私の目の回りに又、トラブルだ。

まぶたの上に何かが出てきた。

私は若い時から、目や目の回りのトラブルが多い。

 

生前の夫は

『またか?お前はいつも目がああだ、こうだと言ってるなぁ』

とその度に言っていた。

夫が生きていたら又、笑いながら同じ事を言ったと思う。

 

私のまぶたの上と眉毛の中にほくろの様な物がポツンとある。

何かなと思っていたら、少しずつ大きくなってきた。

 

そのうち、痛痒くなって来て少しずつ盛り上がってきた。

とても不快だ。

 

気になって、たびたび鏡を見た。

(これって何だろう?皮膚癌じゃないよね、考えすぎかな)

と心配になってきた。

 

皮膚科受診をすると、お医者さんは拡大鏡でまぶたのできものを診ている。

 

医師『これは若い時にできるニキビの様なものですよ。」

 

私「エッ そうなんですか?皮膚がんじゃないかと心配しました。」

 

医師はピンセットで、ピッピッと簡単に取り除いてくれた。

 

若い時も赤いニキビで悩まされたけど、今度はこの年でグレーのニキビで悩まされるのか?


家に帰って、鏡でよくよく顔を見た。

見ると髪の生え際に平べったい似たものがある。手にも足にも似たものを見つけた。

その中に1つ盛り上がってるものがある。

(これもニキビのようなものなのか?)


触っていると、爪でポロッと剥がれた。


こっちの平らのやつも、こんなふうに盛り上がって来るのかな。


それともただのシミなんだろうか。

シミでもグレーのニキビでもこれ以上増えるのは拒否したい。

 


 そう言えば、夫は言っていた。

『高齢になると顔や体にシミが出てくるけど、そう言う人は丈夫で長生き出来る人なんだよ』

 


確かに、そうだ。

良い感じのシミがあって白髪と白い髭のそんな人を私も知っている。

貫禄があって、何かを聞けば何でも答えてくれる生き字引のような人だ。

長い人生を沢山の経験と苦労を重ねて生きて来た人なんだと言葉づかいや姿立ち振舞いを見るだけで分かる。


私は即、長寿の松の木に思えた。


風雪や嵐に耐え時には喜びや幸せも感じ、長い間沢山の事を見て来た長寿の松の木の様な人だ。


そんな松の木、表面はガサガサで、触り心地は良くない。でこぼこの節も沢山あって、見てくれは良くない。。


だけど、ガサガサもでこぼこもそれが風格を感じてかっこ良く見えて来るのだ。


そして、幹から染み出て来る琥珀色の樹液 この松ヤニが、加齢により起こる私達の古い角質を除去してくれると知った。


あの松の木から出ているベタベタしたヤニは触りたくない。


しかし私達の肌に、良いと知った時には、思わず、(うそーほんとにー)と驚いた。

松の木は、私達の肌にも貢献してくれてるなんて凄いと思った。



そんな事を思うと 、私はまだまだ序の口だ。

これからの人生経験と共にシミも増えてゆくのだろう。


そうなったら私の古い角質も松の木の樹液で取り除いて綺麗にしてもらいたい。

 


けれど私は思う。若い時のニキビは青春のシンボルなら、高齢のシミは熟年のシンボルの様なものじゃないのかなと。

 

 

 

 

 

 

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