天気予報の原点 | 片平敦オフィシャルブログ「気象予報士・片平敦の 風まかせお天気日記。」Powered by Ameba

天気予報の原点

テレビやラジオでのお天気コーナーって、僕らは「解説」と呼んでいます。


天気図やコンピュータの計算結果などから、

天気がどうなるかを考えて発表することは「予報」。


そして、その予報のもとになるデータは「観測」によって集められます。


ですから、

 「観測」⇒「予報」⇒「解説」

という順序になっていて、僕らの解説や予報の原点には「観測」があるんです。

何かの事情で観測ができなくなったら、天気予報はできないと言ってもいいくらい。


気象業務法という法律の中で「懲役刑」の罰則があるのは2つだけで、

そのうちの1つが「気象観測施設の破壊や妨害」です。

3年以下の懲役または100万円以下の罰金(またはその併科)、という一番重い罪になります。


それだけ、気象事業においては観測が大切、ということなんです。


 ×     ×     ×


前置きが長くなりましたが、そんな観測の現場を見学させていただく機会がありました。


先週、大阪府の箕面のアメダス(雨量観測所)が引っ越しをして、

茨木のアメダスが新たに観測を始めました。

その引っ越し作業を見学させていただいたんです。


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まだ器械本体がむき出しになっている「雨量計」。


今後休むことない観測が始まるのに向けて、

入念な設置・調整作業が行われていました。


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観測所の中ではケーブルがあちこちからのびていたりもして、

職員の方々がお忙しく作業をなさっていました。


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雨量計のまわりにカポッとはめられるカバー。


外周には「不凍液」が入れられていて、

気温が5℃くらいになると、ヒーターが自動で入るそうです。

雪が降って積もるような事態になっても、

ちゃんと溶かして、「降水量」として測ることができる工夫がされています。


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箕面アメダスから茨木アメダスへの引っ越しは、

箕面で観測所の近くに高い建物が建ってしまって、影響が予想されたから。


新しく、観測に好条件の場所を探すとなると、

周りが開けていて、新しい建物があまり建たないことが予想され……

と、いろいろ条件を考慮するとけっこう大変なんだそうです。


公有地を中心に探すことになりますが、

こんな点にもご苦労があるんだなぁ、と初めて知りました。

茨木アメダスは雨量の観測だけですが、

風や気温などを測る観測所になると、さらに準備や設置が大変になります。

磁北ではなく「真の北」をGPS方位計を使って設定したり、

丸1日がかりの作業になるんですね。本当に頭が下がります…。


何気なく使っているアメダスのデータ。

当たり前のように10分ごとに全国各地の情報が流れてきますが、

「このデータ、大切に使おう」と気持ちを新たにしました。


そして、作業中にもかかわらず、大阪管区気象台の職員の皆様には、
ご丁寧にいろいろご教示いただきました。この場を借りてお礼申し上げます。