島根県出雲市に、
琴平町議会 町活性化推進特別委員会の視察研修に行きました。

琴平町は、こんぴらさんの門前町として、観光地として昔から栄え発展してまいりました。
しかし、門前町としての市街地が、景観としても、交通体系としても、多くの課題問題を抱えております。

行政施策として、これまで、道路を石畳美装化や電線地中化(現在進行中)しておりますが、
これらはほとんど香川県の事業です。

どのように街並みを整備していくか?

この方針、ビジョンを10年以上前に、市街化活性化計画を作成しましたが、
途中で断念白紙になっているのが現状です。

昨年の福島県喜多方市や磐梯町でも街並み整備の研修視察をしましたが、
神社門前町として共通する出雲大社参拝で賑わう、出雲市の取り組みを学びに行きました。

出雲市は平成17年に2市4町が合併し、人口は17万5千人です。

出雲大社の参拝で門前町としてにぎわってきましたが、
1970年代以降、観光旅行が車・バスが主流となり、大型無料駐車場が神社そばに出来て以来、
通過型観光地となってしまい、参拝客は来ても、門前町に歩く人は減り、店舗が減りました。
こうした現状を打開するために、
大社周辺の街並み整備をこれまで進めてきました。

出雲市では、

交流人口1000万人の実現
を掲げた「21世紀 出雲のグランドデザイン」を平成17年に策定。

街並み環境整備事業計画や都市再生整備計画などをもとに各種事業を推進してきました。

旧大社駅から出雲大社までにある「神門通り」の店舗数は、
H18に22店舗が75店舗まで増加し、
大社周辺にも多くの参拝客が観光客として歩くようになり、
滞在時間は増え、地域でお金を使ってもらうようになったのです。

市と県の事業合わせて、約60億円の道路や街並み、店舗住居、公園などの事業が進められました。
うち、約40億円が国や県からのお金です。残り約20億円は、合併特例債(市の有利な借金)が充てられています。

*官民共同で進める街づくり



このようにまとめると、出雲市が進めたようになりますが、
説明では、地元地域の商売人の方が「なんとかせねば!」と先行していたようです。

ですから、環境整備協議会や運営委員会などは、地元住民との協議、協定をしっかり話し合って進めてきたことが、大きな要因といえます。

また、平成25年
「出雲大社の平成の大遷宮」
という、ビックイベントのタイミングも大きな効果を上げています。

 

それまで2百数十万人の参拝客が、H25年は8百万人と3倍4倍になり、ブームが落ち着いた今年も5百万人は見込まれているそうです。
もちろん、これは、パワースポット、縁結びなど出雲大社参拝目的の参拝客がほとんどですが、
ただ、お参りだけから、神門通りを歩く、買う、お客さんが増加したことは成果といえます。
しかし、出雲市での宿泊者数は、50万人/年程度で、参拝客が何倍に増えても、さほど増えていません。
それは、出雲市にそこまでしか宿泊能力がないのが現状とのことです。
つまり、近隣温泉地の玉造温泉、皆生温泉、三朝温泉、岡山の湯原温泉にまで、波及効果が出ているのです。

いぜんより、町の活性化、観光客増加などは「何のためにするのか?」ということが、主題となっていました。
今回の出雲市視察で、あらためて、ただ、観光客が増えればよい、というものではないんだ、と実感しました。
地域活性化とは、自治体として、地域に
いかにお金を落としてもらうか(あえてわかりやすい表現にしていますのでご理解を)
を考えた施策、事業をしないと、結果として無駄な事業、公金使用となるのではないか。

やはり、大きい視野と、きめ細かい事業のバランスが肝心と思いました。

出雲市として、爆発的に増えた観光客は、地域に何をもたらしたのか?
賑わいは増え、店舗は増えたが、新たな渋滞対策、本当に駐車場は無料で良いのか?、
大きなお金を投じた事業は回収できるか、次の手だけは何か?など、課題はあるようです。

観光地自治体は、こうした課題に思い切って推進するか、あえて投資しないのか。
各地で選択しているのではないでしょうか。

琴平町は、これからです。
危機的状況の打開を何のために、するのかを、しっかり決めて進めねばなりません。

出雲市町づくり課様、議会事務局様、ありがとうございました。