「セイラ」に仕立て上げたのか、ねこさんには疑問なのである。


「テロ行為を行うたびに、その国の特殊な戦闘訓練を受けた女性を使っているわ」(野上冴子のセリフ)


とあるが、槇村香は、「特殊な戦闘訓練」なんて受けてないからだ。


また、冴羽獠と海坊主が、「ルミちゃんを追っているのはブラックアーミー」と判断した根拠もよくわからない。


が、このストーリーが印象に残る話なのは間違いない。


シティーハンターは、ある意味、冴羽獠と槇村香の、「男と女」の物語でもあるのだが、ラブシーンは多くない。というよりも、希少である。


キスシーンなんて、原作の「涙のバースデーの巻(ジャンプ・コミックス版第23巻P.42)」、それを下敷きにしたアニメ版〈シティーハンター2〉第61〜63話「グッドラック マイ スイーパー 二人のシティストリート」で1回、


原作でのもう1回は、「息子よ‼︎の巻(ジャンプ・コミックス版第34巻P.45)」での、防弾ガラスごしの1回で、合計2回である。

(この回は、「今のところ」アニメでは扱われていない。なぜ、「今のところ」と断るかと言えば、〈劇場版シティハンター エンジェル・ダスト〉シリーズで扱われる可能性が、ゼロではないように、ねこさんには思われる、からである)


別に、そのかわりに、というわけではなかろうが、アニメでは、〈シティーハンター2〉第50話に、キスシーンが配されている。


催眠コントロールで「セイラ」にされた槇村香に、冴羽獠がキスする印象的なシーンである。


催眠装置であるイヤリングを冴羽獠の銃弾で破壊され、なお、彼の心臓に銃口を突きつける槇村香に、


「いいさ、撃てよ。お前がもとに戻らないのなら、生きていても、しょうがない。お前を泣かす男が、今はお前を…」


と呟いて、流れる涙を親指で拭ってやり、言葉にならない声を吐き出そうとする香の唇を、塞ぐように口づけするのである。(しかも、これはディープキスだ)。



この、第49〜50話は、アニメオリジナルストーリーで、さらに、なかなか存在感のあるエピソードで、2話ものでなく、3話ものにして、〈シティーハンター2〉の最終エピソードに持ってきてもよかったんじゃないかと思う。もしかしたら、「50話で終了になるかも」と想定しての、この位置どりだったかも知れないが。


(そう考えると、前述した、サブタイトルの謎も解ける)


ねこさんは、キスシーンだけでなく、原爆が爆発するか、時限装置が解除されるか、の、その瞬間を、皆が固唾を飲んで待つ情景、の描写も気に入っている。

「Get Wild」が流れる中、警官たち、防衛省長官と保安局長、海坊主に美樹、野上冴子、らが、動きの少ない絵で描かれ、ただ見守るしかない、という静けさと緊迫感が伝わってくる。



結局、冴羽獠は、左腕に香を抱きしめたまま、時限装置のコードを銃弾で断ち切り、タイマーを止めるのだが、その画面には謎がある。

なぜか、回想の槇村秀幸のイメージがオーバーラップしているのである。


この意味が、私は未だにわからない。

が、〈シティーハンター〉第5話「グッバイ槇村 雨の夜に涙のバースデー」で、悲しい死を迎えた槇村の笑顔の、しかも後ろ姿のイメージには、何か切なく訴えてくるものがある。


追記

槇村秀幸の最後のセリフは「香を…頼む…」だった。

「さらばハードボイルド・シティー」が最終話だと想定されていて、獠と香の濃厚なキスシーンが配されていることを考えると、このカット(槇村秀幸の笑顔)があるのは、充分納得がいく。と最近思うようになった。