あるいは裏切りとゆう名の犬 | Katame'sLife

あるいは裏切りとゆう名の犬

すっきりとした目覚めは俺にとって珍しい
これはチャンスだなと自分自身にうなずき
起き抜けからファミレスに行ってモーニングセットを食ってみる
慢性的な持病の逆流性食道炎も
本日ばかりは症状が柔らかめだったので
気分は上々、体調正常でテンション上昇してしまい
「なんか俺、今日はやれそうな気がする」と意気込んで
特に用事もなかったが気まぐれに会社へ行ってみた
さぁ仕事するぞ、と景気良くドアを開けると
そこには絵に書いても足りないくらいのヒマ人が溢れていた
オフィスは至って活気がない、それもそのはず仕事がなかったのである
浮き沈みの激しい会社と浮き沈みの激しい人間の波長は
どうも反比例するらしい
やる気のおきない普段は、みんなの忙しそうな姿に気がひけて
やる気を起こしたレアケースではヒマなみんながひいてしまう
こんな間の悪い男が、もしも一般企業に属していたら
間違いなくリストラの対象だろう、そういった意味では
これまでの人生選択は正解だったのかもしれない
そんなわけで、突如現れたやる気満々くんに対しての社員の目は
いたく冷ややかなものであったが多少は持っている威厳を発揮して
先生不在で一体化する自習中の教室に入るように
全力でヒマつぶしにふける大人達の固い輪の中に強引に加わった
あんまり機会もないので全員に声をかけてみる
していいのか悪いのかわからない世間話を一通り済ませ
広くはなくて狭すぎないフロアを一周すると
あっという間にやる事がなくなった
ひとたび会話が途絶えると皆一斉にPCに向かう
もちろん仕事ではなく趣味に興じる為だ
別室にデスクのある俺は完全なる手持ちぶさたとなった
いつも思うのだがパソコンや携帯といった文明の利器は
間を埋めるツールとしてもものすごく便利だ
例えば友達とはしゃぎながら電車に乗っていて
それはもう他の乗客にもわかるくらいの大盛況だったとして
友達が降りる駅に先についてしまった場合
友達を見送った後ひとりになり冷静を取り戻して急速に冷める表情を
周りの人間に悟られるのはものすごく恥ずかしい
その状況で携帯がなかったら爪をいじるかキョロキョロ外を眺めるか
腕組みで口笛かのどれもそんなに隠しきれていない三択になるが
携帯さえ携帯しておけば困難な状況は簡単に打破できる
例えメールや電話がなかったとしても傍目には決してバレないし
何となく真剣な顔をして指さえ動かしていれば
どんな手段よりもスマートにその場を凌げてしまうのだ
そして今日そんな前者の状況に陥っている俺の姿がそこにはあった
ヒマ人達を見渡し1人ずつの給料を時給に換算してため息を吐いてみたり
全員の将来を思い描いて自分の未来予想図と比較して
もっと深い息と唸り声を吐いてみたりしながら過ごしていたのだが
あまりに場が持たないのでコーヒーを買いに外に出た
ひとりで飲むわけにはいかないのが小さな会社の大きなルールだ
スタバじゃ全員分持ち帰るのは大変だからファミマで缶コーヒーだな
と素早くせこい計算をして、それでも体裁はよくしておきたくて
ペラペラの財布を渋々開いてコンビニの中では高級なコーヒーを6本も買い
初見とは打ってかわってすっかり重たくなった足取りで再び沈黙の場に戻る
するとその場は沈黙よりも堕落してものすごくフランクな社交場と化していた
あいつが戻ってきても、こんな感じのテンションで乗り切ろうぜ
いつも長い時間働いてやってんだからたまにはいいじゃん
文句言われる筋合いなんてねーよ的に
お調子者の森君あたりがけしかけたに違いない
それはそれで構わなかった、探してまで仕事しろなんて俺は言わないし
何より俺がいる時にだけ気をつかって仕事してるフリをさせておくのは
心苦しかった、そんな優しい配慮に気づいているのかはわからなかったが
みんながいろんな話しをしてくれた、俺だって話かけられるのは嬉しい
俺もたくさん話をしたし割と本音の会話ができた
いつもこんな雰囲気だったら会社に来るのも楽しい気がする
急に真面目な話になるが、俺の会社は個人作業が多いので
社員同士のコミュニケーションが他の企業では考えられないくらい少ない
下手すりゃ一日誰とも喋らずに仕事を終える奴もいる
本来組織とゆうものはそんなんじゃいけないのだろうが
助け合いの精神よりも完全ノルマ制のほうが得てして効率がいい
少し冷たい言い方だが他人のミスに労力を使うなら
明日の自分の仕事の為に帰って寝る方が結果として会社の業績が上がる
もちろん実際はそんなに簡単に成り立ってやしないのだが
広い目でみればそうなる、そんな所でみんなが輪になって
くだらないお喋りを交わすことは、すごく新鮮なのだ
面接は俺がしているので基本的に嫌いな奴はいない
ただ俺はこの会社だけが仕事ではないので
どうしても毎日は顔を出せないし色々な部分で
大なり小なり壁ができてしまうのである
そんな隔たりを今日は払拭してきたつもりだ
場の空気さえ暖まればそこは爆笑お兄さんの腕の見せ所で
いつもの3倍おどけて見せた、みんな笑ってくれた
例えそれがバラエティ番組のディレクター的な気遣い笑いであったとしても
俺にはすごく心地良かったし、仲間としての距離間は確実に縮んだ
仕事が好きな人間だとは絶対に思われたくない
「あるいは裏切りとゆう名の犬」になり、自分が滅入った時には
みんなを笑わせることで自分を癒せるようにしたいと思う
もはや祭りの会場と化したオフィスで
かしましい女子社員達がキャーキャーと騒ぎながら
こんなサイトを覗いていた
http://deai.hanihoh.com/
俺も誘われたのでやってみる
ただし誘われたとゆうよりは、なんとかスキャンダルを炙りだしてやろう
といったたぐいの悪意を感じたので
その場では世に出せるくらいのレベルに偽装して
人には言えないくらいの激しい恋愛遍歴を隠した
囲み取材に応じるアイドルばりの饒舌で過去を詐称し
その場は乗り切ったのだが、ものすごく気になったので
なんとなくの理由をつけて足早に帰宅し、すぐさま事実の診断をした
ところどころスポット的に付き合った子は省いての結果がこれ

俺は「 失敗から学ぶ恋愛の達人 」だそうだ

なかなか悪い気はしないキャッチフレーズである

以下サイトより抜粋

石井雄也さんは、ルックスで選ぶという「欲」は外せないものの

きっちりとその性格まで見て

わりと長く付き合える人たちとの恋愛を重ねてきました。

途中に悩める時期もあったものの

今は賢い恋愛ができる人と言えるでしょう。

歴代の彼女たちの満足度も高そうです。

恋人たち5人の総評

それぞれの恋人たちを比較してみると

○○さんが石井雄也さんの希望にも近く相性も良い相手 だと言えます

○○さんに対し長い間愛着を持っていられたのも

石井雄也さんが居心地のよさを感じていたことを表している

と言えるでしょう。別れてし まったのは非常に残念です。

これまでの彼女たちを分析すると

石井雄也さんの好みと合っているかといえばなんとも微妙です。

それなりに高い水準で、悪くない相手を選んできたとは思われますが

もっと自分の好みにフィットする人を探す余地はあったかもしれません

相性が悪かった というほどではありませんが…

だそうです

ちなみにその○○さんは6歳年上のエステティシャンだった

付き合っていた期間は二番目に長かったと思う

当時の俺は仕事も安定してなかったので金もなかったし

そのくせ付き合いだけは多くてかなりテキトーな恋愛だった気がする

当時にして彼女は今の俺と同じくらいの年齢だったが

結婚適齢期に差し掛かった最中、将来どうなるかもわからない

危険すぎるヤンチャ坊主と付き合うとゆうのは
かなりのギャンブルだっただろう、ものすごく勇気のある人だと思う

確かにサイトで言うように居心地はとても良かった

何をやらかしても怒られなかったし

俺から見て嫌なところなんて何もなかった

もし出会う時期がずれていたら結婚してたかもしれない

ただし人間としては最高だと思っても理想の異性となると話は別だ

当時の俺はどこかで彼女と誰かを比べてしまっていたのかもしれない

まだまだガキだったし身を固めるなんて発想は皆無だった

その辺りでギャップが生じて別れに至ったんだと思う

別に言う必要もないのだろうが会社の子にも聞かれたので発表しておくと

一番長く付き合ったのは4年で15~ハタチ前くらいの時期だった

高校3年間+1と言ったところで今よりはかなりピュアだったと思うので

そのせいかもしれないが冷静に考えても、これより深い恋愛を

その後の俺はしていない、不幸なことに同級生なので

聞きたくもない噂を沢山耳にするし

結婚式やら何やらで再会してしまうこともある

彼女に子供がいると知った時には、さすがに大きなショックを受けた

決してよりを戻したいだとかそんな感情はないのだが

タイムマシーンがあったら俺は間違いなくその時期に向かうだろう

微妙すぎる感覚で言葉にするのは難しいのだが

なんてゆうか、その当時の多感さが好きなのだ

とゆうことは彼女に恋をしていた自分が好きなのかもしれない

学生が恋人に与えられるものなんて気持ち意外にはなくて

あの頃の俺は彼女に対し色々な感情を抱き、その全てをぶつけていた

沢山の疑問もあったし、どれも答えがわからなかった

今がそうだとは言わないが少なくてもデッドラインくらいは見抜けるし

思いを伝えるすべを多少は知っている

俺の彼女へのこだわりは、言ってしまえば不甲斐なかった自分の失敗を

取り戻したいとゆうことだけなのかも知れない

てな具合で過去の恋愛を思い返してみても良いことなんかありはしない

思い出として鮮やかな部分だけスクラップしておけばいいのだ

初秋の夕暮れにはそんなセンチメンタルな気分になる

だからそれは自分自身に灯す新しい恋を見つけるサインに違いないんだ