今回の公演は星組のこちらです
この公演は、戦友と書いて相方、または同じ穴の狢と読むタゲさんと共に連戦した公演であり
トップ娘役の舞空瞳さんの退団公演でもあります
この舞空瞳さんは身体能力で礼真琴さんに追従できる圧倒的筋力……というかマッスルパワーをお持ちの方で
私はてっきり添い遂げなさると思っていたので
このタイミングでの退団に驚きました。
さて、今回の公演
私の中でもトップクラスに好きな演目でございます
とくにレビューのティアラアスールは、星組の星組による星組のための……というか、星組の星組による星組から舞空瞳さんへと贈るためのレビューと言っても過言ではないほどの超パーフェクト当て書きのレビューでございました
タイトルからしてスペイン語で青(星組の色)を現す「Azul」と、女性用の王冠である、煌びやかな髪飾りである「Tiara」の名を併せ持つのですから!
・記憶にございません! ―トップ・シークレット―
三谷幸喜さん原作の映画作品、まさかの宝塚化
史上最低の支持率を叩き出した最悪の駄目総理「黒田啓介」
彼は演説の最中、投げ付けられた石が頭部に当たり記憶を失ってしまう
政治家になってからの記憶が抜け落ちた彼は、記憶がないことを野党や国民に隠しながら、政治のかじ取りを行っていく
という政界コメディと銘打った、コミカルな作品です
原作は政治色強め、ブラックユーモア強め、やや暗め黒めといった感じですが、
宝塚版はとにかくコミカル、コメディ、テンポを重視し、明るくアップテンポな展開が続きます
どちらも見た私としては、宝塚版の方が好みです
設定変更のせいで聡子さんとの関係とかその他もろもろにいろいろと矛盾点が出ているのですが
そこはご愛敬
正直、気になりません
後から「……ん?」ってなる程度のことで
よくあの映画をここまで再現したなと……
あと秀逸なのは音楽ですね
耳に残るフレーズがいくつかあるのですが
それを効果的に使うことで、次のシーンが何なのかがわかります
なんていいますかね
こう、「ちょっとだけよ」「あんたも好きねぇ」みたいな音楽がかかると
ほら
次のシーンはそういう、こう、お色気系のシーンだってわかるじゃないですが
献金マンボのフレーズがかかると
あ、次は政治の裏というか汚い部分のシーンなんだなって
こう、わかるじゃないですか
場面が切り替わるときのこの音楽の使い方がとにかく上手なので、すっと状況が頭に入ってくるわけです
なので場面転換、シーン転換がわかりやすくてショーに集中しやすく、とても見やすいんですよ
見てて疲れないというか、理解することにキャパシティーを取られないので、笑うポイントでしっかり笑うことができるんです
いやあ、音楽の力って偉大ですねぇ……
なお、副題の「トップシークレット」の意味合いも、原作と宝塚で違います
同じ言葉でもここまで意味を変えられるのか、と思ったり
以下、個人感想
・礼真琴さん(黒田啓介首相)
礼真琴劇場絶賛オンステージ!!!!!!!
引き込みの話術、コミカルのテンポ、まさに礼真琴の独壇場!!!
演技派が演技で本気だしたらこうなるぞ、という典型。嫌味な奴から純真な人格へ、そして妻と子への愛を語る様になるなど心境の変化を演技で魅せます。献金マンボにおけるキレッキレの踊りにも注目。
・暁千聖さん(首相秘書の井坂)
笑顔が素敵なありちゃんも、今回は笑わない井坂の役。スンってしてる珍しい暁さんを見れます。後で述べますが、絶対に笑うヤバいシーンがあるんです。でも真顔でした。あれ耐えるの大変だったろうなぁ……
・輝月ゆうまさん(専科・鶴丸官房長官)
なんでもできる御仁が敵役で登場。冒頭の階段下りのシーンからして大人のカッコよさ爆発。肩の入れ方、肘の動かし方、手先の止め方で動きのキレを更に上げる技術を持っているため、ダンスシーンでの動きのキレが明らかに違うのです。さすがの貫禄。あとなんか巨漢に見える。なんででしょう、すごい恰幅が良い人に見える。専科って、凄いなぁ……
・未稀千種さん(組長・恩師の柳先生)
原作ではそこまで出番がない柳先生も、千種さんにかかればキーパーソンへ。黒田にとって大切なキーワードを残します。老人役が出来るひとは稀有で貴重ですし、とにかく組長は経験が豊富で演技派ですから、安定感が違います。
・小桜ほのかさん(不倫相手の野党党首の山西)
「今日はそういうプレイで行くのね」「ぶちたいの、ぶたれたいの、どっち!」など宝塚でこれやっていいんですかねっていうセリフを叩き込んでくる。本気で黒田のことを愛してしまっていたと気づいた時の切なそうな顔と絞り出した声が印象的です。演技が上手い……
・極美慎さん(ジャーナリスト・古郡)
裏に詳しいが守銭奴の敵に回すと厄介だが味方にすると頼もしい有能なクソ野郎。原作よりも大物になっているのは、おそらく極美さんの人柄や演技に寄せてだと思います。RRRのジェイクで何か掴んだか、とにかく「信念のある男」の演技が抜群に上手くなりました。
・天飛華音さん(首相秘書補佐)
真面目な役が多かった天飛さん、今回はコミカルな役。ここでコミカルの演技を会得したことで、演技の幅がグンッと広がることになったんだなぁ、としみじみ
・碧海さりおさん(議員で黒田の義兄の鰐淵)
自分を押しのけて後継になり、首相になった黒田啓介を恨んでいたはずなのに、記憶がないとわかると「お辛かったでしょう……!!」と案じてしまうほどのお人よしを好演。いいぞぉ……さりおさん……じりじりと良いお役をもらえるようになってきてるぞぉ……!!
・稀惺かずとさん(首相嫡男篤彦)
何が起きた……?と思うほど、爆発的な伸びを見せたのがこの方。RRRで抱いたまだまだだなぁという感想がどこへ行ったのか。演技がとてつもない伸びを見せており、物足りなさなど何処へやら。
そしてこの辺りで私は、トップか二番手との個別または少人数シーンがある人は爆発的に伸びるのではないか、と思い始めました。前回RRRでは暁さんとひろ香さんとの三人シーンがありましたものね。個別に演技指導を受けられると伸びるというのは、ありそうだなぁと
・ひろ香祐さん(幼馴染の建築会社社長の小野田)
「いーさーかーちゃ~~~~~~ん!!!!」
暁さん、よく耐えた。
バーコード禿の成金社長という珍役を……こう……全力で好演
くるとわかってる二回目以降ですら耐えられない破壊力
「トモ……ダチ……?」
「馬鹿野郎!!俺の頭髪は永久に不滅だぜ……!」など明言を連発
監督、なにやらしてんの、ジェンヌさんになにやらせてんの、ねえ
この作品が名作から傑作へと昇華したのはひろ香さんのこの演技あってこそ、というのは過言でしょうか
・総括
よくこれを宝塚でやったな!?という思いと
よくぞこれを宝塚でやってくれた!!という思いが襲ってくるショーでした
見た後に清涼感があり、スカッとする、面白かったなぁと思える、とてもとても良い演目でした。
また見たいなぁ
・Tiara Azul -Destino-
Destinoとは、「運命」あるいは「目的地」を現すスペイン語です
そのタイトルの通り、礼真琴さんと舞空瞳さんの出会いは運命であり
星組の辿り着く目的の場所は、夜空に描いた運命の夢にある
そんな思いを込めた、門出の祝いと思いの継承を象るレビュー
カンカンカンカン カン カン カン
カンカンカンカン カカカカカン カカ
カンカンカンカン カン カン カン
カンカンカンカン カカカン↓ カカカン↑
デッデッデーデー デデデデー
\大変長らくお待たせいたしました/
デッデッデーデー デデデデー
……脳内再生された方、私と握手!!
こちらのレビューはもうなんていうか
この一時間、丸々すべてそろって一つの美術品といいますか
とにかくアップテンポ、激しいダンス、カーニバル!!かとおもえばバラード、エレクトロ、バラード、そこからタンゴ!!!
全てを絞り出すかのような、情熱叩きつけバーニング燃え尽きるぜウォォォオオオオ!!!!!
星組パッション!!!!!!!!全開!!!!!!!!!
というレビューです
我々観客も一体となって手拍子!手拍子!!手拍子!!!
手が疲れても痛くなっても、この一体感の為ならこの腕千切れてもぉぉ!!!
……手拍子で筋肉痛になったのは、初めての経験でした
静と動の切り替わり、歌詞の深み、そのすべての完成度が高い名作レビュー
私はここから、レビューは当て書きが大切であるという認識を持ちます。
当て書きが完璧であれば、多少「ん……?」という展開も捻じ伏せられますし
逆にそうでない場合は、取っ散らかった印象をうけるのではないか、という持論に至るわけですが
これ、あながち間違ってもいない気がしますね
なお、このレビューを作られた竹田先生は、のちに礼真琴武道館コンサート「アンセム」でも担当してらっしゃいます
無言・真顔でアンセムタオルを激ブン回ししてアピールするほどの心意気溢れる方です
黒蜥蜴のダイヤモンドインパルスもこの方の担当ですよ(小声)
そしてこの時点……だったかちょっと覚えてないんですが
このTiara Azul、なんと全国ツアー公演で再演が決まっておりました
一年後に、あの男が帰ってきたというストーリーで、
タイトルを「Tiara Azul -Destino- Ⅱ」と。
全国ツアー⁉取れないじゃん⁉見れないじゃん⁉と
結論から言います
見れました
タゲさんに足向けて寝れません
次の公演は花組、「エンジェリック・ライ」「Jubilee」
トップ就任をした永久輝せあさんお披露目公演です
なおこのJubileeも、お気に入りのレビュー
ここからはお気に入りのレビューが続き、ほくほくなのですが
それはまた、次の機会に