私は貴方にに愛されていますか?
貴方は私のことをきっと鬱陶しいと思っているでしょう。
私は貴方のことが忘れられません。
今どこにいますか?
元気にしていますか?
もしこの手紙を読んだのなら、返事が欲しいです。
私はいつまでも待っています。
小林由依。
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恋人が行方不明になって、1ヶ月がすぎた。
私は毎週彼女が暮らしていたアパートに行き、掃除をし、変わったところはないか確認して帰る。
そんな生活も早く終止符を打つことになる。彼女の母親が部屋を手放すことにしたと聞いた。
あのヒトは私と、私の彼女を引き裂いた張本人だ。
なんとか管理人さんは味方についてくれて、部屋が違う人に買われるまでは、荷物はゆっくり運べばいいし、
置き手紙をドアの前に貼ることを許してくれた。
私は、彼女を探すことやめない。
警察に協力を要請しても、取り合えってくれなかった。
だから自分で。愛する人を探す。
まぁ直訳すれば、
資金が必要だった。
大量のチラシを刷ったり、いろんな探偵を雇ったり、とても大学生の私には足りなすぎる量のお金が必要だった。
だから。
だから、
彼女のためを思って私は。
パパ活を始めた。
パ「お、ゆいちゃんだね?」
由「はい。パパ、今日はよろしくねー!」
私は演じることが得意だ。
彼女の前では通用しなかったこの演技も、今は彼女を探すために役に立っている。
パパ活での仕事はなんとかなっていた。
そっち系の友達に無理言って紹介してもらったサイトに名前を載せてもらって、そこから指名があれば、パパと、デートをする。
お金の管理は自分でやらなきゃいけないけど、身の安全の確保はサイトの管理者さんがしてくれる。
これでしばらくは彼女を探すことができる。
パ「じゃあ、またよろしくね?ゆいちゃん」
由「またね!パパー!」
今日も仕事終わり、何か連絡はないか、彼女のことを探してくれている友人をあたるが、いつも通り何もヒントはない。
そこへ、親友の愛佳から、
愛『ね、ゆい。』
由『なに?』
愛『ちょっとさ、早急に会いたいんだけど。』
今は10時半。
居酒屋なら空いてる筈だ。
由『いいよ。個室の居酒屋いつものとこ。』
愛『わかった。』
愛佳とは彼女がいなくなってから親しくなった。いつも彼女といたから、何か知ってると思って近づいた。
そして、パパ活のサイトを紹介してもらったのも愛佳だ。
愛「元気?久しぶり。」
由「ごめん、遅くなった、ご飯食べた?」
愛「まだ。なんか適当に注文しといたから。」
由「ありがと。」
沈黙。
愛「本題なんだけどさ。」
由「うん。」
愛「今日ね、うちの店にお客さんが来て、その人はIT系の社長なんだけど、
いつも通り、店の横に貼ってある行方不明のポスターに気づいて、声かけられたの。」
愛佳は、キャバ嬢で、お店に彼女の行方不明のポスターを貼ってくれていて、よく情報をくれる。
由「何か知ってる人なの?」
愛「なんかね、
どっかで見たことある顔だってぶつぶつ言ってた。
それを口実に連絡先交換した。
そしたらさっきね急に電話がきて、思い出したって。」
由「どこにいるの!?」
愛「先週、親会社と商談があって、その途中におしゃれなバーがあって、仕事終わりにそこによったんだって。
その時に見たらしいの。」
由「え?
バーで働いてるってこと?」
愛「それが違うらしくて。
どうもお客さんとして行ってたみたいなの。」
由「、、、?」
彼女にそんなお金があると思えない。
愛「で、さっき店側にも確認取ったんだけど、防犯カメラの映像をもらったの。」
由「これ。」
そこには髪の毛が驚くほど短くなり、全身スーツで1人、真顔でまるでこの場に1人であるかのように酒を飲む女性。
顔はマスクで隠れているが、きっと、彼女だ。
由「これ、どこの店?」
愛「ほら、六本木に新しくオープンした、とこ。
えっと確か名刺もらってたな。」
愛佳は財布から一枚の名刺を取り出した。
(六本木クラス)
愛「経営者はこの人。
平手友梨奈。」
愛「私たちよりも年下だけど、やり手のバリバリ女社長って感じ。」
由「愛佳この人にアポとれる?」
愛「無理だよ会ったことないもん。私が手出しできるのはここまで。この名刺はあげるからあとは頑張って。」
由「わかった。ありがとう。」
その後は、軽く夕食を済ませ、店を出た。
彼女に一歩近づいた。