名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所の法律相談ブログ

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名古屋駅の弁護士・片山総合法律事務所の法律相談ブログです。
重点分野は、過払い金請求、被害者側の交通事故、不倫慰謝料請求です。
所長弁護士:弁護士片山木歩(愛知県弁護士会所属)

過払い金無料調査・無料診断に注意!

 

過払い金無料調査・無料診断とは?

 

最近、テレビやネットの広告で、「まずは過払い金の無料調査」とか「現金がいくら戻ってくるか、まずは過払い金の無料診断」などというフレーズよく見かけませんか?

 

この「過払い金の無料調査」や「過払い金の無料診断」というのは、▼相手方貸金業者から取引の記録=「取引履歴」を取寄せて、▼利息制限法の制限金利に基づいて計算を行い、▼過払い金がいくら出ているか計算するものです。

 

本来であれば、このプロセスは、過払い金請求の正式な依頼を受けてから行うものです。

 

ところが、全国からお客さんを集める「大量処理型事務所」が、お客さんを集める「集客の手段」として、「過払い金の無料調査」や「過払い金無料診断」などと称して、大々的に行うようになりました。

 

→ 過払い金・まずは無料調査と勘違いしている方へ

 

調査結果・診断結果は信頼できる?

それでは、この無料調査や無料診断、本当に信頼できるのでしょうか?
「過払い金請求」というのは、法律的な手続きで、請求する上では、主張が対立する様々な「争点」があります。
裁判官によって判断が分かれるような「争点」もたくさんありますので、「過払い金がどれくらい戻ってくるか」を計算結果だけで正確に判断することはできません。実際に裁判や交渉を行ってみないとわからない点も多々あるのです。
 
 
ところが、こうした無料調査や無料診断を手掛けるような大量処理型事務所は、過払い金の争点についての検討・勉強が不十分なところが多いようです。
このため、相手方貸金業者の主張をそのまま受け入れた計算結果を伝えたり、逆に争点があって回収が困難なのに全額回収できるような計算結果を伝えたりしているような件があるようです(実際に相談者から話を何度も聴いています)。
 
 
 

無料調査事務所は全額回収してくれる?

無料調査・無料診断を行うような事務所は、全国からお客さんを集めて、大量に案件を処理する「大量処理型事務所」がほとんどです。
こうした過払い金の大量処理型事務所では、何よりも「効率」が優先されます。
このため、過払い金の全額回収・徹底回収には消極的で、話合いだけで解決しようとするところが多いようです。
やたらと回収までのスピードだけを強調して、裁判を起こさずに話合いだけで解決するようなところに依頼してしまうと、過払い金の全額回収・満額回収は難しくなってしまいます。
 
「無料調査・無料診断をやっているからと言って、過払い金の請求手続きに強いわけではない」ということに注意が必要です。
 
 
 

司法書士法人の金額制限に注意!

無料調査や無料診断に力を入れている事務所の多くは、司法書士法人です。
みなさんからすれば弁護士も司法書士も同じような存在かもしれませんが、実は司法書士には過払い金の「金額制限」があります。
 
過払い金の金額が140万円を超えると、司法書士は、過払い金を請求する話合いもできませんし、裁判を起こすこともできません
 
このため、無料調査の結果、過払い金の金額が140万円を超えると、調査を依頼した司法書士法人にそのまま請求の手続きを依頼することはできなくなってしまいます。
 
 
こうした場合、無料調査・無料診断を行っている事務所は、「弁護士を紹介できますよ」などと言って、自分たちと提携している弁護士「提携弁護士」なるものを紹介しようとしてきます。
 
でも、ちょっと待ってください。
この「提携弁護士」って本当に信用できますか?
そもそもあなたが選んだわけでもない弁護士に、大切な過払い金請求の手続きを信頼してお任せできますでしょうか?
 
もし調査を依頼した司法書士法人から、過払い金が140万円を超えていることを伝えられたら、いったん手続きはそこで止めにしてください。
その上で、自分自身で、きちんと地元で過払い金に強い弁護士を探す方が圧倒的に安心できます。
 
 
 

無料調査事務所の「つまみ食い」に注意!

無料調査を行っている事務所の中には、調査結果を利用して、案件の選別に使っている所もあります。
過払い金の争点が無い件や回収が容易な会社の案件だけ実際の請求手続きを受任して争点がある件や回収に手間のかかる会社の案件は断ってくるのです。
 
依頼する側からしたら、まとめて依頼したいのに、争点が無い会社の件だけを受任して、争点があるとわかると、どんなにお願いしても、「地元の弁護士に相談してみて下さい」などと言って、依頼を断ってくるのです。これが、無料調査事務所による「過払い金のつまみ食い」です。
 
上記のとおり、過払い金の金額が140万円を超えている場合、司法書士法人はその後の請求手続きを行うことができません。
争点が無い件や回収の容易な会社の案件の場合、司法書士法人は「提携弁護士」を紹介してくれます。
ところが、争点がある件や回収に手間のかかる会社の案件は、「提携弁護士」すら紹介してくれません。
「地元の弁護士に相談してみてください」の一点張りで、「提携弁護士」の紹介も断るのです(これを「過払い金の食べ残し」といいます)。
 
 
なぜ無料で調査をしてくれるのか、なぜ無料で診断をしてくれるのかを考えればわかりますよね。
弁護士事務所や司法書士事務所は、ボランティアで調査や計算を行うわけではありません。
当然そこから見返りが期待できるから、リターンが期待できるから、無料で調査や診断を行うわけです。
 
みなさんからすれば、「無料で調査をしてもらえて助かる」と思うかもしれません。
でもその裏側では、事務所側が、どの会社でいくらの過払い金が出ているかという個人情報を得て、どの案件を受任して、どの案件を断るかという、案件の選別に使っているという側面もあるのです。
 
このように無料調査や無料診断は、個人情報を取られて、場合によっては依頼を断る口実にされる危険のある手続きです。
「無料だから」と無邪気に依頼するのではなく、依頼の前にこうした側面もお考えいただければと思います。
 
 

 

最初から過払い金に強い弁護士に相談!

以上ご紹介してきたとおり、過払い金の無料調査・無料診断は、調査結果・診断結果の信用性に疑問があり、司法書士法人には金額制限があり、個人情報を取られて都合の良いように「つまみ食い」をされてしまうリスクのある手続きです。
 
テレビCMで見たからとか、ネットの広告で評判が良さそうだからとかいう安易な理由で依頼してしまうと、事務所側の良いように「処理」されてしまうかもしれません。
 
そもそも、債務整理の分野では、電話やウェブ面談ではなく、直接の面談相談を行うよう弁護士の団体、日弁連はルールを作っています。
このため、「過払い金請求」についても、きちんと直接面談できる専門家に最初から相談・依頼すべきです。
 
過払い金は、どこに頼んでも同じではありません。
依頼する弁護士・司法書士によって回収できる金額が大きく異なる分野です。
 
 
 
現在も過払い金請求に真剣に取り組む事務所に最初から相談・依頼する事がとても大事になりますので、事務所選びにはくれぐれもご注意ください。