私は、仕事においては、以前は駆け引き当たり前で、法令に違反することはないにしても、ぎりぎりなところはしてきたと思います。
今はその反動か、或いは、それが日本特有の商習慣である場合が多く、また、中小企業の場合は、負担を強いられたり、責任が一方的にいくからか忍びなくなったのか、或いは九州という土地がそうしたのか、或いは、コンプライアンスというのが重視されてきたからか…、今となっては解りませんが、不義理はもちろん、妙な駆け引きはしなくなりました。

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大凡、人に言えないような寝技もやれば、論理武装し正論ぶった立ち技もこなしていくのが、営業の世界でしょうし、グレーと解っていて、嘘は言わないまでも、真実を隠蔽して、都合の良い情報を相手に渡して、受注をとることもあれば、本当に良いものであれば、それはそれでアピールしていくこともある。

一昔前の大企業の営業や企画部門は当たり前のようにやっていたと思う。
が、最近はガバナンスやコンプライアンスという事で、かなり減ってはきた。

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ベンチャー会社の中には、特許を錦の御旗のようにして掲げている会社もありますが、ある程度の大きな会社にいた人間にとってすれば、零細企業やベンチャーなど知財専門家を内在しない或いは専門家に委託していないような会社や法令や契約に無知な会社は、例え素晴らしい特許であっても、大手コンペチターは決して怖くも無ければ、すごいとも思っていない場合が多い。
エンジニアなど技術者にとってすれば、それは共通の専門分野であるから素直に成果や技術を賞賛し認めることはあっても、営業部門や戦略部門の人間からすれば、たいしたことでない場合が多い。

例えば、その錦の御旗の特許も、周辺特許を抑え事実上その特許技術を使えないものにしたこともあるし、超一流の会社が、ベンチャーの特許技術を、提携をにおわせて、関係を築き、その技術と自社の技術を詳細に分析し、結局はベンチャーの技術を無用なものに戦略的にしてしまった事実を目の当たりに見たこともある。

その会社は、有能な弁理士を抱えていたらしいけれど、開発費負担が大きくなってきて、ちょうど良いタイミングでやってきた一流会社の商談に乗ってしまったのであるが、私を含め様々な支援者が、手をさしのべたけれども、肝心の技術者や経営者が「商談」「案件」の下に、聞き入れてくれなかった。
結局、自殺してしまい、最終的には虎の子との特許技術を二束三文で売却した。
買い取った会社も中小企業であったが、買い取った後に、その技術は素晴らしいものの、実質上、件の会社に周辺を抑えられ且つ時流もつくられてしまって、販売できるものではなくなってしまったのですが、この事件を目の当たりにした事が、今の私がストイックなまでも零細支援に傾けた一つの重要な要因になっているのは事実である。

私やその他の方々も、海千山千、清濁あわせもつ経験が多く、事業戦略を担当する方々で、雄志でそのベンチャー会社を支援する為に集まってきたのですが、どうしても聞き入れてくれないベンチャー会社に対して、手を変え品を変えては、説得をしたが、結局は、「受注案件」というものには勝てなかった。
余談ですが、このときにコンサルの限界も少し感じたのも事実です。
零細企業を間違わない方向に向かわせるためには、理論ではなく、やはり、受注というものなんだと感じた。

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私は、マルチ販売なども、基本的には寛容でした。
ひとつの販売手法であり、ネズミ講の場合は無限連鎖講防止法で規制がかかっており、またゆるかったけれど、当時は訪問販売法があり、原則、連鎖販売取引に関しても規制があった。
その法律の遵守の範囲で、社会人が自己の責任において約定したのであるから、それは、それで良いという判断を以前はしていた。
現在は特商法となり、かなり厳しくなったものの、それでも、日本の場合は、マルチ商法を明確に禁止していないため、法令を遵守する上では、認められた販売方法であるには違いはない。
中国ですらマルチ禁止法が存在しているのに、日本では法に則ればできるわけで、被害者は知らない調べないという事が悪いのだと原則思っていました。

ですから、大手企業や大手企業の労働組合などが、平気でマルチ商品を扱っていても、ことさら何も思わないわけです。

ですが、会社を自分でつくって、また、中小企業支援のための中間組織を模索していくうちに、少し考え方が変わってきた。

つづく…