久しぶりですみません。

久しぶりに何か書いてみたいと思うような映画を観たので。

きょうは「未来」の校正で発行所へ。
終わって、珍しくほかに抱えている仕事がないので映画を観ようと思っていました。
ほんとは『小さいおうち』を観ようと思って新宿ピカデリーまで行ったのですが、1時間以上前だというのにチケット完売。黒木華ちゃんの銀熊賞だかの受賞直後だから、なんとなく嫌な予感はしていたけれど、ここまでとは!
ほかの映画館行くのも面倒だなあと、昨夜チェックしていた『17歳』というのが時間的にもちょうどよかったのでそれを観ることに。これもわりと混んでいました。

詳しく調べていたわけではないので、フランス映画ということくらいしか予備知識はなく、主役の女の子(マリーヌ・バクト、という子らしい)がとにかくかわいい。ものすごく子供っぽく見える瞬間と、妙に大人びて見える瞬間と、ああ、17歳ってこういう年齢だなあと思わせる。

映画は17歳になる直前の夏から次の年の春まで、ほぼ一年間のイザベルという女の子のお話。見た目は普通(というかクール)な高校生なんだけど、彼女は売春をしていて、ジョルジュという常連客の老人とセックスしている最中に彼が腹上死。そんなことから親にもばれるし、何よりそのショックから売春はやめるんだけど、同級生の男の子とのふつうのセックスを契機に、また売春はじめちゃうんじゃないの? というところで映画は終わる。

イザベルはバカンス先で知り合ったドイツ人の青年と初体験を経験する。セックスは期待したほどのものではなかった。その青年にも特に執着するわけでもなく、ただ、またセックスをしたいという動機だけで売春にはしる。行為のときは何も感じない、でも、またしたくなる。

一回のお金は300ユーロくらい。日本円で約42000円(調べた)。彼女はそれをそのままクローゼットにしまっていた。お金が欲しくて、ということではない。お小遣いに困らない程度の裕福な家庭(両親は離婚していて、母親の再婚相手と同居しているが、それほど複雑な家庭というのでもない)。でも、売春がばれてお金を没収されたときに、やけにそのお金にこだわった。「わたしが稼いだお金」と。このあたりの不可解な感じが、17歳という年齢をよく表していると思った。

あと、腹上死しちゃった老人ジョルジュの奥さんと会うシーンがよかった。銀髪のかっこいい老女。ホテルのバーで、ウイスキーを頼む。「ウイスキー、ドゥ」(だったかな)って。このひと何者? って思っていたら、シャーロット・ランプリングだった。そりゃかっこいいはずだ。

観終わったあとで、時間がたてばたつほどじわじわくる感じの映画ですね。
公式サイト見たら、穂村弘さんがコメント寄せていた。穂村さんが好きそうな映画だな、とも思う(なんの根拠もないですが)。

しかしフランスの家庭って、娘の部屋で娘が恋人とはあはあやっていても「先にご飯食べてよう」って言うくらいクールなのね。びっくりだよ。
そしてやっぱりフランス語は美しいなあ。

ちなみに、うちにはなぜか『地獄に堕ちた勇者ども』のDVDがあるので、若きシャーロット・ランプリングを見ることもできます。見直しちゃおうかな。