日本刀の名品を鑑賞しましよう
いい刀をじっくり鑑賞するのは楽しいもの
心が癒され勇気が湧いてくる
今回は備前国住清光の刀です
刀 備前国住長船五郎左衛門尉清光
天文二十四年八月吉日
種 別 鎬造り刀
刃 長 二尺二寸六分八厘
反 り 腰反り、五分五厘弱
元 幅 一寸一分三厘
先 幅 八分二厘
元 重 二分一厘
先 重 二分二厘
造 込 み 鎬筋やや高い、手取りに重量感あり平肉も
豊かにつく
地 鉄 地鉄の鍛錬は板目肌、麗質、地のうちに
地映り僅か立つ
刃 文 匂に小沸がつく大舌れ、丁子乱れ、乱れ足が
豪快に入りヨオ等も入る
刃中まことに華やか
刀身の半より上部殊の外に
華やかとなる
鋩 子 鋩子乱れ込み、返りは深く
はばき元近くまで焼下げる
そ の 他 本刀は個銘に興味を覚える
通常は直刃の作が多い著名工
押し型をじっくり観て
縦横無尽に働く刃文をご覧ください
更に刃長、重ね、反り、地鉄などから
刀姿を想像し下さい
地金が素晴らしい刀です
いいお刀でしよう
まさに名品ですね
解 説
当国は刀剣王国と云われ、作刀数で他国物よりも圧倒的に
多いことは既に常識です
また現存する備前物の多いこともこの室町期約二百年問にわた
る間の作刀であることも常識となっています
今回の(天文二十四年八月吉日)を見て感じたことであるが
「五郎左衛門尉」と刻銘した作刀が天文七年前後にはじまり
天文二十四年頃に至る物が圧僅的に多く現存する
この後の「五郎左衛門尉清光」弘治年紀の単独銘はすくなく
僅かに祐定との合作銘一口のみである
前期の「備前国住長船藤原清光」「天文二十三年八月吉日」
と銘する刀も「五郎左清光」と全く造形地鉄鍛法
同材質同技術が発揮されている
この時代に於ける代表的技術者と目される人が
祐定(与三左衛門尉)と清光(五郎左衛門尉)の名が挙がるが
祐定の刃文の焼入れは乱れが主張、清光は直刃が主張
両者はいずれも稀にではあるが、乱れ刃を得手とした祐定が
尋常な直刃を焼入れし、直刃を得手とした清光が乱れ刃を焼く
本作もこの例に漏れない
(刀剣鑑定 問答100選 日本春霞刀剣会参照)
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